2023年11月15日、千葉県鎌ケ谷市の鎌ケ谷スタジアムで「プロ野球12球団合同トライアウト2023」が開催されました。参加したのは、戦力外通告などを受け、プロ野球での再起を目指す59選手。阪神の高山俊、北海道日本ハムの井口和朋、オリックスの吉田凌ら、実績のある選手たちが次の契約を懸けてシート打撃に臨みました。
注目されたのは、5打数2安打2四球1盗塁を記録した高山俊のアピールだけではありません。井口和朋は2奪三振の好投を披露し、吉田凌は千葉ロッテへの移籍、西濱勇星は独立リーグを経由して東京ヤクルトへの入団につなげました。2026年10月現在までの動向を追うと、トライアウト当日の成績と、その後に野球を続けられるかどうかは、必ずしも同じではないことが見えてきます。日刊スポーツや各球団の公式発表を基に、試験当日の結果から契約、現在の進路までを整理します。
【トライアウト2023結果速報】11月15日の開催概要と59選手の挑戦

2023年の12球団合同トライアウトは、ファイターズ鎌ケ谷スタジアムで行われました。対象となったのは、所属球団から戦力外通告を受けた選手など、プロ野球での現役続行を目指す選手たちです。参加者には、かつて一軍で実績を残した選手から、育成契約で経験を積んできた若手まで、幅広い顔ぶれがそろいました。
競技形式は、カウント1ボール1ストライクから始めるシート打撃。投手は打者を相手に球威や制球、変化球の精度を示し、野手は投球への対応力や打球の質、走塁などをアピールしました。
通常の公式戦とは異なり、トライアウトは短い実戦形式の機会です。打者が対戦する投手の数も、投手が対戦する打者の数も限られます。ホームランや三振といった目立つ結果が生まれても、それだけで翌シーズンの契約が保証されるわけではありません。
また、トライアウトに参加しない選手もいます。2023年は、戦力外通告を受けた選手のうち、上林誠知や森唯斗、嘉弥真新也らが参加を見送りました。合同トライアウトは再起を目指すための選択肢の一つであり、参加の有無だけで選手の現役続行への意欲を判断することはできません。
【シート打撃成績】高山俊・井口和朋・吉田凌らの結果を検証
2023年の結果速報で特に注目を集めたのが、阪神を戦力外となった高山俊の打撃です。日刊スポーツの当日速報によると、高山は第1打席で二塁打を放つなど、5打数2安打2四球を記録。デイリースポーツは盗塁も成功させたと報じており、打撃だけでなく走塁でも存在感を示しました。
高山は2015年ドラフト1位で阪神に入団し、2016年には新人王を獲得した外野手です。一軍での出場機会が減った後も現役続行を目指し、合同トライアウトに参加しました。当日の結果は、新しい環境でプレーを続けるためのアピールとなりました。
投手陣では、北海道日本ハムから戦力外通告を受けた井口和朋が好投しました。対戦した打者3人に安打を許さず、2三振を奪取。最速146キロを記録しています。短い登板機会のなかで、球速だけでなく変化球で三振を取る能力も示しました。
オリックスを戦力外となった吉田凌も、シート打撃で打者3人と対戦し、2三振を奪いました。一方、西濱勇星は3人との対戦で2三振を奪い、残る1人を二飛に打ち取りました。両投手とも無安打に抑えたものの、その後の進路は異なります。
野手では、ヤクルトから戦力外通告を受けていた中山翔太が、DeNAの笠原祥太郎から左翼席への2ランを放ちました。また、西川僚祐は田中健二朗から左越え本塁打を記録。福田秀平も鈴木裕太との対戦で右翼フェンス直撃の二塁打を放っています。高山俊以外にも、長打力を印象づけた選手が複数いました。
ただし、シート打撃の結果は、通常の公式戦における打率や防御率とは別物です。対戦数が少なく、打者と投手の組み合わせにも違いがあるため、単純な数字の比較では選手の能力を正確に評価できません。
【トライアウト2023参加者一覧】59選手を守備位置別に紹介
