スキー場死亡事故は、滑走中の転倒や利用者同士の衝突だけで起きるわけではない。2025年12月の北海道小樽市・朝里川温泉スキー場での移動設備事故、2026年1月の長野県・つがいけマウンテンリゾートでのリフト事故、同年2〜3月に相次いだ衝突事故など、スキー場の安全を考えるうえで見過ごせない事例が報告されている。
2026年10月時点で注目すべきなのは、事故が起きた経緯だけでなく、コース管理、設備の点検、監視員の配置、救助体制、運営者の管理責任まで含めて検証することだ。国土交通省や消費者庁の公表資料、報道各社の事故報道を手掛かりに、スキー場死亡事故の最新動向と再発防止の論点を整理する。
【2026年最新】スキー場死亡事故の発生状況と経緯を整理

2026年のスキーシーズンに報告された死亡事故を理解するには、滑走中の事故と、リフトや移動設備など施設に関連する事故を分けて考える必要がある。どちらもスキー場で発生する重大事故だが、事故の直接的な原因も、検証すべき管理上の問題も同じではない。
2025年末から2026年春までの主な事故2025〜2026年シーズンには、北海道、長野県、群馬県などで死亡事故が報じられた。以下は、報道各社や公開情報を基に確認できる主な事例である。
| 発生時期・場所 | 事故の概要 | 確認すべき論点 |
|---|---|---|
| 2025年12月28日 北海道・朝里川温泉スキー場 |
5歳の男児がベルトコンベア式移動設備の降り口付近で腕や衣服を巻き込まれ、窒息により死亡。 | 監視員の配置、巻き込み防止構造、非常停止機能、設備の点検・運用。 |
| 2026年1月30日 長野県・つがいけマウンテンリゾート |
22歳のオーストラリア人スノーボーダーが、リフトにリュックサックを引っ掛け、宙づりになった後に死亡。 | 荷物の引っ掛かり、乗降時の安全確保、異常時の停止・救助対応。 |
| 2026年2月14日 群馬県・丸沼高原スキー場 |
スキーヤーとスノーボーダーの衝突による死亡事故が報告された。 | 滑走速度、進路、視界、衝突に至った状況。 |
| 2026年3月5日 長野県・白馬乗鞍岳の天狗原付近 |
ガイド付きバックカントリーツアー中のスノーボーダーが立ち木に衝突して死亡したと報告された。 | 滑走区域、地形や樹木の危険、雪山での行動計画と救助体制。 |
| 2026年3月14日 長野県・志賀高原の一の瀬ファミリースキー場 |
スキーヤーとスノーボーダーが衝突。64歳の男性スキーヤーが死亡し、40歳の男性スノーボーダーも軽傷を負ったと報じられた。 | 衝突前の滑走状況、利用者双方の動き、現場の状況と事故原因。 |
朝里川温泉スキー場の事故については、消費者庁の消費者安全調査委員会が2026年3月24日に調査対象として選定した。国土交通省も同年6月17日、全国のスキー場に設置されたベルトコンベア式移動設備の実態調査結果を公表している。
一方、つがいけマウンテンリゾートの事故では、CNNの2026年2月2日付報道が、リュックサックの腰ベルトがリフトに引っ掛かり、胸部のストラップが装着されていたために荷物が脱げなかったという運営会社側の説明を伝えた。
これらの事故は、同じ「スキー場死亡事故」という検索語でまとめられていても、原因が一様ではないことを示している。滑走中の衝突では利用者の行動や現場の状況が焦点になる一方、設備事故では設計、監視、停止機能、点検などの検証が欠かせない。
事故の件数を読むときの注意点文部科学省のスポーツ安全に関する検討会資料では、全国約480か所とされるスキー場のうち46か所を対象とした調査について、死亡事故が年間10人程度で推移していると紹介されている。
ただし、これは全国すべてのスキー場を網羅した死亡事故の総数ではない。対象施設や調査方法、事故の定義が異なる数字を単純に比較すると、実態を誤って捉えるおそれがある。
また、報道を集約した民間の事故記録は、事故の種類や発生場所を調べる手掛かりにはなるが、収録された件数がそのまま全国の発生件数を意味するわけではない。事故統計を見る際は、対象期間、対象施設、死亡・負傷の区分、管理区域内外の別を確認することが大切だ。
