カーリング女子日本代表として3度の冬季オリンピックを経験し、2018年平昌五輪では銅メダルを獲得した本橋麻里さん。2026年現在は、競技者としてストーンを投げる立場から距離を置き、一般社団法人ロコ・ソラーレの代表理事としてチーム運営や後進の育成に力を注いでいます。
注目したいのは、2024~25シーズンからの選手活動休止だけではありません。2026年8月には、女子育成チーム「ロコ・ステラ」を改組し、男女のジュニア選手を対象とする「ロコ・アカデミー」の設立を発表しました。五輪メダリストを育てた組織が、次の世代を育てる仕組みへと進化しようとしているのです。JOCの競技記録、ロコ・ソラーレの公式発表、2026年の本人インタビューなどを基に、本橋さんの現在と歩みを整理します。
【2026年最新】本橋麻里は現在何をしている?選手活動休止後の役割

本橋麻里さんは1986年6月10日生まれ。2026年10月現在、40歳です。カーリング界での立場は、五輪を目指す選手から、選手が競技に集中できる環境を整え、組織の将来を設計する代表理事へと移っています。
選手活動の休止が発表されたのは2024年8月19日です。ロコ・ソラーレは公式SNSを通じて、2024~25シーズンから本橋さんが選手活動を休み、法人の所属チームを支援すると発表しました。今後の役割として示されたのは、チームのサポートと代表理事としての責務です。
この発表は、競技生活からの完全な引退宣言とは異なります。実際、2018年の平昌五輪後にも本橋さんは選手としての活動を休養し、チーム運営や競技環境の整備に携わる方針を示していました。今回も、競技者としての活動を休止する一方で、カーリングとの関わりを続ける選択です。
では、代表理事として何を担うのでしょうか。セイコーグループの2026年3月のインタビューでは、選手が競技に集中できる環境づくり、地域の子どもたちがカーリングに触れる機会の創出、スポンサーや地域との関係構築、組織を持続させる仕組みづくりが現在の仕事として描かれています。
競技者は、試合で結果を出すことが中心です。一方、代表理事には、選手やスタッフの活動を支えながら、数年先、さらには10年先を見据えて判断する役割があります。大会の勝敗だけでは測れない仕事に軸足を移したことが、現在の本橋さんを理解する出発点です。
【プロフィール・経歴】チーム青森から平昌五輪銅メダルまでの歩み
本橋さんは北海道北見市の旧常呂町出身です。カーリングを始めたのは12歳の頃。常呂カーリング協会の関係者に誘われて競技に取り組み、ジュニア時代から実績を重ねました。2005年にチーム青森へ正式加入すると、翌2006年には19歳でトリノ五輪に出場しています。
日本オリンピック委員会(JOC)の選手記録によると、五輪での成績はトリノ大会が7位、バンクーバー大会が8位、平昌大会が銅メダルです。競技者として世界の舞台を経験するなかで、所属チームの強化だけでなく、日本のカーリングが継続的に強くなるための環境づくりへと関心を広げていきました。
主な経歴を時系列で整理すると、次のようになります。
| 時期 | 主な出来事 | 意味・実績 |
|---|---|---|
| 1998年ごろ | 12歳でカーリングを始める | 北海道・常呂を原点とする競技人生が始まる |
| 2005年 | チーム青森に正式加入 | 国内トップレベルの環境で競技に取り組む |
| 2006年 | トリノ五輪に出場 | 女子団体7位入賞 |
| 2010年2月 | バンクーバー五輪に出場 | 女子団体8位入賞 |
| 2010年8月 | ロコ・ソラーレを結成 | 地元・北見を拠点に長期的なチームづくりを開始 |
| 2016年 | 世界女子カーリング選手権で銀メダル | チームの国際競争力が大きく向上 |
| 2018年2月 | 平昌五輪で銅メダル | 日本女子カーリング初の五輪メダル獲得に貢献 |
| 2018年 | 一般社団法人ロコ・ソラーレを設立 | 代表理事として組織運営と育成に本格的に携わる |
| 2024年8月 | 選手活動の休止を発表 | 所属チームの支援と法人代表の職務に重点を移す |
| 2026年8月 | ロコ・アカデミーの設立を発表 | 男女のジュニアを対象とする育成体制へ改組 |
経歴の中で重要なのは、五輪出場やメダル獲得だけではありません。2010年のチーム結成と2018年の法人設立が、その後の日本カーリング界における本橋さんの役割を決定づける転換点になりました。
【チーム青森時代から平昌五輪へ】本橋麻里が得た経験と転機
本橋さんが全国的に知られるようになったのは、チーム青森の一員として出場した2006年トリノ五輪でした。当時19歳。日本代表として7位に入賞し、いわゆる「カーリング娘」の一人として注目を集めました。
2010年のバンクーバー五輪では8位。メダルには届かなかったものの、この大会での経験が後のチームづくりに大きく影響します。