当日の参加選手は、投手41人、捕手5人、内野手5人、外野手8人の計59人です。以下は日刊スポーツの参加選手一覧などに基づく、守備位置別の一覧です。球団名は主な所属歴をたどる際の参考となります。
投手(41人)
- 渡辺雄大、薮田和樹、行木俊、山口翔、田中豊樹、山本一輝、高田竜星、阿部剣友、太田龍、坂本工宜
- 山川晃司、市川悠太、成田翔、久保拓眞、鈴木裕太、吉田大喜、笠原祥太郎、平田真吾、田中健二朗、池谷蒼大、加藤大
- 高山優希、井口和朋、姫野優也、立野和明、高田萌生、佐藤智輝、引地秀一郎、福森耀真、石田駿
- 張奕、中塚駿太、多和田真三郎、佐藤奨真、土居豪人、吉田凌、西濱勇星、辻垣高良、高橋純平、岡本直也、中道佑哉
捕手(5人)
- 松井聖、谷川唯人、中川拓真、釣寿生、居谷匠真
内野手(5人)
- 園部佳太、折下光輝、田中俊太、中山誠吾、速水将大
外野手(8人)
- 高山俊、福田秀平、保科広一、中山翔太、伊藤康祐、西川僚祐、佐藤優悟、早真之介
この顔ぶれには、NPBでの一軍経験が豊富な選手だけでなく、育成選手として在籍していた選手や、すでに球団を離れて独立リーグや軟式野球でプレーしていた選手も含まれます。たとえば、元西武の多和田真三郎は軟式野球でプレーした後に参加し、最速143キロを記録しました。現役続行を目指す選手にとって、トライアウトは所属先がない期間の実力を示す場でもありました。
【トライアウト後の契約動向】井口和朋・吉田凌・西濱勇星はどうなった?
2023年のトライアウト後に注目すべきなのは、参加者全員を一律に「合格」「不合格」と分類するのではなく、実際の契約発表とその後の進路を追うことです。球団から公式に発表されるのは、入団や育成契約、支配下登録などの個別の決定であり、合同トライアウト全体の公式な合格者名簿ではありません。
2023年の参加者のうち、井口和朋と吉田凌は、トライアウト後に別のNPB球団との契約を実現しました。西濱勇星はすぐにNPB球団へ入団したのではなく、独立リーグを経由してヤクルトに入団しています。高山俊も、オイシックス新潟への加入によってプレーを続ける道を確保しました。
| 選手 | 2023年の結果 | トライアウト後の進路 |
|---|---|---|
| 高山俊 | 5打数2安打2四球、1盗塁 | 2023年12月、オイシックス新潟への加入が決定。2026年も同球団に所属。 |
| 井口和朋 | 打者3人を無安打、2奪三振。最速146キロ。 | 2023年12月にオリックスと育成契約。2024年に支配下登録。2026年はメキシコ挑戦とオイシックスへの復帰を経て、豪州リーグへの挑戦を発表。 |
| 吉田凌 | 打者3人と対戦し、2奪三振。 | 2023年11月にロッテと育成契約。2024年に支配下登録されたが、同年オフに戦力外となり、2025年1月にプロ野球生活の終了を公表。 |
| 西濱勇星 | 3人と対戦し、2奪三振。被安打0。 | くふうハヤテを経て、2024年9月にヤクルトと育成契約。2026年もヤクルトの育成選手として登録。 |
井口は日本ハム時代の2021年に43試合へ登板し、防御率1.86を記録した実績のある救援投手です。トライアウトでは打者3人を無安打に抑え、その後オリックスと育成契約を結びました。2024年3月には支配下選手登録も実現しており、戦力外通告から一軍登録へと再び道を切り開いた例です。
吉田は2023年11月28日にロッテとの育成契約が発表されました。ただし、契約を獲得することと、長く現役を続けることは別の課題です。2024年5月には支配下登録を勝ち取りましたが、同年オフに戦力外通告を受け、2025年1月にはプロ野球生活を終えたと公表しています。本人はその後も別の形で野球を続ける意向を示しました。
西濱のケースは、トライアウトの結果がすぐに契約へ結びつかなくても、再起の道が閉ざされるわけではないことを示しています。2023年の参加後、くふうハヤテベンチャーズ静岡でプレーし、2024年9月にヤクルトとの育成契約が発表されました。合同トライアウト当日だけでは測れない、その後の実戦経験も進路を左右した事例です。
