野球中継でよく耳にする「リリーフ」とは、どのような投手を指すのでしょうか。野球のリリーフとは、一般に先発投手の後を受けて登板する救援投手の総称です。中継ぎやセットアッパー、抑え(クローザー)もリリーフに含まれ、それぞれ異なる役割を担っています。
リリーフ投手の起用は、単に疲れた投手を交代させるためだけのものではありません。試合の点差、走者の状況、打者との相性、投手のコンディションなどを踏まえ、失点を防いで勝利につなげるための戦術です。セーブやホールドといった記録の意味まで理解すると、監督の継投策や試合終盤の攻防が、より深く見えてきます。
【基本解説】野球のリリーフとは?先発投手との違い

リリーフ(relief)は、英語で「救援」「交代して助けること」などを意味する言葉です。野球では、先発投手が降板した後などに登板し、投球を引き継ぐ救援投手を指します。
「リリーフ投手とは何か」を理解するうえで大切なのは、リリーフが特定の登板回や一つの役職を指す言葉ではないという点です。試合の途中を担当する中継ぎも、最終回を任される抑えも、先発投手に代わって登板すればリリーフ投手に分類されます。
リリーフと先発の違い先発投手は、試合開始時からマウンドに立ち、できるだけ長いイニングを投げて試合を組み立てる役割を担います。一方、リリーフ投手は、先発投手の降板後に登板し、担当する局面で失点を防ぐことが主な仕事です。
先発投手には、相手打線との対戦を重ねながら球種や配球を組み立て、長いイニングを投げ抜く能力が大切です。リリーフ投手には、短い準備時間で試合に入り、少ない打者との対戦で結果を出す能力や、緊迫した場面で力を発揮する適応力が大切です。
ただし、先発は長いイニング、リリーフは短いイニングと一律に決まっているわけではありません。先発投手が序盤で降板した場合、救援投手が複数のイニングを投げることもあります。逆に、先発投手が試合終盤まで投げ続け、救援投手がほとんど登板しない試合もあります。
リリーフと中継ぎの違いリリーフと中継ぎは、同じ意味で使われることもありますが、厳密には範囲が異なります。リリーフが救援投手全体を指すのに対し、中継ぎは先発投手と抑え投手の間など、試合の途中を担当する投手を指す言葉です。
たとえば、7回を中継ぎ投手が抑え、8回をセットアッパー、9回を抑え投手が担当する場合、3人ともリリーフ投手ですが、役割はそれぞれ異なります。野球中継で「リリーフ陣が登場した」と表現された場合は、特定の投手一人ではなく、救援投手全体を意味することがあります。
【役割を比較】中継ぎ・セットアッパー・抑え・ロングリリーフの違い
救援投手の役割は、担当するイニングだけで決まるわけではありません。試合の展開やチームの投手編成によっても変わります。代表的な役割を整理すると、次のとおりです。
| 役割 | 主な登板場面 | 中心となる仕事 |
|---|---|---|
| 中継ぎ | 先発降板後の中盤から終盤 | 失点を抑え、次の投手へつなぐ |
| セットアッパー | 主に7〜8回などの重要局面 | リードを守り、抑えにつなぐ |
| 抑え・クローザー | 主にリードした試合の最終回 | リードを守って勝利を締めくくる |
| ロングリリーフ | 先発の早期降板後や延長戦など | 複数イニングを投げ、投手陣を支える |
| ワンポイントリリーフ | 特定の打者との対戦など | 打者との相性を生かしてピンチを切り抜ける |
中継ぎ投手とは、先発投手が降板した後、試合の途中を担当する救援投手のことです。必ずしも勝っている試合だけに登板するわけではありません。同点の場面や、相手にリードされている場面で起用されることもあります。
中継ぎの仕事は、単に次の投手へボールを渡すことではありません。走者を残して降板した先発投手のピンチを切り抜けたり、相手打線の勢いを止めたり、味方が反撃するための時間をつくったりする役割も担います。
セットアッパーとは?セットアッパーとは、主に試合終盤の重要な局面を任され、抑え投手につなぐ役割を担う中継ぎ投手です。7回や8回に登板するケースが多く、僅差でリードしている試合では、勝利を左右する重要な役割を果たします。
セットアッパーが走者を残したまま降板したり、相手に連打を許したりすれば、抑え投手が登板する前に試合の流れが変わる可能性があります。そのため、球威だけでなく、ピンチでの制球力や状況判断も重要です。
なお、セットアッパーは必ず8回を投げる投手という意味ではありません。チームによって担当イニングは異なり、試合の状況に応じて7回や9回などを任される場合もあります。