セイコーグループの2026年3月のインタビューで、本橋さんは、強豪国には経験豊富な選手が多く、長期的な計画のもとでチームを作り上げている点に学ぶものがあったと振り返っています。当時の日本では、五輪を軸にチーム編成が変わり、選手の入れ替わりによって長期的なチーム文化を維持しにくいという課題がありました。
こうした経験を経て、本橋さんは2010年8月にロコ・ソラーレを結成します。2016年には世界女子カーリング選手権で銀メダルを獲得し、2018年の平昌五輪では銅メダルに到達しました。
平昌大会では、本橋さんはリザーブとしてチームを支えました。JOCの大会記録には銅メダル獲得メンバーとして名前が記されています。試合に出場することだけがチームへの貢献ではないと示した経験でもあり、競技者から組織を支える立場へ移っていく現在の姿にもつながっています。
なお、ロコ・ソラーレは2022年北京五輪で銀メダルを獲得しましたが、これはチームとしての実績です。本橋さん自身が北京五輪の競技メンバーとして出場したわけではありません。個人の五輪出場歴と、代表理事として支えるチームの成績は分けて理解する必要があります。
【ロコ・ソラーレ結成理由】なぜ本橋麻里は地元・北見でチームを作ったのか
ロコ・ソラーレの結成は、単に新しい所属チームを立ち上げることではありませんでした。本橋さんが目指したのは、地域に根ざし、選手が人生と競技を両立しながら、長期的に世界を目指せるチームです。
セイコーグループのインタビューによると、結成時に掲げた軸は大きく三つありました。
- 地域に根ざしたチームづくり:地元の支援や誇りを力に変え、地域と一緒に成長する。
- 人生と競技の両立:妊娠や出産などのライフイベントも考慮し、女性アスリートが競技を続けられる環境を整える。
- 長期的に強くなるチーム文化:選手の自主性を重視し、自分たちで考え、課題を解決する力を育てる。
本橋さんは、地元での挑戦について「どうせ散るなら故郷で散りたい」という言葉でも語っています。強豪チームに所属し続ける道ではなく、慣れ親しんだ北見で自分たちのチームをつくる。そこには、結果が出るまでに時間がかかるとしても、自ら環境を整えるという覚悟がありました。
この考え方は、選手の生活を競技の都合に合わせるのではなく、選手の人生も含めて競技環境を設計する発想です。女性アスリートが結婚や出産を経ても競技を続けられること、若手が経験を積みながらチームの文化を引き継げること。個々の選手の能力だけに依存しない仕組みをつくることが、長期的な強さにつながります。
ロコ・ソラーレの成長を、本橋さん一人の功績だけで説明するのは適切ではありません。氷上で結果を出してきた選手、指導者、スタッフ、スポンサー、地域の支援があってこその実績です。その一方で、チームを結成し、競技を続けられる環境を整えた本橋さんのリーダーシップが、組織の土台を形づくったことは経緯から読み取れます。
【結婚・夫・子供・家族】公表されているプロフィールと競技人生
本橋麻里さんの結婚や子どもについては、本人の発表やオリコンニュースなどの報道で公表されています。2012年5月に一般男性と結婚し、2015年10月に第1子となる男児を出産。2020年1月2日には第2子を出産したことを公表しました。
2026年3月のセイコーグループのインタビューでも、2人の息子を育てながら組織運営に取り組む現在の生活が紹介されています。夫の氏名や職業など、一般男性としての詳しいプロフィールが広く公表されているわけではありません。
本橋さんは同インタビューで、子育てを通じて優先順位を決めることや、状況に応じて柔軟に対応することを学んだと語っています。計画を立てて遂行することを得意としてきた一方、子育ては思いどおりに進まない。その経験が、仕事の進め方や判断にも影響したという趣旨です。
ここで押さえておきたいのは、選手活動休止を出産や家族の事情だけで説明することはできないという点です。2024年の公式発表が明確に示したのは、所属チームの支援と代表理事としての職務に重点を置く方針でした。家庭生活との両立は本人の人生を理解するうえで大切な背景ですが、休止理由を単一の私的事情に結びつける説明は、本人が公表した内容とは異なります。
むしろ注目すべきなのは、競技と家庭のどちらか一方を選ぶのではなく、人生の段階に応じて役割を変えながらカーリングとの関わりを継続していることです。ロコ・ソラーレの結成時に掲げた「人生と競技の両立」という理念は、本橋さん自身のキャリアにも重なっています。
【2026年の育成改革】ロコ・ステラはどうなった?ロコ・アカデミー設立の意味
2026年の大きな動きは、女子育成チーム「ロコ・ステラ」の改組です。ロコ・ソラーレは2026年8月25日付の公式発表で、ロコ・ステラを改め、「ロコ・アカデミー」を設立すると発表しました。
公式発表によると、ロコ・ソラーレは2010年から北見を拠点に活動してきました。当初は女子チームの強化・育成を中心に据えていましたが、地域でカーリングに取り組むジュニア選手が男女ともに増えてきたことを受け、育成の対象を広げる方針を示しました。
ロコ・アカデミーの対象は、小学5年生から高校3年生までの男女です。目的は、個々の選手のスキルアップと、世界に挑戦するきっかけづくり。2026年8月から9月にかけてトライアウトを実施する計画も発表されました。