【2026年最新】高山俊・井口和朋・吉田凌・西濱勇星の現在
トライアウト2023の参加者を2026年の視点から見ると、再起の形は一つではありません。NPB球団で再び一軍登録を目指す選手もいれば、ファームリーグや独立リーグ、海外リーグへと活動の場を移す選手もいます。
高山俊:オイシックス新潟でプレーを継続
高山は2023年12月5日にオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブへの加入が発表されました。オイシックスは2024年からNPBのファームリーグに参加しており、高山は新しい環境で実戦経験を積む道を選択。2026年10月時点でも同球団の選手プロフィールに掲載されています。阪神時代のような一軍での活躍を目指すだけでなく、競技を続ける場を確保したことが、戦力外通告後の大きな転換点となりました。
井口和朋:NPBからメキシコ、そして豪州リーグへ
井口は2024年から2025年までオリックスでプレーし、2026年にはオイシックス新潟へ移籍しました。同年3月にはメキシカンリーグのベラクルス・イーグルスへ移籍し、5月にはオイシックスとの再契約が発表されています。その後、オイシックスは2026年9月29日に井口の退団を発表。本人は豪州リーグへの挑戦を明らかにしました。NPBへの復帰だけにこだわらず、海外を含めて活動の場を広げる進路を選んでいます。
吉田凌:プロ野球生活を終え、別の形で野球を継続
吉田はロッテで育成契約から支配下登録へ進みましたが、2024年オフに再び戦力外通告を受けました。2025年1月にはプロ野球選手としての生活を終えたことを公表し、今後も別の形で野球を続ける意向を示しています。2026年の進路については、プロ球団との契約継続ではなく、本人が表明したプロ野球生活終了という節目を押さえる必要があります。
西濱勇星:ヤクルトの育成選手として再びNPBへ
西濱は2023年のトライアウト後、くふうハヤテで経験を積み、2024年9月にヤクルトとの育成契約を結びました。2026年も球団公式プロフィールに掲載されており、NPBでの再起を目指す立場にあります。2023年の試験当日に契約が決まらなかった選手が、別のチームでの実戦を経てNPBへ戻った点は、トライアウト後の進路を考えるうえで重要です。
この4人を比較すると、トライアウト後の契約動向は「NPB復帰」だけで説明できません。育成契約から支配下登録へ進む道、ファームリーグでプレーを続ける道、海外リーグに挑戦する道、プロ野球生活を終えて野球に関わり続ける道など、それぞれ異なる選択肢があります。
【トライアウト合格率と実態】契約を勝ち取る選手は何が違うのか
「トライアウト合格率」を考えるときに注意したいのは、合同トライアウトには一般的な採用試験のような統一の合格基準や公式の合格率が公表されていないことです。球団が個別に契約を判断するため、何を合格と数えるかによって割合が変わります。
2023年の参加者59人を分母として、トライアウト後にNPB球団と契約した井口和朋と吉田凌の2人だけを数えると、約3.4%です。一方、独立リーグでプレーした後、2024年にヤクルトへ入団した西濱勇星まで含めると3人となり、約5.1%になります。ただし、これは契約例を限定して計算した参考値であり、公式に発表された合格率ではありません。
前年の2022年についても、参加者49人のうちNPBへ復帰したのは4人だったと報じられています。合同トライアウトを経て新しい契約を獲得する選手は、参加者全体から見ると少数です。
では、球団はどこを評価しているのでしょうか。シート打撃での安打数や奪三振数は重要な判断材料の一つですが、それだけでは十分ではありません。投手なら球速、制球、変化球の精度、投球フォームや役割への適性。野手なら打撃の対応力、守備、走塁、ポジションの需要などが評価対象になります。加えて、球団が翌シーズンに必要としている戦力との一致も重要です。