抑え投手とは?クローザーとの違い抑え投手とは、主にリードしている試合の最後を任され、勝利を確定させる役割の投手です。「クローザー」や「ストッパー」とも呼ばれます。クローザーは英語のcloserに由来する名称で、日本語の抑え投手と基本的に同じ役割を指します。
抑え投手が登板する典型的な場面は、リードした9回です。ただし、必ず9回に登板するわけではありません。試合が延長戦になった場合や、8回から登板して試合終了まで投げる場合など、状況によって担当するイニングは変わります。
また、抑え投手は毎試合必ず登板するわけではありません。チームがリードしていなければ登板機会がないこともあり、連投や疲労を考慮して別の救援投手が起用される場合もあります。
ロングリリーフとは?ロングリリーフとは、救援投手が複数のイニングを投げる起用方法、またはその役割を担う投手のことです。先発投手が序盤で大量失点した場合や、けがなどで早期降板した場合に、試合を立て直すために登板することがあります。
たとえば、先発投手が2回で降板した後、ロングリリーフが3〜4イニングを投げれば、ほかの救援投手を温存できます。延長戦で試合が長引いた場合にも、複数イニングを任せられる投手は貴重な存在です。
この役割では、短い登板で全力を出す能力だけでなく、球数を管理しながら長く投げるスタミナも求められます。ロングリリーフは中継ぎの一種ですが、一般的な1イニング前後の継投とは必要な能力が異なります。
【登板タイミング】リリーフ投手はいつ登板する?ブルペンの仕組み
リリーフ投手の登板タイミングは、回数だけで決まるものではありません。監督や投手コーチは、先発投手の投球内容、球数、走者の状況、相手打者との相性、試合の重要度などを踏まえて継投を判断します。
リリーフ投手が登板する代表的な場面- 先発投手が疲労してきたとき:球数が増えたり、球威や制球が落ちたりした場合に交代を検討する。
- ピンチを迎えたとき:走者を背負い、長打などで失点する危険が高まった場面で救援投手を投入する。
- 打者との相性を考慮するとき:左右の打席や打者の特徴を踏まえ、対戦に適した投手へ交代する。
- 終盤のリードを守りたいとき:セットアッパーや抑え投手を投入し、勝利につながるアウトを確保する。
- 先発投手が早期降板したとき:ロングリリーフを起用して、ほかの救援投手への負担を抑える。
ここで重要なのが、失点してから交代するのか、失点する前に交代するのかという判断です。監督は、現在の投手が打者を抑えられる可能性と、交代した場合に得られる効果を比較します。継投の成否は、実際に失点したかどうかだけでなく、交代時点でどのような危険があったのかを踏まえて考える必要があります。
野球のブルペンの仕組みブルペンとは、救援投手が試合中に投球練習をして登板に備える場所です。試合展開に応じて、複数の投手が準備を進めています。監督や投手コーチが交代を検討すると、候補となる投手に準備を指示し、投球練習を通じて登板できる状態に整えます。
ただし、ブルペンで準備している投手が必ず登板するとは限りません。打者の結果や走者の状況が変わり、継投の予定が変更されることもあります。救援投手にとっては、登板の可能性に備えながら、体力を消耗しすぎないよう準備することも大切です。
リリーフ投手の登板タイミングは、相手打線の左右だけでなく、投手の連投状況や当日のコンディションにも左右されます。ブルペンでの準備と実際の登板を含めて、救援投手の運用は試合中の継続的な判断によって成り立っています。
ワンポイントリリーフは日本とメジャーで違う?ワンポイントリリーフは、特定の打者との対戦を目的に短時間だけ登板する起用方法です。たとえば、左打者との相性がよい左投手を、その打者にぶつけるケースが代表的です。
日本の公認野球規則では、米国メジャーリーグで採用されている「原則として最低3人の打者と対戦する」というルールをそのまま適用していません。NPBでは、原則として登板時の打者の打席が終わるか、攻守交代になるまで投球する扱いです。この違いは、ワンポイント起用のしやすさにも関係します。
【記録の意味】セーブとは?ホールドとは?評価指標を理解する
リリーフ投手の活躍を表す代表的な記録が、セーブとホールドです。どちらも救援投手の貢献を評価するために使われますが、記録が付く条件と役割は異なります。
セーブとは?野球の公式記録における意味セーブ(SV)は、一定の条件を満たして試合を締めくくった救援投手に与えられる記録です。日本野球機構(NPB)の公認野球規則9.19では、勝利チームの最後の投手であること、勝利投手ではないこと、少なくとも3分の1イニングを投げていることなどが基本条件となっています。
