マルターズアポジーは、2016年の福島記念、2017年の小倉大賞典、関屋記念を制した日本の競走馬です。自ら先頭に立ち、後続を引き離す逃げのスタイルで存在感を発揮し、重賞3勝を挙げました。通算成績は40戦8勝。派手な末脚で追い込むタイプとは異なり、レースの主導権を握って押し切る競馬が持ち味でした。
2026年現在、マルターズアポジーは現役競走馬ではなく、北海道新冠町の白馬牧場で種牡馬として繋養されています。JBISサーチの登録情報では、父ゴスホークケン、母マルターズヒートという血統や2026年度の種付料も確認できます。ここでは、代表的なレースの内容、騎手との関係、馬名「Maltese Apogee」の由来、引退後の種牡馬生活まで、競走馬としての歩みを整理します。
【マルターズアポジーはどんな競走馬?】プロフィールと逃げ馬としての特徴

マルターズアポジーは2012年2月27日生まれの牡馬で、毛色は鹿毛です。北海道新冠町の山岡牧場で生産され、馬主は藤田在子氏、競走馬時代の管理調教師は美浦の堀井雅広氏でした。
競走成績はJRA通算40戦8勝、総賞金は2億3,507万7,000円。2016年から2017年にかけて重賞タイトルを獲得し、2018年の中山記念では3着に入っています。芝1600〜2000メートルで重賞勝利を挙げた点も、同馬の実績を整理するうえで押さえておきたいポイントです。
最大の特徴は、スタートから積極的に先頭を狙う逃げの戦法でした。逃げ馬は、単にスタート直後に前へ出ればよいわけではありません。先行争いで脚を使いすぎず、後続に差を詰められないペースを保ち、最後の直線まで余力を残す必要があります。
マルターズアポジーは、この戦法で重賞を3勝しました。福島記念では芝2000メートル、小倉大賞典では芝1800メートル、関屋記念では芝1600メートルを逃げ切っています。異なる距離の重賞で結果を残したことからも、単純な短距離型ではなく、マイルから中距離にかけて持ち味を発揮した馬だったことがわかります。
一方で、逃げ馬の成績は展開や相手の出方に左右されやすい側面があります。先頭を奪えなかった場合や、前半から厳しいペースを強いられた場合には、得意な形を作れないこともあります。マルターズアポジーの競走生活を振り返る際は、勝利数だけでなく、どのような位置取りでレースを進めたのかにも注目したいところです。
【戦績・競走成績を時系列で整理】福島記念から関屋記念までの軌跡
マルターズアポジーの競走生活を語るうえで欠かせないのが、2016年の福島記念と、2017年の小倉大賞典・関屋記念です。いずれも芝の重賞で、先頭に立つ積極的な競馬から勝利をつかみました。
JBISサーチの競走成績と各レースの記録をもとに、主な節目をまとめました。
| 時期 | レース・出来事 | 距離・着順など | ポイント |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 条件戦・ラジオNIKKEI賞など | ラジオNIKKEI賞3着 | 重賞で上位に入り、力を示す |
| 2016年11月13日 | 福島記念(GIII) | 芝2000m・1着、2分00秒8 | 武士沢友治騎手とのコンビで重賞初制覇 |
| 2017年2月19日 | 小倉大賞典(GIII) | 芝1800m・1着、1分45秒8 | 逃げ切りで重賞2勝目 |
| 2017年8月13日 | 関屋記念(GIII) | 芝1600m・1着、1分32秒2 | マイル重賞を制し、重賞3勝目 |
| 2018年2月25日 | 中山記念(GII) | 芝1800m・3着 | 強豪が集まるGIIでも上位に入る |
| 2020年3月6日 | 競走馬登録抹消 | JRA通算40戦8勝 | 引退し、種牡馬としての生活へ |
