お相撲さんは、毎日どんな生活を送っているのでしょうか。早朝からの厳しい稽古、大きな鍋を囲むちゃんこ、相撲部屋での共同生活など、土俵の外にも知られざる日常があります。一方、力士の給料は番付によって大きく異なり、十両以上の関取と幕下以下では、収入だけでなく生活上の待遇にも明確な違いがあります。
2026年10月現在、特に注目されるのが、日本相撲協会が同年7月30日に発表した待遇改定です。2027年初場所から関取の月給が引き上げられ、幕内優勝賞金は従来の1,000万円から2,000万円へ倍増する予定です。朝稽古や食事の習慣、力士になる条件、番付と年収の関係まで、公式情報と報道をもとに詳しく解説します。
【お相撲さんの1日】朝稽古からちゃんこ、昼寝までの生活に密着

お相撲さんの生活を理解するうえで欠かせないのが、相撲部屋を拠点とした毎日のスケジュールです。部屋ごとに時間割や慣習は異なりますが、早朝の稽古、稽古後の食事、休息、部屋の仕事という流れが一般的です。
朝は早い!若い力士から稽古場へ多くの相撲部屋では、早朝6時前後から稽古の準備が始まり、午前中に稽古を終えます。力士の人数や部屋の方針によっては、稽古が昼近くまで続くこともあります。
稽古では、四股、すり足、鉄砲といった基本動作に加え、相手と組み合う申し合い、ぶつかり稽古などを行います。四股は下半身の強化やバランスの向上、すり足は重心移動や足運び、鉄砲は突き押しの動作を身につけるための基本練習です。
若い力士が先に稽古を始め、関取が後から加わる形式を取る部屋もあります。番付や経験に応じて稽古の順番が変わることがあり、単に体力を鍛えるだけでなく、先輩の動きを見て技術を学ぶ時間にもなっています。
稽古が終わると食事と休息稽古後は、入浴や身支度を済ませて食事を取ります。力士の食事は1日2回が基本とされ、昼ごろの食事と夕方から夜の食事を中心にする部屋が多くあります。ただし、補食を取り入れるなど、食事の方法は個人や部屋によって異なります。
食後は昼寝や休息の時間です。激しい稽古で消耗した体を回復させ、必要な栄養を取ることも競技生活の一部です。夕方になると、掃除や夕食の準備、ちゃんこ番などの仕事を担当する力士もいます。
こうした生活は、自由時間がまったくないという意味ではありません。稽古や部屋の仕事を終えれば、読書や動画視聴、趣味、自主トレーニングなどに時間を使う力士もいます。ただし、本場所が近づけば調整や体のケアが必要になり、休日も一般的な会社員とは異なるリズムになりがちです。
スポーツジャーナリストによる相撲部屋の取材記事や、2026年3月にTBS NEWS DIGで紹介された元小結・遠藤の北陣親方の話からも、朝稽古、食事、休息を軸とする生活の実態がうかがえます。
【ちゃんこ鍋と体づくり】体重を増やすだけでは強くなれない
お相撲さんと聞いて、多くの人が思い浮かべるのがちゃんこ鍋と大きな体です。しかし、力士の食事は単に大量に食べて体重を増やすためだけのものではありません。稽古で使ったエネルギーを補い、筋肉や体力を維持し、翌日の稽古に備えるという役割があります。
ちゃんこは鍋料理だけを指す言葉ではない相撲部屋で「ちゃんこ」と呼ばれるのは、力士が作る食事全般です。一般にはちゃんこ鍋が有名ですが、焼き魚、炒め物、刺身、肉料理、ご飯なども食事の一部になります。
ちゃんこ鍋には、鶏肉や魚、野菜、豆腐など、さまざまな食材を組み合わせられる利点があります。大人数分を一度に調理しやすく、栄養をまとめて取りやすいため、相撲部屋の食事に適しています。
日本相撲協会の入門案内や、相撲部屋の食事を取材した記事でも、ちゃんこは力士の生活を支える重要な要素として紹介されています。実際の献立や味付けは部屋によって異なり、担当する力士が料理を覚えながら食事を用意することもあります。
なぜ食後に昼寝をするのか力士が食事の後に休むのは、朝稽古で消耗した体を回復させ、体づくりに必要な休息を確保するためです。大きな体を維持するには、食事だけでなく、睡眠やトレーニングの組み合わせが欠かせません。
ただし、「力士は食べて寝るだけ」というイメージは正確ではありません。稽古では瞬発力、筋力、柔軟性、バランス感覚、相手の動きを読む判断力などが大切です。体重が重いだけでは、立ち合いの反応や足運びが優れているとは限りません。
お相撲さんの体重に理想の数字はある?力士には、全員に共通する理想体重や、現役中に守るべき一律の上限体重が設けられているわけではありません。体格、得意技、筋力、柔軟性、持久力などを踏まえ、自分の相撲に適した体づくりを目指します。