【原因を徹底分析】スキー事故はなぜ死亡事故に発展するのか
スキー場死亡事故の原因を考える際には、事故の直接的な引き金と、その被害を大きくした環境・管理上の要因を区別する必要がある。
1.滑走中の衝突と速度超過スキーやスノーボードでは、斜面を滑る速度が上がるほど、危険を認識してから停止・回避するまでに必要な距離が長くなる。混雑したコース、視界の悪い斜面、合流地点、斜面の起伏によって先が見えない場所などでは、衝突の危険が高まる。
スキーヤーとスノーボーダーが同じコースを利用する場合、滑走姿勢や進路の取り方が異なることもある。ただし、異なる種目の利用者が同じ場所にいることだけを事故原因と断定することはできない。個々の事故では、双方の進行方向、速度、視認できた範囲、衝突地点などを確認する必要がある。
2.転倒と立ち木・固定物への衝突転倒そのものが軽傷で済む場合でも、頭部を強く打ったり、立ち木や支柱などの硬い物に衝突したりすれば、重大な結果につながる。
雪面の凹凸、凍結、急な斜度変化、視界不良などは滑走の難しさを左右する。コース脇の立ち木や設備についても、利用者が誤って進入した場合や転倒した場合に重大な衝突が起こらないよう、危険箇所の表示や防護措置が求められる。
ただし、すべての立ち木や自然地形を取り除けるわけではない。自然環境を利用する施設では、危険の性質に応じたコース設定、閉鎖判断、警告表示、利用者への情報提供が重要になる。
3.リフトや移動設備への巻き込みリフトやベルトコンベア式移動設備の事故は、滑走技術だけでは防げない。
つがいけマウンテンリゾートの事故では、リュックサックがリフトに引っ掛かり、利用者が宙づりになったと報じられた。朝里川温泉スキー場の事故では、移動設備の降り口で腕や衣服が巻き込まれ、死亡に至った。
こうした事故では、荷物や衣服が引っ掛かる危険の周知だけでなく、設備の構造、非常停止装置の機能、監視員の配置、緊急時に第三者が迅速に停止操作できるかどうかが重要になる。
4.コース外滑走、雪崩、道迷いコース外滑走やバックカントリーでは、整備されたゲレンデと異なり、雪崩、深雪、立ち木、急斜面、地形による道迷いなどの危険がある。
2026年3月には、白馬乗鞍岳の天狗原付近でガイド付きツアー中のスノーボーダーが立ち木に衝突して死亡したと報じられた。ガイドが同行していても、自然地形に伴う危険がなくなるわけではない。
コース外へ出ることによって、スキー場のパトロールが通常巡回する範囲から外れたり、発見まで時間がかかったりする可能性もある。地図上でゲレンデのすぐ隣に見える場所でも、雪山では安全に戻れるとは限らない。
5.事故の発見・救助の遅れ重大事故では、事故発生時の衝撃だけでなく、発見や救助までの時間も問題になる。
人通りの少ない斜面、視界が遮られる場所、コース外の森林などでは、事故が周囲に気付かれない可能性がある。設備への巻き込み事故では、停止操作が遅れること自体が被害を拡大させる要因になり得る。
そのため、事故防止策は「気を付けて滑る」という呼び掛けだけでは不十分だ。危険を予測して事故を防ぐ仕組みと、事故が起きた際に被害を最小限に抑える仕組みを組み合わせる必要がある。
【国土交通省の2026年調査】スキー場の設備管理と救助体制の課題
2026年のスキー場安全対策を考えるうえで、特に重要な資料が、国土交通省によるベルトコンベア式移動設備の実態調査だ。
この調査は、2025年12月28日の朝里川温泉スキー場での死亡事故を受けて実施された。調査対象となった索道事業者372事業者すべてから回答があり、同様のベルトコンベア式移動設備について、次の結果が示された。
- 同種の設備は、143事業者に合計248基あった。
- 247基、全体の99.6%で、取扱説明書上、監視員が必要とされていた。
- 監視体制を定めていた設備は243基で、そのうち230基、約95%では常時監視員を配置していた。