2016年11月13日の福島記念は、マルターズアポジーが重賞初制覇を果たしたレースです。芝2000メートルの舞台で、武士沢友治騎手を背に先手を取り、そのまま押し切りました。勝ちタイムは2分00秒8。2着にはゼーヴィントが入りました。
当時は7番人気で、ハンデは54キログラムでした。人気上位馬を相手に逃げ切ったこの勝利は、マルターズアポジーの名を広く知らしめるきっかけとなりました。先行力だけでなく、2000メートルを走り切る持続力を示した一戦です。
2017年小倉大賞典:芝1800メートルでも逃げ切り2017年2月19日の小倉大賞典では、芝1800メートルを1分45秒8で走り、重賞2勝目を挙げました。騎手は引き続き武士沢友治騎手。4番人気での勝利でした。
レースでは先頭に立ち、直線でも後続の追い上げを許しませんでした。2着ヒストリカルに2馬身差をつけた内容は、同馬の逃げ脚が本格化していたことを示すものです。福島記念に続く重賞勝利によって、偶然の一発ではなく、重賞でも通用する実力を備えていることを印象づけました。
2017年関屋記念:マイル重賞を制して3つ目のタイトル2017年8月13日の関屋記念は、マルターズアポジーの競走生活を代表する勝利のひとつです。新潟競馬場の芝1600メートルで、好スタートから先頭を確保。勝ちタイムは1分32秒2で、2着ウインガニオンに1馬身4分の1差をつけました。
このときは7番人気でした。福島記念の2000メートル、小倉大賞典の1800メートルに続き、1600メートルの重賞も制覇。異なる距離で3つの重賞を勝ったことは、同馬の戦績を特徴づける重要な要素です。
2017年は6戦2勝で、獲得賞金は8,703万4,000円でした。3つ目の重賞タイトルを手にした関屋記念は、その年の充実ぶりを象徴する一戦だったといえます。
【騎手・レース展開を分析】武士沢友治とのコンビが生んだ強さ
マルターズアポジーの重賞3勝を振り返ると、武士沢友治騎手の存在が重要です。2016年の福島記念、2017年の小倉大賞典、関屋記念はいずれも武士沢騎手が騎乗していました。
3レースに共通するのは、序盤から主導権を握り、自分のリズムでレースを運んだことです。逃げ馬にとって、最初のコーナーまでの位置取りや道中のペース配分は、最後の直線で粘り込めるかどうかを左右する要素になります。
福島記念では芝2000メートル、小倉大賞典では芝1800メートル、関屋記念では芝1600メートルと、舞台の条件は異なりました。それでも、先手を取って押し切る形を実現した点は共通しています。武士沢騎手とのコンビは、マルターズアポジーの持ち味を引き出した組み合わせとして記憶されています。
もちろん、逃げ切り勝ちを騎手の手腕だけで説明することはできません。馬自身のスタート、先行力、道中での持続力、そして競走当日の展開がかみ合う必要があります。マルターズアポジーの場合、馬の脚質と騎手のレース運びが合致し、重賞タイトルにつながったと考えられます。
また、逃げ馬は展開が向けば大きな強みを発揮する一方、他馬から早めに競りかけられると厳しくなります。マルターズアポジーの評価を考えるときは、着順だけでなく、先頭に立てたか、道中で無理なく運べたか、直線でどれだけ粘れたかを確認すると、レース内容への理解が深まります。
【血統と馬名の由来】ゴスホークケン産駒の特徴とMaltese Apogeeの意味
父ゴスホークケン、母マルターズヒートという血統マルターズアポジーの父はゴスホークケン、母はマルターズヒートです。母の父はアメリカ産のOld Trieste。JBISサーチの血統情報でも、この組み合わせが登録されています。
父ゴスホークケンは2007年の朝日杯フューチュリティステークスを制した競走馬です。母マルターズヒートも2003年のフェアリーステークスを勝っており、父母ともに重賞勝ちの実績を持っています。
