角界において異彩を放つ存在として知られる式秀部屋。茨城県龍ケ崎市佐貫に構えるその拠点は、東京都心に集中する伝統的な相撲部屋とは一線を画し、独自のスカウト基準とオープンな指導理念で相撲ファンの関心を集め続けています。
一方で、過去に報じられた女将をめぐる騒動や、時津風一門から出羽海一門への電撃的な転属劇、さらには部屋付き親方が不在という指導体制の課題など、組織運営の面でも多くの議論を呼んできました。2026年現在の所属力士の状況や後援会活動の実態を含め、公的記録と検証データに基づきその真相を紐解きます。
【拠点と概要】茨城県龍ケ崎市佐貫に構える「式秀部屋」の基本情報

式秀部屋は、日本相撲協会に所属する相撲部屋であり、茨城県龍ケ崎市佐貫4-17-17に本拠地を構えています。大相撲の多くの部屋が両国国技館へのアクセスを考慮して東京都墨田区や江東区周辺に拠点を置くなか、茨城県南部に相撲部屋を構えるスタイルは地域密着型の先駆けとしても知られています。
公式の発表情報やSNS上の公式案内窓口によると、力士入門希望の受け入れや後援会窓口を広く設けており、問い合わせ窓口としてFAXを活用したオープンな運営体制が敷かれています。地域イベントへの参加や地元ファンとの交流も深く、龍ケ崎市のスポーツ振興の一翼を担う存在として定着しています。
【一門転属の経緯】時津風一門から出羽海一門への歴史的シフト
式秀部屋の歴史において、大きな転換点となったのが所属一門の変更です。創設期である9代式秀(元小結・大潮)の時代は時津風一門に所属していましたが、部屋の継承に伴い出羽海一門への転属が行われました。
この転属の背景には、相撲界の伝統的な人事構造と部屋の体制上の要因が関係しています。当時の式秀部屋には後継候補となる部屋付き親方が在籍していませんでした。そこで部屋を継承することになったのが、出羽海一門に所属する名門・北の湖部屋出身の元幕内・北桜(現在の10代式守秀五郎)でした。師匠の出身一門が出羽海一門であったことから、部屋の看板を引き継ぐと同時に、時津風一門から出羽海一門へと移籍する運びとなったのです。
【所属力士・番付の実態】2026年最新データと部屋の体制
式秀部屋に所属する力士は、入門基準の門戸が広いことでも知られています。体格基準や相撲未経験者に対しても温かい目を向け、「誰もが土俵で輝けるチャンスを」という指導理念が貫かれています。公式記録によると、2026年9月時点で9人の力士が在籍しています。
| 項目 | 公式データ・現状 | 特記事項・備考 |
|---|---|---|
| 部屋名称 | 式秀部屋(しきひでべや) | 日本相撲協会所属 |
| 現師匠 | 10代 式守秀五郎 | 元幕内・北桜(北の湖部屋出身) |
| 所属一門 | 出羽海一門 | 9代までの時津風一門から転属 |
| 所在地 | 茨城県龍ケ崎市佐貫4-17-17 | 最寄り:佐貫・龍ケ崎市エリア |
| 所属力士数 | 全9名(2026年9月時点) | 四股名に「桜」を冠する力士が多数在籍 |
| 部屋付き親方 | 不在 | 師匠自らが直接的な育成指導を統括 |
| 公式後援会 | チームさくら式 | 全国のファン向けに随時入会を受付 |
相撲部屋における指導体制において、複数の部屋付き親方が若手の指導を分担する大型部屋も存在する一方、式秀部屋は親方が単独で育成にあたるスリムな構造を維持しています。師匠の目が行き届きやすい反面、師匠自身の健康管理や指導マネジメントにかかる責任が非常に大きい点が特徴です。
【女将問題の真相】制度上の課題と日本相撲協会の管理責任
過去、式秀部屋において所属力士と部屋の運営を巡るトラブルが表面化し、大きな注目を集めました。この問題は、部屋の裏方を取り仕切っていた女将の言動や管理手法に対して力士たちが反発し、集団で部屋を一時離脱した事案に端を発しています。
公的記録や当時の調査結果によると、日本相撲協会がこの事案の収拾と解決を図るなかで直面した最大の障壁は、相撲協会と女将との間に法的な雇用関係が存在しないという「制度的空白」でした。角界の伝統として、部屋マネージャーを専属で雇用する部屋が一部にあるものの、慣習的に部屋の生活面全般や裏方業務は部屋師匠の妻(女将)が一手に引き受けるケースが大多数を占めます。
協会は女将を直接的に懲戒処分する権限を持たないため、結果として師匠である10代式秀の「監督・管理責任」を問う形で事態を是正せざるを得ませんでした。部屋付き親方が不在であったこともあり、第三者による生活面の緩衝材が機能しにくかった構造が明らかになりました。この騒動を契機に、角界全体で部屋運営におけるハラスメント防止とマネジメントの近代化が強く意識されるようになりました。
【育成方針と後援会】「チームさくら式」が支える再建の歩み
騒動を経た式秀部屋では、10代式秀が自身の体調とメンタルに細心の注意を払いながら、力士一人ひとりの人格を尊重する育成方法への改善を進めてきました。かつて師匠が現役時代に見せた明るいキャラクターと、熱心な土俵指導はファンの間でも根強い支持を集めています。
部屋を物心両面で支えているのが、公式後援会である「チームさくら式」です。一般的な相撲部屋の後援会が地元の有力財界人を中心に組織されることが多いのに対し、チームさくら式は全国の相撲ファンに対して広く門戸を開いている点が大きな特色です。FAXや公式SNSを通じた透明性の高い情報発信により、親しみやすい相撲部屋としての再出発が着実に根付いています。
【式秀部屋】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:式秀部屋の力士になりたい場合、どのように応募すればよいですか?
A1:式秀部屋では力士入門希望を随時受け付けています。公式案内によると、まずは指定のFAX番号宛てに詳細を連絡して相談する形式が案内されています。
Q2:なぜ時津風一門から出羽海一門へ転属したのですか?
A2:先代の停年に伴い部屋を継承した10代式守秀五郎が、出羽海一門の北の湖部屋出身であったためです。部屋付き親方が不在だったことも重なり、師匠の出身一門へ合流する形で転属が行われました。
Q3:公式後援会「チームさくら式」には一般人でも入会できますか?
A3:はい、一般のファンでも入会が可能です。公式発信窓口を通じて随時申し込みを受け付けており、部屋の活動や力士たちの成長を直接応援できる仕組みとなっています。
【プロの結論】伝統と現代的マネジメントの調和に向けて
式秀部屋が歩んできた道のりは、閉鎖的になりがちな相撲部屋の組織構造が、現代の労務感覚やコンプライアンスの波とどのように向き合うべきかを示す象徴的な事例です。家族経営的な温かさが長所となる一方で、権限の集中やチェック機能の不足が制度上の歪みを生むリスクは、どの組織にも共通する課題といえます。
茨城県龍ケ崎市で再起を誓い、土俵に向き合う師匠と9名の力士たち。出羽海一門の確かな系譜を受け継ぎながら、ファンコミュニティ「チームさくら式」とともに紡がれる真摯な土俵の営みが、今後の角界における新しい部屋運営のモデルとなるか注目されます。