新国立競技場は、東京2020オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして整備された、日本を代表するスポーツ施設です。2026年は「MUFGスタジアム」という新たな呼称で運営され、サッカーや陸上競技、ラグビーに加え、音楽ライブなどの文化イベントにも活用されています。2026年1月にはネーミングライツによる新呼称が始まり、2025年4月には運営事業者も変更されました。
一方、国立競技場の収容人数は公式情報によって異なり、建設費についても集計対象によって金額が変わります。隈研吾氏らが設計に携わった木材の使い方、旧国立競技場からの変化、最寄り駅やスタジアムツアーの料金、2026年秋冬のイベント予定まで、日本スポーツ振興センターやMUFGスタジアムの公式情報をもとに、訪問前に押さえたいポイントを整理します。
【2026年最新】新国立競技場は現在どう使われている?名称と運営体制の変化

2026年の国立競技場を理解するうえで、まず押さえておきたいのが名称と運営体制の変更です。施設そのものが別の競技場に建て替えられたわけではありませんが、運営の仕組みや対外的な呼び方は変化しています。
正式名称は「国立競技場」、呼称は「MUFGスタジアム」株式会社ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメントと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2026年1月1日から国立競技場の呼称を「MUFGスタジアム」とすることを発表しました。契約期間は2030年12月31日までの5年間です。
ここで注意したいのは、「MUFGスタジアム」はネーミングライツによる呼称であり、正式名称は引き続き「国立競技場」だという点です。大会の規定やスポンサー権利に関するルールなどにより、正式名称が使用される場合もあります。
検索する際には「新国立競技場」「国立競技場」「MUFGスタジアム」のいずれでも関連情報を探せます。ただし、2026年のイベント日程や座席案内を調べるなら、現在の運営事業者が公開するMUFGスタジアム公式サイトを起点にするのが効率的です。
2025年4月から運営事業者が変更日本スポーツ振興センター(JSC)の公表情報によると、2025年4月から国立競技場の運営事業者は、JSCから株式会社ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE)に変更されました。
JNSEは2024年9月3日に設立された特別目的会社です。出資企業はNTTドコモ、前田建設工業、SMFLみらいパートナーズ、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の4者。施設の統括管理、運営、維持管理などを担います。
民間事業者の運営ノウハウを活用し、競技大会だけでなく、音楽ライブや文化イベント、飲食サービスなどを含めた施設の活用を広げることが、この体制変更の要点です。ただし、運営事業者の変更によって施設の正式名称や公共施設としての位置づけがなくなったわけではありません。
【収容人数・座席表】新国立競技場のスペックを公式情報で比較
新国立競技場の収容人数を調べると、66,727席と67,750席という2つの数字が見つかります。これは情報を探す読者が混乱しやすい点です。
2026年に運営を担うMUFGスタジアムの施設紹介では66,727席、日本スポーツ振興センターの施設概要では67,750席と掲載されています。JSCの数値には車椅子席約500席が含まれますが、両ページの数字は一致していません。公表ページごとの違いを理解し、実際の観戦では主催者が案内する座席情報を優先する必要があります。
| 項目 | 公表情報・数値 | 確認しておきたいポイント |
|---|---|---|
| 正式名称 | 国立競技場 | MUFGスタジアムは2026年からの呼称 |
| 収容人数 | 66,727席/67,750席 | 運営事業者とJSCの施設紹介で掲載値が異なる |
| 竣工日 | 2019年11月30日 | 東京2020大会のメインスタジアムとして整備 |
| 建物の高さ | 約47m | 地上5階・地下2階 |
| 設計・施工体制 | 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所の共同企業体 | 隈研吾氏単独ではなく、複数組織による設計体制 |