井口の事例では、トライアウトでの好投に加えて、NPBでの登板経験や救援投手としての実績がありました。吉田も、トライアウトの結果だけでなく、ロッテによる入団テストを経て育成契約を獲得しています。西濱は別のチームで経験を積んだ後にヤクルトへ入団しました。これらの経緯から、当日の成績は選手を評価する一つの材料であって、契約を決定する唯一の基準ではないことが分かります。
また、歴代トライアウト合格者の動向を調べる際にも、「当日に目立った選手」と「最終的に契約を獲得した選手」を分けて考える必要があります。トライアウトで結果を残しても契約に至らないケースがある一方、当日に契約が決まらなくても、独立リーグなどでのプレーを経て再びNPBに戻る選手もいます。
戦力外通告を受けた選手の再起を評価するなら、当日の数字だけでなく、その後の契約発表、登録区分、所属先での実戦経験まで追うことが大切です。
【トライアウト2023結果】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:トライアウト2023の結果はいつ、どこで行われたものですか? A1:2023年11月15日に千葉県鎌ケ谷市の鎌ケ谷スタジアムで開催されました。投手と野手を合わせて59選手が参加し、カウント1ボール1ストライクからのシート打撃でアピールしました。
Q2:高山俊のトライアウト結果はどうでしたか? A2:高山俊は5打数2安打2四球を記録し、盗塁も成功させました。その後、2023年12月にオイシックス新潟への加入が発表され、2026年も同球団でプレーを続けています。
Q3:井口和朋と吉田凌の契約先はどこですか? A3:井口和朋は2023年のトライアウト後にオリックスと育成契約を結び、2024年に支配下登録されました。2026年にはオイシックス新潟でのプレーやメキシコ挑戦を経て、豪州リーグへの挑戦を発表しています。吉田凌は2023年11月にロッテと育成契約を結び、2024年に支配下登録されたものの、同年オフに戦力外となり、2025年1月にプロ野球生活の終了を公表しました。
Q4:トライアウト2023の公式な合格者一覧はありますか? A4:合同トライアウト全体について、統一基準による公式な合格者名簿や合格率が発表されているわけではありません。契約動向を把握するには、各球団の入団発表や支配下登録の発表を確認する必要があります。
Q5:トライアウトで契約できなかった選手は、その後もプロを目指せますか? A5:可能です。西濱勇星は2023年のトライアウト後にくふうハヤテでプレーし、2024年9月にヤクルトと育成契約を結びました。トライアウト当日に契約が決まらなくても、独立リーグなどで実戦経験を積み、再びNPB球団との契約を目指す道があります。
2023年11月15日のプロ野球12球団合同トライアウトには59選手が参加し、高山俊のマルチ安打、井口和朋の2奪三振、吉田凌や西濱勇星の投球など、さまざまなアピールが見られました。その後、井口はオリックス、吉田はロッテとの契約を勝ち取り、西濱も独立リーグを経由してヤクルトへの入団を実現しています。
一方、2026年時点の進路は選手によって大きく異なります。高山はオイシックス新潟でプレーを続け、井口は海外リーグへの挑戦を選択。吉田はプロ野球生活を終え、西濱はヤクルトの育成選手として再起を目指しています。
トライアウトの結果を見る際に大切なのは、安打や奪三振といった当日の数字だけで選手の将来を判断しないことです。契約先、育成から支配下への昇格、その後の所属先や進路まで確認することで、戦力外通告からの再起をより正確に理解できます。2023年の参加者たちが示したのは、プロ野球で再び契約を得る道も、別の舞台で野球を続ける道も、一人ひとり異なるという現実です。