大きな体は相手を押し返したり、土俵際で踏ん張ったりするうえで有利に働く場合があります。一方で、体重が増えれば膝や腰などへの負担も大きくなり得ます。単純に体重を増やすことよりも、動ける体を維持しながら力を発揮できることが重要です。
また、食事の回数や量は全員が同じではありません。稽古前に補食を取る力士もいれば、体重やコンディションに応じて食事内容を調整する力士もいます。ちゃんこ鍋だけで体格が決まるわけではなく、日々の稽古と食事、休養の積み重ねが体を作ります。
【番付の仕組みと階級一覧】十両から待遇が大きく変わる
大相撲には、力士の地位と序列を示す「番付」があります。番付は本場所の成績などを踏まえて見直され、次の場所に向けて新しいものが発表されます。番付は単なるランキングではなく、給料や生活上の待遇、身につけられる装束などにも関わる仕組みです。
横綱から序ノ口までの階級大相撲の番付は、上から横綱、大関、関脇、小結、前頭、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口という順に並びます。幕内は横綱から前頭までを指し、十両と幕内を合わせて「関取」と呼びます。
関取になることは、力士のキャリアにおける大きな節目です。十両に昇進すると月給が支給され、待遇が変わります。幕下以下では月給制ではなく、場所ごとの手当などが収入の基本となるため、十両と幕下の境目は経済面でも大きな意味を持っています。
日本相撲協会の公式解説でも、番付は日常生活の待遇に影響する仕組みとして説明されています。昇進は勝ち星だけで機械的に決まるものではなく、現在の地位、成績、他の力士との兼ね合いなどを踏まえて判断されます。
2026年の月給と2027年初場所からの改定額2026年7月30日、日本相撲協会は理事会で力士の給与や手当の改定を発表しました。日刊スポーツなどの報道によると、関取の月給は2019年以来8年ぶりに改定され、2027年初場所から適用されます。
| 番付・階級 | 待遇区分 | 2026年の額 | 2027年初場所から |
|---|---|---|---|
| 横綱 | 関取の月給 | 300万円 | 330万円 |
| 大関 | 関取の月給 | 250万円 | 275万円 |
| 関脇・小結 | 関取の月給 | 180万円 | 200万円 |
| 前頭(平幕) | 関取の月給 | 140万円 | 155万円 |
| 十両 | 関取の月給 | 110万円 | 120万円 |
| 幕下 | 場所手当 | 16万5,000円/場所 | 18万円/場所 |
| 三段目 | 場所手当 | 11万円/場所 | 12万円/場所 |
| 序二段 | 場所手当 | 8万8,000円/場所 | 9万5,000円/場所 |
| 序ノ口 | 場所手当 | 7万7,000円/場所 | 8万2,000円/場所 |
表の金額は、2026年7月30日の改定発表を報じた各社の報道に基づくものです。幕下以下の金額は月給ではなく、年6回の本場所ごとに支給される場所手当です。実際の収入には、成績に応じた奨励金なども関わります。
2027年からの改定では、横綱が月30万円、大関が月25万円、関脇・小結が月20万円の増額となります。幕内の前頭は月15万円、十両は月10万円の増額です。幕下以下の場所手当も引き上げられ、関取だけでなく、若い力士の待遇改善も図られます。
番付はどうやって上がるのか番付は、本場所での成績を中心に、現在の地位や対戦状況などを踏まえて編成されます。勝ち越しは昇進につながる重要な要素ですが、勝ち越せば必ず同じ幅だけ番付が上がるという単純な仕組みではありません。
たとえば、幕下上位で好成績を残せば十両昇進が視野に入ります。一方、十両から幕下へ陥落すると、月給を失い、場所手当を基本とする待遇に変わる可能性があります。番付の上下は、力士の収入と生活の安定に直結する厳しい競争でもあるのです。
【2027年初場所から何が変わる?】給料・年収・優勝賞金を解説
2026年に発表された待遇改定の中でも、注目を集めたのが幕内優勝賞金の倍増です。日本相撲協会は、力士の処遇改善を目的に、給与や手当だけでなく、優勝賞金と三賞の賞金も引き上げることを決めました。
幕内優勝賞金は1,000万円から2,000万円へ日刊スポーツなどの2026年7月30日付報道によると、2027年初場所からの優勝賞金は次のように変更されます。
- 幕内優勝:1,000万円から2,000万円へ
- 十両優勝:200万円から300万円へ
- 幕下優勝:50万円から70万円へ
- 三段目優勝:30万円から50万円へ
- 序二段優勝:20万円から30万円へ