| 木材の使用量 | 約2,000立方メートル | 屋根、軒庇などに使用 |
| 整備費用 | 約1,569億円 | 会計検査院が示した分担対象経費の支払額。総支払額とは範囲が異なる |
| 旧国立競技場 | 1958年竣工、最終時点の収容人数54,224人 | 新施設は収容規模や観戦環境、バリアフリー面で変化 |
国立競技場は、陸上競技のトラックを備えた3層スタンド構造です。JSCの施設概要では、第1層が23,007人、第2層が17,383人、第3層が27,360人と案内されています。
座席を選ぶ際には、単に「1層・2層・3層」という階層だけで判断しないことが大切です。フィールドとの距離、スタンドの高さ、イベントで使用されるエリア、ステージや機材による視界の制限などによって、実際の見え方は変わります。
MUFGスタジアムの公式座席案内では、フロアとブロック番号から座席情報を確認できます。ただし、イベントによって詳細が異なり、施設内の改修工事に伴って表示されるブロック情報と実際の状況が異なる場合もあると案内されています。
サッカーやラグビーの観戦では、フィールド全体を見渡したいのか、選手を近くで見たいのかによって選び方が変わります。音楽ライブの場合は、ステージの向きやアリーナの構成、販売対象席が主催者ごとに異なるため、一般的な座席表だけで見え方を断定することはできません。
【隈研吾設計】47都道府県の木材を使った新国立競技場の特徴
新国立競技場の外観を特徴づけているのが、木の縦格子を組み合わせた軒庇(のきびさし)と、周囲の緑に調和するデザインです。設計には、建築家の隈研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所のほか、大成建設と梓設計が参加しました。
全国47都道府県の木材を方角に応じて配置林野庁とJSCの公表資料によると、スタジアムには約2,000立方メートルの木材が使われています。内訳の目安は、大屋根が約1,820立方メートル、軒庇が約190立方メートルです。
外観の印象を決める軒庇には、全国47都道府県から調達した森林認証材が使われています。基本となる樹種はスギなどで、スギが自生しない沖縄県についてはリュウキュウマツを採用。各地域の木材をスタジアムの方位に応じて配置することで、全国の地域性を建築の中に取り込んでいます。
ここで誤解しやすいのは、競技場全体が木造建築だというわけではないことです。建物の基本構造は鉄骨造を中心とし、一部に鉄骨鉄筋コンクリート造などを採用しています。屋根にも鉄骨を主体としながら木材を組み合わせるハイブリッド構造が用いられています。
木材は装飾だけでなく、周辺環境との調和にも関係する軒庇は、明治神宮外苑の緑と建物をつなぐ意匠上の役割を担っています。木材の質感や深い陰影によって、巨大なスタジアムの外観を周囲の景観になじませる考え方です。
また、公式施設紹介では、風の大庇や風のテラスから自然の風を取り込み、観客席やフィールドの温熱環境を改善する仕組みも紹介されています。もちろん、自然換気だけですべての暑さを解消できるわけではありませんが、建物の形状や風の流れを活用する設計思想は、この競技場の重要な特徴です。
観客席にも工夫があります。白、黄緑、グレー、深緑、濃茶の5色をモザイク状に配置し、森の木漏れ日をイメージした空間をつくっています。客席が満席でないときにも、座席の色が自然な景観の一部として見えるように考えられています。
新国立競技場の特徴は、木材を大量に使ったことだけではありません。全国の木材を取り入れながら、周辺の緑、自然の風、観客の快適性を一つの建築計画にまとめている点にあります。
【建設経緯と建設費】旧国立競技場から何が変わったのか
新国立競技場の建設は、単なる老朽施設の建て替えではありません。旧国立競技場の歴史を引き継ぎながら、東京2020オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムという役割を担うために進められた大規模事業です。
1958年竣工の旧施設から、2019年の新施設へ旧国立競技場は1958年に竣工しました。半世紀以上にわたってスポーツ大会などの舞台となりましたが、老朽化が進み、新たな国立競技場の整備計画が立ち上がりました。
当初の整備計画は、建設費や施設規模などをめぐる議論を受け、2015年7月にゼロベースで見直されました。同年8月28日には新たな整備計画が策定され、コスト抑制やユニバーサルデザインなどを基本方針として、計画が再構成されました。