これらに加えて、登板時に3点以内のリードがあり1イニング以上投げる場合、同点となる可能性がある走者や打者を迎える状況でリードを守る場合、または3イニング以上投げる場合など、規定された条件のいずれかを満たす必要があります。
つまり、最終回を無失点に抑えただけで、必ずセーブが付くわけではありません。大差でリードした試合を最後まで投げ切っても、規定上の条件に該当しなければセーブは記録されないことがあります。
セーブ数は抑え投手を評価する代表的な指標ですが、登板機会の数にも左右されます。チームがリードした状態で終盤を迎える回数が少なければ、優秀な抑え投手でもセーブ数が伸びないことがあります。
ホールドとは?中継ぎ投手を評価する記録ホールド(HLD)は、一定の条件を満たして途中登板した救援投手に与えられる記録です。主に、リードを保ちながら次の投手へつなぐ中継ぎやセットアッパーの働きを評価するために用いられます。
セーブと違い、ホールドは試合の最後を投げることを前提とした記録ではありません。複数の救援投手がそれぞれ条件を満たせば、同じ試合で複数の投手にホールドが付くこともあります。また、NPBの記録では、条件を満たした投手にチームの最終的な勝敗にかかわらずホールドが記録される場合があります。
実例として、NPB公式記録員による2025年10月8日付の記録員コラムでは、阪神の及川雅貴投手が同年9月28日に18試合連続ホールドを達成したことが紹介されました。同コラムは、9月30日のロッテ対楽天戦でB.サモンズ投手が6イニングを投げて記録したホールドも取り上げています。
この事例から分かるのは、ホールドが必ずしも「8回を1イニングだけ投げる投手」の記録ではないということです。救援投手が担う役割は幅広く、試合の状況によっては長いイニングを投げた投手も評価の対象になります。
セーブとホールドの違いを簡単に整理セーブは、主に勝利を締めくくる投手の働きを評価する記録です。一方、ホールドは、途中登板して所定の条件を満たし、次の投手へつなぐ救援投手の働きを評価します。
なお、役割の呼び名と公式記録は同じものではありません。抑え投手でも条件を満たさなければセーブが付かない場合があり、セットアッパーでも登板状況などによってホールドが付かないことがあります。記録を確認する際は、投手の役割だけでなく、その試合での登板条件も見ることが大切です。
【戦術を深掘り】なぜリリーフを起用する?勝敗を左右する理由
リリーフを起用する理由は、先発投手が投げられなくなったからというだけではありません。試合の流れを変えたり、失点の可能性を減らしたり、投手陣全体の負担を調整したりするために、積極的に継投が行われます。
失点の危険が高まる前に交代する先発投手が好投していても、球数が増え、打者に球種や配球を読まれ始めると、失点の危険が高まることがあります。監督は、今の投手を続投させるか、フレッシュな救援投手へ交代するかを判断します。
特に、試合終盤の僅差では1点の重みが大きくなります。走者が得点圏にいる場面で相手の中軸打者を迎えた場合、次の1球や1打席で試合の結果が変わる可能性があるため、監督は早めの交代を選ぶことがあります。
打者との相性を利用する救援投手を起用する理由には、左右の相性や球種の特徴を利用することも含まれます。左打者に対して強い左投手や、特定の球種を苦手とする打者に有効な投手を投入することで、アウトを取れる可能性を高めます。
ただし、左右だけで結果が決まるわけではありません。打者の能力、投手の制球力、走者の状況、次に控える打者なども判断材料になります。相性は、継投を考えるうえでの要素の一つです。
リリーフの負担と投手陣全体の管理救援投手は短いイニングを全力で投げることが多い一方、連日登板する可能性もあります。登板した日の球数だけでなく、連投日数や投球内容、疲労の蓄積を管理しなければ、投手本来の力を発揮しにくくなることがあります。
そのため、監督や投手コーチは、勝利の可能性が高い場面に実力のある投手を投入しつつ、翌日以降の試合も見据えて登板機会を調整します。重要な試合で主力の救援投手を起用することと、シーズンを通して投手陣を維持することの両立が大切です。
勝利の方程式とは?「勝利の方程式」とは、リードしている試合の終盤で、特定の中継ぎ投手やセットアッパー、抑え投手を組み合わせて勝利につなげる継投パターンを指す表現です。
たとえば、7回を中継ぎ、8回をセットアッパー、9回を抑え投手が担当する形が考えられます。役割分担が明確であれば、投手は自分の登板場面を想定して準備しやすくなります。