この変更を理解するうえでは、「ロコ・ステラがそのまま同じ形で活動を続けている」と捉えないことが大切です。公式発表では、従来の育成チームを改組し、男女のジュニアを対象とする仕組みに移行することが明示されています。2026年7月にはロコ・ステラの選手の退団も発表されており、育成組織の再編が進んでいます。
この改革には、育成の考え方をチーム単位から個人の成長機会へ広げる意味があります。女子のセカンドチームを中心に育成してきた段階から、性別を問わずジュニア世代の技術向上を支え、世界を目指す入口をつくる段階へ進む構想です。
もちろん、アカデミーの設立発表だけで、育成改革の成果が確定したわけではありません。今後は参加する選手がどのように成長するのか、競技環境がどこまで整うのか、トップチームや地域のカーリング界へどのような人材の循環が生まれるのかが評価のポイントになります。
2026年10月時点でも、ロコ・ソラーレ公式サイトではトップチームや男子チームの大会情報が更新されています。競技活動を続けるチームと、次世代を育てる仕組みを並行して整えることが、現在のロコ・ソラーレの方向性です。
【プロの結論】本橋麻里のリーダーシップは「勝つ」から「続けられる」へ
本橋麻里さんのキャリアを評価する際、五輪のメダルや選手としての成績だけを見ると、その活動の全体像を捉えきれません。むしろ特徴的なのは、自身が競技者として経験した課題を、組織の仕組みを変える取り組みにつなげてきたことです。
第一の評価軸は、長期的なチームづくりです。2010年に結成されたロコ・ソラーレは、2016年の世界選手権銀メダル、2018年平昌五輪の銅メダル、2022年北京五輪の銀メダルへと実績を積み重ねました。もちろん、その成果は選手やスタッフの努力によるものですが、継続して世界を目指す土台を整えた点は、本橋さんの代表理事としての仕事を考えるうえで重要です。
第二の評価軸は、選手の自主性と多様なキャリアを支える姿勢です。選手が競技に集中できる環境を整え、ライフイベントと競技の両立を意識し、若手が成長できる機会を用意する。こうした方針は、短期的な大会成績だけでなく、競技人口や組織の持続性にも関わります。
第三の評価軸は、環境の変化に応じて育成方法を変えられるかどうかです。2026年のロコ・アカデミー設立は、従来の女子育成チームの枠組みを見直し、男女のジュニアを対象にする転換です。今後の成果を測るなら、設立そのものよりも、参加者の成長、競技継続率、上位カテゴリーへの移行、地域における競技環境の充実などを継続して見ていく必要があります。
リーダーシップの評価でも、知名度や本人の発信だけで判断するのではなく、実際の運営方針と結果を照らし合わせることが大切です。チーム青森時代の経験、ロコ・ソラーレ結成、五輪での成果、代表理事への役割転換、そして2026年の育成改革。これらを一連の流れとして見ると、本橋さんの取り組みは、個人の競技人生を超えて、地域から選手を育てる仕組みをつくる挑戦だと理解できます。
【カーリング本橋麻里】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:本橋麻里は2026年現在、現役を引退したのですか?
A1:2024~25シーズンから選手活動を休止していますが、発表された内容は引退宣言ではありません。現在はロコ・ソラーレの代表理事として、チームの支援や法人運営、育成に重点を置いています。
Q2:本橋麻里が選手活動を休止した理由は何ですか?
A2:2024年8月の公式発表では、所属チームのサポートと法人代表としての責務を全うする方針が示されました。休止を特定の家庭事情だけに結びつける説明はされていません。
Q3:ロコ・ステラは2026年現在も活動していますか?
A3:2026年8月25日、ロコ・ソラーレはロコ・ステラを改組し、男女のジュニア選手を対象とする「ロコ・アカデミー」を設立すると発表しました。従来の女子育成チームと同じ形で継続しているのではなく、育成対象を広げる新しい仕組みへ移行しています。
本橋麻里さんは、チーム青森の一員としてトリノ五輪、バンクーバー五輪に出場し、2010年には地元・北見市でロコ・ソラーレを結成しました。平昌五輪の銅メダル獲得を経て、代表理事として組織運営に本格的に携わり、2024年からは選手活動を休止してチームの支援に重点を置いています。
2026年の注目点は、ロコ・ステラからロコ・アカデミーへの改組です。男女のジュニアを対象に、個々の技術向上と世界への挑戦を支える仕組みは、北見からカーリングの未来を育てる新たな試みです。
本橋さんの現在を理解するには、「今も試合に出ているか」だけでなく、「選手が競技を続けられる環境をどう整えているか」「次世代が世界を目指せる機会をどう生み出しているか」という視点が欠かせません。五輪で培った経験を組織づくりと育成へつなげること。その成果がどのように形になるのかが、これからの本橋麻里さんとロコ・ソラーレを追ううえでの重要な判断基準です。