母系まで見ると、マルターズアポジーはアメリカ由来の血統を背景に持つ馬です。ただし、血統だけで特定の脚質や競走能力が決まるわけではありません。実際のレースでは、個体の能力や気性、調教、騎手の判断、展開などが複合的に影響します。
マルターズアポジーの場合、血統情報と実際の競走成績を合わせて見ることで、重賞を3勝した競走馬としての背景を理解できます。血統は能力を考察するための手がかりですが、戦績と切り離して過大評価するのは避けたいところです。
馬名「Maltese Apogee」は何を意味する?マルターズアポジーの欧字名は「Maltese Apogee」です。馬名の由来は、冠名「マルターズ」に、英語で「最高点」を意味する「Apogee」を組み合わせたものとされています。
「Apogee」は、もともと天文学で地球から最も遠い位置にある軌道上の点、つまり遠地点を指す言葉です。そこから転じて、物事の頂点や最盛期という意味でも使われます。競走馬の名前として見ると、最高点や頂点を連想させる言葉です。
ただし、名前の意味と実際の競走成績は区別して考える必要があります。マルターズアポジーはGⅠタイトルを獲得した馬ではありませんが、GⅢを3勝し、GⅡの中山記念でも3着に入る実績を残しました。馬名が示す印象だけでなく、具体的なレース結果を見ることで、その競走馬としての価値を正確に捉えられます。
【引退後・2026年現在】種牡馬としての生活と産駒の動向
2020年3月に現役を引退マルターズアポジーは2020年3月6日付で競走馬登録を抹消されました。引退の発表はラジオNIKKEIの競馬実況webでも報じられており、JRA発表に基づく記事では、通算成績40戦8勝と紹介されています。
最後の出走は2020年3月1日の中山記念でした。芝1800メートルのレースで6着となり、その後に競走生活を終えています。引退後は北海道新冠町の白馬牧場で種牡馬となる予定が発表され、競走馬から繁殖の世界へと役割を移しました。
2026年も白馬牧場で種牡馬として繋養2026年10月時点のJBISサーチ掲載情報では、マルターズアポジーの繋養先は株式会社白馬牧場、所在地は北海道新冠郡新冠町となっています。競走馬のふるさと案内所にも同牧場での繋養情報が掲載されています。
2026年度の種付料は、JBISサーチの登録情報で、受胎確認後20万円(フリーリターン特約付)、または産駒誕生後30万円と案内されています。種付料は年度ごとに変わる可能性があるため、繁殖に関する実務情報を確認する際は、その年度の掲載内容を基準にする必要があります。
競走馬のふるさと案内所に掲載された種付け頭数は、2020年が5頭、2021年が4頭、2022年が2頭、2023年が2頭、2024年が3頭、2025年が2頭です。種牡馬としての規模は大きくないものの、産駒を送り出し、父系をつなぐ役割を担っています。
産駒オリジナルアポジーにも注目2026年の産駒の動向を知るうえで注目されるのが、オリジナルアポジーです。JRAの競走馬情報では、父がマルターズアポジー、母がマルターズオリジンと登録されています。
オリジナルアポジーは2026年7月4日、福島競馬場の3歳未勝利戦(ダート1700メートル)を勝利しました。父が現役時代に活躍した福島競馬場で、産駒が勝ち星を挙げたことは、近況を追ううえで具体的なトピックです。
ただし、産駒1頭の勝利だけで種牡馬としての成功を判断することはできません。種牡馬の評価には、産駒の出走頭数、勝ち上がり率、重賞での成績、獲得賞金など、複数の指標が必要です。マルターズアポジーについても、今後の産駒成績を継続して確認することが重要になります。
【実績を正しく評価する】重賞3勝の価値と見落としやすいポイント
マルターズアポジーの実績を評価する際、最初に区別したいのは「重賞3勝」と「通算8勝」は異なる数字だという点です。前者は福島記念、小倉大賞典、関屋記念という重賞タイトルの数で、後者は条件戦なども含めたJRA通算の勝利数です。