その後、設計・施工を進めた新競技場は2019年11月30日に竣工。2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックではメインスタジアムとして使用されました。
建設費は「約1,569億円」だけでは全体像が分からない新国立競技場の建設費をめぐっては、約1,500億円台という数字がよく取り上げられます。スポーツ庁が2015年の新整備計画で示した新競技場本体と周辺整備の工事費は、合計1,550億円以下を目標としていました。
一方、会計検査院が確認した支払状況では、国・JSC・東京都の負担対象となる経費の支払額は約1,569億円です。これに対し、上下水道工事やその他の経費などを含めた2021年度までの支払額は、合計約2,003億円とされています。
この2つの数字は、単純にどちらかが誤りという関係ではありません。集計対象に含める工事や関連経費の範囲が違います。建設費を比較する場合には、競技場本体だけなのか、周辺整備や設計・監理、関連経費などを含むのかを区別する必要があります。
旧国立競技場との違いは収容人数だけではない旧国立競技場の最終時点の収容人数は54,224人でした。新施設は公式掲載値に差があるものの、おおむね6万6,000~6万7,000席台の規模です。収容規模の拡大に加え、エレベーターやエスカレーター、車椅子席、アクセシブルトイレなど、幅広い利用者を想定した設備が整備されています。
ただし、施設の規模が大きくなれば、維持管理や運営にかかる負担も無視できません。建設時の費用だけでなく、日常の維持管理、設備更新、イベント開催による収入を含め、長期的にどう運営するかが新国立競技場の課題です。
その意味で、2025年の運営事業者変更や2026年のネーミングライツ導入は、建設後の施設をどのように活用し、持続的に運営していくかという問題とも結びついています。
【アクセス・見学】最寄り駅、座席案内、スタジアムツアーを解説
国立競技場は東京都新宿区霞ヶ丘町10-1にあります。複数の鉄道路線からアクセスできるため、利用する駅や出口を事前に決めておくと、イベント当日の移動がスムーズになります。
最寄り駅と徒歩時間MUFGスタジアム公式サイトが案内する主なアクセスは次のとおりです。
- 都営大江戸線「国立競技場駅」A2出口から徒歩約1分
- JR総武線各駅停車「千駄ケ谷駅」から徒歩約5分
- JR総武線各駅停車「信濃町駅」から徒歩約5分
- 東京メトロ銀座線「外苑前駅」3番出口から徒歩約9分
駅からの近さを重視するなら、都営大江戸線の国立競技場駅が便利です。ただし、イベント開催時は周辺道路や駅構内が混雑する可能性があります。入場ゲートの位置や集合場所によっても移動時間は変わるため、チケットに記載された入場口を確認してください。
国立競技場の見学は有料のガイド付きツアーが基本競技やライブのチケットを持っていなくても、開催日程が合えば「MUFGスタジアムツアー」に参加できます。2026年1月から、従来の国立競技場スタジアムツアーはこの名称に変更されました。
2026年度の公式案内では、料金は平日が大人3,200円、高校生以下1,600円、土日・祝日が大人3,500円、高校生以下1,750円です。所要時間は約90分で、開催時間帯は9時から17時までと案内されています。実際の開催日と入場枠は、公式カレンダーで確認する必要があります。
主な見学場所は、展望デッキ、VIPルーム、VIPラウンジ、選手入退場口、選手ロッカールーム、トラックとフィールドなどです。専用ガイドの案内を受けながら、通常の観戦では入れないエリアを見学できる点が特徴です。
なお、施設内の改修工事などにより、見学ルートや立ち入り可能なエリアが変更される場合があります。購入後のキャンセルや返品にも制限があるため、予約前に開催条件を確認しておきましょう。
座席表や当日の案内は公式情報を優先スタジアムを訪れる際には、施設全体のフロアマップと、イベントごとの座席表を分けて確認するのがおすすめです。施設全体の案内だけでは、実際に購入したチケットの座席位置や入場ゲートまで分からない場合があります。
また、車椅子席やバリアフリー経路を利用する場合は、公式のバリアフリーアクセス情報とイベント主催者の案内をあわせて確認すると安心です。大規模イベントでは入場方法や利用できる動線が通常時と異なる場合があります。
【イベント予定】2026年秋冬の国立競技場は何が開催される?