- 序ノ口優勝:10万円から20万円へ
- 殊勲賞・敢闘賞・技能賞:各200万円から300万円へ
優勝賞金と三賞の賞金の改定は、1994年以来33年ぶりです。幕内優勝賞金は従来の1,000万円から2,000万円へと倍増します。三賞も各300万円となり、優勝だけでなく、場所で顕著な活躍を見せた力士への報奨も増額されます。
ただし、優勝賞金や三賞は、すべての力士に毎月支給される給料ではありません。優勝や受賞という成果に応じて得られる賞金であり、通常の月給とは性質が異なります。
お相撲さんの年収はいくら?力士の年収は、番付だけで一律に決まるものではありません。関取の月給に加え、賞与や各種手当、力士褒賞金、取組に応じた懸賞金、優勝賞金、三賞の賞金などが収入に影響します。幕下以下では月給がないため、場所手当や成績に応じた奨励金などが中心になります。
2027年の改定後、月給を12か月分だけ単純計算した場合、横綱は年3,960万円、大関は3,300万円、関脇・小結は2,400万円、前頭は1,860万円、十両は1,440万円となります。ただし、これは月給だけを12倍した参考額であり、賞与や手当などを含めた実際の年収とは異なります。
懸賞金や賞金は成績によって変動し、出場する場所や取組の内容によっても収入は異なります。したがって、横綱や大関の年収を月給だけで判断したり、幕内優勝賞金を毎年の収入として計算したりするのは適切ではありません。
なぜ2026年に待遇が見直されたのか2026年7月の報道では、日本相撲協会の入場券収入やグッズ販売などが好調だったことを背景に、力士の待遇改善が進められたと説明されています。物価上昇が続く中、給与や賞金が長期間据え置かれていたことも、改定の背景として伝えられました。
今回の改定は、関取の月給を上げるだけでなく、幕下以下の場所手当や成績に応じた報奨、優勝賞金などを幅広く見直すものです。力士が日々の稽古に取り組む環境を整え、競技への意欲を支える施策として注目されています。
一方で、2026年10月時点では、改定後の金額は2027年初場所から適用される予定です。2026年中の給料と、2027年以降の改定額を混同しないことが大切です。
【力士になるには】新弟子検査の年齢・身長・体重条件
お相撲さんになるには、相撲部屋への入門と、日本相撲協会が定める新弟子検査への合格が基本となります。大柄な体であることだけが条件ではなく、年齢、健康状態、身長、体重などの基準を満たす必要があります。
新弟子検査の主な条件日本相撲協会の公式案内では、基本的な資格として、義務教育を修了した健康な男子であること、所定の身長・体重基準を満たすことなどが示されています。一般の受検者は満23歳未満で、協会が指定する大学・社会人のアマチュア大会で一定の成績を残した人、高校以上の全国大会への出場経験がある人、新弟子運動能力検査に合格した人などは、満25歳未満まで受検できる場合があります。
身長と体重の基本基準は、2024年9月26日現在の協会案内で次のように定められています。
- 身長:167センチ以上
- 体重:67キロ以上
ただし、3月場所の新弟子検査を受ける中学校卒業見込み者には、身長165センチ以上、体重65キロ以上という特例があります。また、体格基準に届かない場合でも、新弟子運動能力検査で十分な運動能力が認められれば、新弟子検査を受けられる仕組みがあります。
これらの条件は、身長や体重だけで将来性を決める制度ではないことを示しています。競技経験や運動能力も、入門を目指すうえで重要な要素です。
相撲部屋を通じて入門する力士を目指す人は、所属を希望する相撲部屋の師匠である親方を通じて、必要書類を提出します。その後、指定医による健康診断や新弟子検査などを受け、合格して登録されることで力士として認められます。
入門後は、相撲の技術だけでなく、礼儀作法や相撲の歴史、基礎知識などを学ぶ機会もあります。新弟子にとっては、競技者としての成長と、相撲部屋での共同生活への適応を同時に進めることになります。
入門前に考えておきたいのは、体格や運動能力だけでなく、早朝からの稽古を継続できるか、集団生活に適応できるか、先輩後輩の関係の中で学び続けられるかという点です。プロの力士になる道は、土俵上の勝負だけで完結するものではありません。
【相撲部屋の共同生活と付け人】土俵の外にもある力士の仕事
相撲部屋は、単に稽古をする場所ではありません。多くの力士にとって、生活の拠点であり、食事や掃除、洗濯、炊事などを分担しながら暮らす共同生活の場でもあります。