ここで重要なのは、これらの数字が全国のすべての移動設備を対象にした調査ではなく、索道事業者が有する対象設備についての結果だという点だ。
それでも、事故防止を考えるうえで示唆は大きい。設備の取扱説明書に監視員が必要と記載されていても、実際の現場で監視員が不在なら、安全上の前提が崩れてしまう。
国土交通省の公表資料によると、朝里川温泉スキー場の事故では、運営事業者側の説明として、取扱説明書に監視員が必要と記載されていた一方、事故時には監視員が不在だったことが示されている。また、2025年2月には長野県の別のスキー場でも、同種の移動設備で利用者が負傷し、救急搬送される事故が起きていた。
安全対策は「設備・監視・停止・救助」の組み合わせベルトコンベア式移動設備では、雪や氷が付着したベルト上で利用者がバランスを崩す可能性がある。スキー板やストックを持っていたり、滑りやすいブーツを履いていたりすれば、転倒を避けることが難しい場合もある。
消費者安全調査委員会は2026年3月の会見で、製品の設計、設置方法、監視員の配置、運用方法、点検状況などを調査する考えを示した。調査時点では、ベルトコンベア式移動設備について適用される法令や業界の自主基準が確認できていないことも課題として挙げられた。
事故の再発を防ぐには、少なくとも次の対策を組み合わせる必要がある。
- 設備設計: 巻き込みを防ぐ構造、危険箇所の保護、非常停止機能の確保。
- 監視体制: 取扱説明書に従った監視員の配置と、監視員が確実に対応できる運用。
- 点検・記録: 始業時の動作確認、定期点検、異常発生時の記録と改善。
- 救助体制: 緊急停止後の救出、応急手当、救急搬送への連携。
- 再発防止: 事故やヒヤリ・ハットの情報を共有し、設備や運用を見直す仕組み。
子どもや初心者が利用する場所では、本人が危険を察知して回避することを前提にできない。転倒や誤操作が起きても重大事故につながらないよう、複数の安全対策を設けることが重要だ。
【スキー場の管理責任】事故が起きたら運営者の責任になるのか
スキー場で死亡事故が起きた場合、運営者に責任があるのかという疑問が生じる。ただし、事故が起きたという事実だけで、運営者の法的責任が自動的に決まるわけではない。
責任の有無を判断する際には、事故の発生場所、危険の予測可能性、設備やコースの管理状況、警告や立入規制の有無、事故防止措置が適切だったかなど、個別の事情を確認する必要がある。
管理責任を検証する際の主なポイント1.コースの危険箇所を適切に管理していたか
スキー場の管理者には、気象や積雪の状況、危険物の有無などを確認し、必要に応じて危険箇所の滑走禁止やコース閉鎖を行い、利用者に周知することが求められる。
例えば、雪面の変化によって防護マットが十分な位置を覆わなくなった場合や、危険な設備が露出したままになっていた場合には、管理状況が責任判断の論点になり得る。
2.設備の設置・運用に問題がなかったか
リフトや移動設備については、製品の安全設計、設置方法、取扱説明書に従った運用、点検記録、監視員の配置、非常停止機能などを確認する必要がある。
朝里川温泉スキー場の事故を巡る調査も、こうした設備面と運用面の両方を対象としている。調査対象となったことと、法的責任が確定したことは別であり、最終的な原因や責任については調査結果を踏まえて判断される。
3.事故の発見から救助までの体制が整っていたか
事故発生後に速やかに救護できたか、パトロール隊への連絡手段が機能したか、必要な救急搬送につなげられたかも重要な検証事項だ。
一般財団法人日本鋼索交通協会の安全対策に関する資料でも、事故発生時の救護、事故状況の記録・保管、重傷・死亡事故の原因調査と再発防止が管理者の対応事項として示されている。
民法上の責任と利用者側の注意義務スキー場の施設や設備に欠陥があり、それによって事故が起きた場合には、民法717条の土地工作物責任などが問題となることがある。ただし、施設の瑕疵が認められるか、事故との因果関係があるか、利用者側の行動がどう評価されるかは、具体的な事情によって異なる。