国立競技場は、陸上競技やサッカー、ラグビーなどのスポーツ大会だけでなく、音楽ライブや各種イベントにも使われています。MUFGスタジアム公式のイベントカレンダーには、2026年10月末以降から年末にかけても複数の催しが掲載されています。
2026年10月28日時点で、公式スケジュールに掲載されている今後の主なイベントは次のとおりです。
- 11月8日:明治安田J1リーグ「MUFG THE国立DAY」第14節、ヴィッセル神戸対浦和レッズ
- 11月15日:ALTRA EKIDEN 2026
- 11月22日:日清食品カップ 第42回全国小学生陸上競技交流大会
- 11月28日・29日:LDH LIVE-EXPO 2026 -PERFECT YEAR BEST-
- 12月12日・13日:2026 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL IN JAPAN
イベントの開催日時、開場時間、チケット販売状況、出演者や競技内容は、主催者側の発表によって変更される可能性があります。特にライブイベントでは、会場名が「国立競技場」ではなく「MUFGスタジアム」と表記される場合もあります。
イベント情報は開催日だけでなく、座席と入場条件も確認イベント予定を調べるときは、開催日だけで判断せず、チケットの販売状況、入場ゲート、座席の配置、持ち込み制限、交通規制なども確認が必要です。
スポーツ大会では競技トラックやフィールドの使用方法によって観客席の構成が変わることがあります。音楽ライブではステージ設置や機材によって販売される座席や視界が異なる場合があります。施設の収容人数がそのまま個々のイベントの販売席数になるとは限りません。
2026年10月19日にはMUFGスタジアムの公式アプリ公開も案内されました。施設側はモバイルオーダーやデジタルマップなどを通じて、来場時の利便性向上を進めています。利用できる機能や対象イベントは、当日の公式案内で確認するとよいでしょう。
【新国立競技場】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:新国立競技場の現在の正式名称は何ですか?
A1:正式名称は「国立競技場」です。2026年1月1日から、ネーミングライツによる呼称として「MUFGスタジアム」が使用されています。大会の規定などによって正式名称が使われる場合もあります。
Q2:国立競技場の収容人数は何人ですか?
A2:MUFGスタジアムの施設紹介では66,727席、日本スポーツ振興センターの施設概要では67,750席と掲載されています。公式情報に差があるため、実際のイベントで販売される座席数や座席位置は、主催者の案内を確認してください。
Q3:国立競技場はイベントがない日でも見学できますか?
A3:一般向けの「MUFGスタジアムツアー」が開催されている日であれば、参加できる場合があります。ガイド付きで、展望デッキや選手ロッカールーム、トラック・フィールドなどを見学できます。料金は平日と土日・祝日で異なり、施設の改修工事などで見学場所が変更されることもあります。
【プロの結論】新国立競技場の価値は、建設後の運営で決まる
新国立競技場は、東京2020大会のために整備された巨大施設でありながら、全国47都道府県の木材や周辺の緑を取り入れた建築、幅広い利用者を想定した設備、スポーツ以外のイベントにも対応する運営体制を備えています。旧国立競技場との比較では、収容規模だけでなく、建築思想や利用者への配慮、施設の活用方法にも変化が見られます。
一方、建設費の評価では、約1,569億円という分担対象経費と、関連経費を含む約2,003億円という支払総額を混同しないことが重要です。収容人数についても、公式ページ間で公表値が異なっています。施設の評価やイベントの計画を考える際には、数字そのものだけでなく、その数字が何を対象にしたものかを見極める必要があります。
訪問する人にとっては、都営大江戸線の国立競技場駅から徒歩約1分というアクセスの良さに加え、ガイド付きツアーで普段見られないエリアを体験できることも魅力です。イベントを目的に訪れるなら、開催日程、座席表、入場ゲート、チケット条件を事前に確認しておきましょう。
2026年のMUFGスタジアムは、名称や運営体制を新たにしながら、スポーツの聖地としての歴史を引き継いでいます。今後の評価を左右するのは、建物の大きさやデザインだけではありません。公共性を保ちながら、スポーツ、文化、地域社会にどれだけ継続的な価値を生み出せるか。その運営の実績こそが、新国立競技場の次の時代を考えるうえで重要な判断基準となります。