番付によって生活環境も変わる幕下以下の若い力士は、大部屋で共同生活を送るのが一般的です。食事や掃除、洗濯などを分担し、稽古以外の時間にも部屋の運営を支えます。十両以上の関取になると、個室など生活上の待遇が変わることがあり、部屋によっては住まいの選択肢も広がります。
こうした生活では、稽古の強さだけでなく、共同生活に必要な協調性や時間管理も求められます。食事の準備や片付けを担う「ちゃんこ番」もその一つです。力士たちが食べる食事を用意する仕事は、部屋を維持するうえで欠かせません。
付け人は関取を支える重要な役割付け人とは、十両以上の関取に付き、身の回りの世話などを担当する幕下以下の力士のことです。日本相撲協会の公式クイズでも紹介されているように、原則として同じ相撲部屋の幕下以下の力士が務め、部屋の規模などによっては同門の部屋から人員を借りることもあります。
具体的な仕事には、まわしの着脱の手伝い、洗濯、入浴時の世話、本場所で使う道具の準備や運搬、食事の給仕などがあります。関取が取組に集中できるよう、日常生活から本場所の準備まで幅広く支えます。
付け人制度は、単なる雑用の仕組みではありません。若い力士が相撲界の礼儀やしきたりを学び、関取が後輩を指導する機会にもなっています。一方、付け人を務める力士にも、自分自身の稽古や体調管理があります。相撲部屋では、競技者としての成長と、集団生活を支える役割を両立させる必要があるのです。
【プロの結論】お相撲さんの仕事は土俵上だけではないお相撲さんの生活を理解するうえで大切なのは、取組の勝敗だけを見て仕事の全体像を判断しないことです。朝稽古、食事、休息、共同生活、付け人やちゃんこ番の仕事は、それぞれが力士の競技生活を支えています。
また、番付が上がることは名誉だけでなく、月給や生活環境の変化にもつながります。十両昇進が大きな節目とされるのは、関取として認められることに加え、収入の仕組みが変わるためです。
力士の待遇を比較するときは、月給だけでなく、場所手当、賞金、褒賞金、懸賞金などの違いを分けて考える必要があります。体づくりについても、体重だけでなく、稽古の質、筋力、柔軟性、回復力などを合わせて見ることが、相撲という競技の実態を理解する近道です。
【お相撲さん】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:お相撲さんは毎日ちゃんこ鍋を食べるのですか? A1:ちゃんこは力士が作る食事全般を指し、必ずしも鍋料理だけではありません。肉や魚、野菜を使った料理など、献立は相撲部屋によって異なります。
Q2:お相撲さんの給料は何歳からもらえますか? A2:年齢ではなく番付が基準です。十両以上の関取には月給が支給されますが、幕下以下は月給制ではなく、場所手当や成績に応じた奨励金などが収入の基本になります。
Q3:2027年から横綱の給料はいくらになりますか? A3:2026年7月30日に発表された改定では、横綱の月給は300万円から330万円へ引き上げられ、2027年初場所から適用される予定です。
Q4:幕内優勝賞金2,000万円は毎場所もらえるのですか? A4:幕内優勝賞金は、その場所で優勝した力士が受け取る賞金です。毎月支給される給料ではなく、優勝しなければ受け取れません。
Q5:力士になるには身長と体重がどれくらい必要ですか? A5:日本相撲協会の案内では、基本基準は身長167センチ以上、体重67キロ以上です。年齢や運動能力検査などに関する条件や特例もあるため、実際の受検に際しては協会の最新の募集要項を確認する必要があります。
お相撲さんの毎日は、早朝の稽古、ちゃんこを中心とした食事、休息、相撲部屋での共同生活によって成り立っています。力士は土俵上で戦う競技者であると同時に、部屋の仕事を分担し、先輩や後輩とともに生活する存在でもあります。
番付は力士の実力や成績を反映するだけでなく、月給や場所手当、生活上の待遇にも影響します。特に十両への昇進は、月給制の関取になるという意味で大きな転換点です。
2026年7月に発表された待遇改定は、2027年初場所から関取の月給や幕下以下の場所手当、優勝賞金などに反映される予定です。幕内優勝賞金2,000万円という数字は大きな話題ですが、力士の収入を考える際には、固定給と成績に応じた賞金を区別することが欠かせません。
お相撲さんの姿をより深く理解するには、体の大きさや勝敗だけでなく、稽古の積み重ね、食事と休養、相撲部屋を支える仕事、そして番付によって変わる待遇にも目を向けることが大切です。2027年の制度改定をきっかけに、力士の競技生活と、それを支える環境が今後どのように変わるのかにも注目が集まります。