一方、利用者にも、技量に応じた速度で滑る、前方や周囲を確認する、標識や係員の指示に従う、閉鎖コースや立入禁止区域に入らないといった注意が求められる。
したがって、スキー場の管理責任と利用者の注意義務は、どちらか一方だけを見ればよいものではない。事故原因を正確に検証し、管理者側と利用者側のそれぞれに必要な改善を行うことが再発防止につながる。
【スキーの基礎知識】アルペンスキーとノルディックスキー、国内スキー場の歴史
スキー場死亡事故の背景を理解するには、スキーというスポーツの特徴や、スキー場が発展してきた経緯も押さえておきたい。
スキーは、専用の板を足に装着し、雪上を移動したり滑走したりする活動である。欧州アルプス地方で発展したアルペンスキーと、ノルウェーなどスカンディナヴィア半島を中心に発展したノルディックスキーは、代表的な系統として知られる。
アルペンスキーとノルディックスキーの違いアルペンスキーは、主に斜面を滑り降りる種目だ。リフトを利用して標高を上げ、整備されたコースを滑る一般的なゲレンデスキーも、この系統に含まれる。安全面では、滑走速度の管理、斜度や雪面状況に合ったコース選び、他の利用者との距離の確保が重要になる。
ノルディックスキーには、クロスカントリースキーやテレマークスキーなどがある。クロスカントリースキーは雪上を歩く・走るように進む要素が強く、テレマークスキーは独特のターン技術を用いる。アルペンスキーとは用具や移動方法が異なり、想定される危険も同一ではない。
なお、バックカントリーは、整備されたスキー場のコース外にある自然の雪山を滑走する活動を指すことが多い。ゲレンデ内の滑走と同じ感覚で臨むと、雪崩や地形、救助の難しさを見誤る可能性がある。
野沢温泉と五色温泉から見る日本のスキー場の成り立ち日本のスキー場は、雪の多い地域にある温泉地や宿泊地と深く結び付いて発展してきた。
山形県米沢市の五色温泉スキー場は、1911年に開設された日本初期の民間スキー場として知られる。温泉地に宿泊しながら雪上スポーツを楽しむ形が広がり、皇族や華族が利用したスキーロッジ「六華倶楽部」も設けられた。地域の歴史資料などによると、設備の老朽化などを理由に1998年にその歴史に幕を下ろした。
長野県の野沢温泉でも、温泉地としての歴史を背景にスキーが発展した。野沢温泉村や野沢温泉スキー場の公式資料によると、1923年12月8日に野沢温泉スキー倶楽部が創立され、1950年には日影ゲレンデに第1号リフトが完成した。 その後、スキー場の管理経営権は村に移り、2005年には村営から民営へ移行している。
こうした歴史は、スキー場が単なる滑走施設ではなく、温泉街、宿泊施設、交通、地域経済、そして安全管理の仕組みとともに発展してきたことを示している。施設の規模や運営形態が変化しても、利用者が安心して楽しめる環境を整えるという課題は変わらない。
【再発防止策】利用者とスキー場が取り組むべき安全対策
スキー場死亡事故を減らすには、利用者の安全意識を高めるだけでなく、運営者が危険を予測し、事故を防ぐ仕組みを継続的に改善する必要がある。
利用者が滑走前に確認したいこと- コースの営業状況: 閉鎖中のコースや立入禁止区域を確認し、規制を守る。
- 天候と雪面: 視界、風、積雪、凍結、雪崩に関する情報を確認する。
- 技量とコース選び: 初心者は緩斜面を選び、疲労や技量不足を感じたら無理をしない。
- 速度と周囲の確認: 混雑する場所、コースの合流地点、見通しの悪い斜面では速度を抑える。
- 用具と防具: ヘルメットを適切に装着し、ビンディングやブーツなどの用具を確認する。
- リフト・移動設備: 荷物や衣服が引っ掛からないようにし、係員の指示や設備の利用方法を守る。
- コース外滑走の回避: バックカントリーの経験や装備が十分でない場合は、管理区域外に入らない。
ヘルメットは頭部の負傷リスクを軽減するための対策だが、すべての重大事故を防げるわけではない。用具を整えることと、安全な速度で滑ることを組み合わせる必要がある。