また、マルターズアポジーはGⅠを勝った競走馬ではありません。2016年の有馬記念では15着でした。一方、2018年の中山記念では3着に入っており、GⅠでの結果だけを取り上げて能力を評価するのも適切ではありません。
競走馬の評価では、タイトルの格だけでなく、勝利したレースの条件、対戦相手、距離、着差、レース展開などを総合的に見る必要があります。マルターズアポジーは、GⅢを3勝した逃げ馬として、芝1600〜2000メートルで結果を残した点に特徴があります。
競馬ファンが過去のレース映像や競走成績を調べる場合は、次の観点を押さえると理解しやすくなります。
- 着順だけで判断しない:先頭に立てたか、ペースを維持できたか、直線でどれだけ粘ったかを見る。
- 距離を分けて比較する:1600メートル、1800メートル、2000メートルの勝利をそれぞれ確認する。
- 騎手と展開を確認する:武士沢友治騎手との重賞3勝が、どのようなレース運びから生まれたかを振り返る。
- 引退後の評価は産駒成績で見る:種牡馬としての評価は、現役時代の知名度だけではなく、産駒の競走実績も踏まえて考える。
こうした視点を持つと、マルターズアポジーを単に「逃げ切りが得意だった馬」として片づけず、異なる距離の重賞で結果を出した競走馬として捉えられます。
【マルターズアポジー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:マルターズアポジーの主な勝ち鞍は何ですか?
A1:2016年の福島記念、2017年の小倉大賞典、関屋記念です。いずれもGⅢで、逃げ切りによって勝利を挙げました。
Q2:マルターズアポジーの馬名の由来は何ですか?
A2:冠名「マルターズ」と、英語で「最高点」を意味する「Apogee」を組み合わせた名前です。欧字名は「Maltese Apogee」と表記されます。
Q3:マルターズアポジーは2026年現在、何をしていますか?
A3:競走馬を引退し、北海道新冠町の白馬牧場で種牡馬として繋養されています。2026年度の種付料や産駒の競走成績も公開情報から確認できます。
Q4:マルターズアポジーの血統を教えてください。
A4:父はゴスホークケン、母はマルターズヒート、母の父はOld Triesteです。父母ともに重賞勝ちの実績を持っています。
Q5:マルターズアポジーの騎手といえば誰ですか?
A5:代表的な騎手は武士沢友治騎手です。2016年の福島記念と2017年の小倉大賞典、関屋記念の重賞3勝はいずれも武士沢騎手とのコンビで達成しました。
マルターズアポジーは、2016年の福島記念、2017年の小倉大賞典、関屋記念を制した、逃げのスタイルが印象的な競走馬です。JRA通算40戦8勝、総賞金2億3,507万7,000円という実績を残し、芝1600〜2000メートルの重賞で持ち味を発揮しました。
競走馬としての強みは、先手を取って自分のリズムでレースを進め、後続の追い上げを抑えて押し切る力にありました。3つの重賞勝利を比較すると、異なる距離でも同じ戦法を成立させたことが、同馬の特徴として浮かび上がります。
2026年現在は白馬牧場で種牡馬として繋養され、産駒も競走に出走しています。現役時代の実績と引退後の繁殖成績は別々に評価する必要がありますが、オリジナルアポジーの勝利など、父の名を受け継ぐ産駒の動向も注目点です。
プロの視点から押さえたいのは、競走馬の価値を勝ち鞍の数だけで判断しないことです。マルターズアポジーの場合は、レース展開、距離適性、騎手とのコンビ、そして引退後の種牡馬としての歩みを合わせて見ることで、そのキャリアをより立体的に理解できます。過去の名レースを振り返る際も、競走成績とレース内容を照らし合わせることが、正確な評価につながります。