ただし、勝利の方程式は固定されたものではありません。投手の不調や疲労、相手打線との相性、試合展開によって継投は変わります。決められた順番を守ることよりも、その場面で最も失点を防げる選択をすることが優先されます。
【観戦のコツ】リリーフ投手を見るときに注目したいポイント
リリーフ投手の価値は、防御率やセーブ数だけでは十分に判断できません。試合を観戦するときは、どのような状況で登板し、どのようにピンチを切り抜けたのかに注目すると、救援投手の働きがより明確になります。
登板時の点差と走者の状況同じ1イニング無失点でも、走者なしで登板した場合と、満塁で登板した場合では、置かれている状況が異なります。特に、前の投手が残した走者を背負って登板する救援投手は、失点を防ぐための難しい判断を迫られます。
そのため、リリーフ投手を評価するときは、登板時の点差やアウトカウント、走者の有無も確認しましょう。単に失点の有無だけを見るより、投手が置かれた状況を踏まえて投球内容を理解できます。
防御率・セーブ・ホールドを組み合わせる防御率は、投手がどの程度自責点を許したかを示す指標です。セーブは試合を締めくくる働き、ホールドは途中登板での働きを評価する記録として、それぞれ異なる情報を持っています。
ただし、どの指標にも限界があります。セーブ数はチームのリードや登板機会に左右され、ホールド数も登板する場面やチーム内での役割によって変わります。防御率も、登板した場面や投球回数を考慮せずに比較すると、実際の貢献度を見誤る可能性があります。
複数の指標を組み合わせ、登板時の状況や投球内容まで確認することが、リリーフ投手の実力を理解する近道です。
リリーフに関するよくある誤解- 誤解1:リリーフは中継ぎだけを指す。
実際には、中継ぎ、セットアッパー、抑え、ロングリリーフなどを含む広い呼び名です。 - 誤解2:抑え投手は必ず9回に登板する。
担当するイニングは試合展開やチームの方針によって変わります。 - 誤解3:セーブが多い投手ほど、必ず優秀である。
セーブ数は登板機会にも左右されるため、防御率や登板時の状況も合わせて確認する必要があります。 - 誤解4:ホールドは必ず1イニングだけ投げた投手に付く。
NPBの公式記録では、条件を満たせば複数イニングを投げた救援投手にもホールドが記録されます。
【野球リリーフとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:野球のリリーフとは簡単にいうと何ですか? A1:先発投手の後を受けて登板する救援投手の総称です。中継ぎやセットアッパー、抑え、ロングリリーフなどが含まれます。
Q2:リリーフと中継ぎは同じ意味ですか? A2:厳密には異なります。リリーフは救援投手全体を指し、中継ぎはその中でも試合の途中を担当する投手を指します。
Q3:セットアッパーとクローザーの違いは何ですか? A3:セットアッパーは主に試合終盤の重要な局面を担当し、抑えにつなぐ投手です。クローザーは主に最後を投げ、勝利を締めくくる投手です。
Q4:セーブは何点差でも付くのですか? A4:いいえ。最終投手であることや勝利投手ではないことなどの基本条件に加え、リードの点差や登板状況、投球回数について定められた条件を満たす必要があります。
Q5:ホールドは負けた試合でも記録されますか? A5:はい。NPBでは、救援投手が所定の条件を満たせば、チームが最終的に敗れた試合でもホールドが記録される場合があります。
Q6:ロングリリーフとはどのような投手ですか? A6:先発投手の早期降板や延長戦などで、複数イニングを投げる救援投手、またはその起用方法を指します。スタミナと投球内容の安定性が大切です。
野球のリリーフとは、先発投手の後を受けて登板する救援投手の総称です。その中には、試合の途中をつなぐ中継ぎ、終盤の重要な場面を担うセットアッパー、勝利を締めくくる抑え、複数イニングを投げるロングリリーフなど、さまざまな役割があります。
また、セーブとホールドは、救援投手の貢献を評価するための異なる公式記録です。数字だけで投手の実力を決めるのではなく、登板時の点差や走者の状況、投球内容、チーム内での役割まで見ることが大切です。
【プロの結論】リリーフ投手を理解するうえで最も重要なのは、「何回を投げたか」だけでなく、「どのような場面で登板し、何を求められていたか」を見ることです。試合終盤の継投やブルペンの動きに注目すれば、監督の戦術や救援投手の価値が見えてきます。リリーフの役割を知ることは、野球の試合をより深く楽しむための大きな手がかりになります。