スキー場運営者に求められる対策運営者側には、設備の点検やコース整備に加えて、危険を察知した際に営業を止められる判断体制が求められる。
特に重要なのは、次のような取り組みだ。
- コースの雪面や固定物、防護マット、ネットなどを点検する。
- 雪面の高さや状態の変化に応じて、防護設備の位置や状態を見直す。
- リフトや移動設備の取扱説明書を確認し、監視員の配置や点検方法を守る。
- 非常停止装置が正常に動作するか確認し、異常時の対応を訓練する。
- パトロール隊、救急隊、医療機関への連絡手順を整備する。
- 重大事故やヒヤリ・ハットの記録を保存し、同じ危険が残っていないか検証する。
安全対策の評価では、マニュアルや注意書きが存在するかだけでなく、現場で実際に機能しているかを見ることが重要だ。監視員の配置が計画されていても、必要な時間帯に配置されていなければ事故を防ぐ役割を果たせない。
【プロの結論】事故防止の鍵は「多重防御」にあるスキー場死亡事故の再発防止で最も重視すべきなのは、事故を利用者の不注意だけで説明しないことだ。
滑走中の衝突であれば、利用者の速度や進路に加え、コースの見通しや合流地点の設計、注意喚起の方法を検証する。設備事故であれば、危険な構造がなかったか、監視員が配置されていたか、異常時に設備を停止できたか、救助が迅速に行われたかを調べる。コース外の事故では、自然環境の危険と管理区域の境界、利用者への情報提供、救助可能性を区別して考える。
こうした検証を踏まえ、事故が起きる前の予防策と、事故が起きた後の被害軽減策を重ねることが必要だ。
利用者が守るべきルールを明確にすることはもちろん重要だが、利用者が一瞬判断を誤った場合でも、直ちに命に関わる結果にならない設備や運用を目指すことが、安全管理の質を高める。
【スキー場死亡事故】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年に報告されたスキー場死亡事故には、どのようなものがありますか?
A1:2026年1月には、つがいけマウンテンリゾートでリフトにリュックサックが引っ掛かった事故、2月には丸沼高原スキー場での衝突事故、3月には志賀高原の一の瀬ファミリースキー場での衝突事故などが報じられています。また、管理設備に関しては、2025年12月に発生した朝里川温泉スキー場の死亡事故を受け、2026年に国の調査が進められました。
Q2:スキー場で死亡事故が起きた場合、運営者に責任がありますか?
A2:事故が発生しただけで、運営者の責任が自動的に認められるわけではありません。コースや設備に欠陥があったか、危険を予測して対策を講じていたか、警告や立入規制が適切だったかなどを個別に検証します。利用者側の行動も含め、事故の原因と法的責任を分けて判断する必要があります。
Q3:コース外滑走はなぜ危険なのですか?
A3:整備されたゲレンデと違い、コース外では雪崩、立ち木、深雪、急斜面、道迷いなどの危険があります。パトロールの巡回範囲から外れる場合もあり、事故の発見や救助が遅れる可能性があります。滑走区域の規則を守り、バックカントリーに入る場合は現地の規制、雪崩情報、必要な装備、行動計画、救助の条件を十分に確認することが必要です。
2026年のスキー場死亡事故を巡る報道から見えてくるのは、死亡事故の原因が滑走中の衝突や転倒だけではなく、リフトや移動設備の構造、監視体制、コース外の自然環境など、多岐にわたるという事実だ。
国土交通省の2026年6月の実態調査は、設備の取扱説明書を守り、監視員を適切に配置することの重要性を示している。消費者安全調査委員会による調査も、事故の原因を明らかにし、同様の事故を防ぐための重要な取り組みとなる。
スキー場を利用する際には、コースの営業状況や天候を確認し、技量に合った滑走を心掛けることが基本だ。同時に、運営者には設備の安全性、危険箇所の管理、救助体制、事故記録の検証を継続する責任がある。
死亡事故を減らすために必要なのは、利用者への注意喚起だけではない。危険を予測し、事故を防ぎ、万一の際にも被害を最小限に抑える仕組みを、スキー場全体で整えることである。