リスボン観光の名物といえば、急な坂道をゆっくり上り下りする歴史的なケーブルカー。石畳の街並みやカラフルな建物を背景に走る姿は、ポルトガル旅行を象徴する風景の一つです。しかし、2026年は運行状況に大きな変化があり、以前の旅行ガイドに掲載された路線を訪れても、乗車できない可能性があります。
2025年9月3日に発生したグロリア線の重大事故を受け、リスボン市内の歴史的な昇降設備では安全確認が進められています。一方、2026年4月30日にはグラサ線が営業を再開し、テージョ川沿いの観光用ゴンドラ「テレキャビネ・リスボア」も別の選択肢になります。ここでは2026年10月28日時点の公式運賃・運行案内をもとに、乗れる路線、料金、乗り方、代替バス、交通チケットの選び方を整理します。
【2026年最新】リスボンケーブルカーの運行状況は?乗れる路線を解説

2026年のリスボンでケーブルカーを楽しむなら、最初に確認したいのが路線ごとの営業状況です。かつて観光客に人気だった3つの歴史的なケーブルカーは、2025年9月の事故後、安全性の検証などを理由に運休が続いています。
一方、グラサ線は安全確認を経て2026年4月30日に再開しました。CARRISの公式案内によると、5月15日からは営業時間が7時〜21時に拡大され、現在の運行案内でも毎日14時間の運行が示されています。
2026年10月28日時点では、グラサ線とテレキャビネ・リスボアを区別して計画することが大切です。グラサ線は市内の坂道を結ぶ公共交通機関であり、テレキャビネ・リスボアはテージョ川沿いの景色を楽しむ観光用ロープウェイです。目的地も料金体系も異なります。
運休の背景となったグロリア線の事故では、16人が死亡し、24人が負傷しました。ポルトガル通信社Lusaなどの2026年9月の報道によれば、事故原因の捜査や技術鑑定はその時点でも続いていました。CARRISも予備報告書について、調査・分析が完了した最終結論ではないと説明しています。
ビカ線、ラヴラ線、サンタ・ジュスタのエレベーターについては、再開時期を確定できる公式日程が示されていません。グロリア線については、新しい設備への更新が計画され、報道では2029年の運行再開が目標として取り上げられています。ただし、これは確定した営業再開日ではありません。
【4路線を比較】ビカ線・グロリア線・ラヴラ線・グラサ線の特徴
リスボンには、名前や形状が似ていても、走る場所や目的が異なる昇降設備があります。歴史的な3路線と、比較的新しいグラサ線の違いを知っておけば、観光ルートを組み立てやすくなります。
| 路線・設備 | 主な区間・特徴 | 2026年10月の状況 | 旅行者向けのポイント |
|---|---|---|---|
| グロリア線(Ascensor da Glória) | レスタウラドーレス広場周辺とバイロ・アルト方面を結ぶ。1885年開業。 | 運休中 | サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台方面へ行くなら、代替バス51Eを検討。 |
| ビカ線(Ascensor da Bica) | ルア・デ・サン・パウロとラルゴ・ド・カラリスを結ぶ。1892年開業。 | 運休中 | 坂道とカラフルな街並みで知られるビカ地区の散策に適したエリア。 |
| ラヴラ線(Ascensor do Lavra) | ラルゴ・ダ・アナンシアダとルア・カマラ・ペスタナ方面を結ぶ。1884年開業。 | 運休中 | リスボン最古のケーブルカーとして知られる路線。代替バス19Bを利用。 |
| グラサ線(Funicular da Graça) | モウラリア地区のルア・ドス・ラガレスとグラサ地区の展望台方面を結ぶ。 | 運行中。毎日7時〜21時。 | 坂道の移動を短縮しながら、グラサ地区の展望台を訪れたい人におすすめ。 |
| テレキャビネ・リスボア(Telecabine Lisboa) | パルケ・ダス・ナソンイス地区のテージョ川沿いを空中移動する観光用ゴンドラ。 | 季節営業時間で運行。保守休業の告知に注意。 | 川沿いの景色や空中からの眺望を楽しみたい人向け。市内の坂道を結ぶ設備ではない。 |
路線の歴史にも違いがあります。ラヴラ線は1884年、グロリア線は1885年、ビカ線は1892年に開業しました。これらは急斜面の移動を支える交通設備として発達し、現在ではリスボンの都市景観を形づくる存在になっています。
グラサ線は2024年に開業した比較的新しい設備です。CARRISの公式FAQによると、線路の長さは約134メートル、高低差は約43メートルで、途中駅はありません。2026年の営業再開後は、観光だけでなく、住民の移動手段としての役割も担っています。
なお、サンタ・ジュスタのエレベーター(Elevador de Santa Justa)も、坂道の多い旧市街を移動する設備として知られていますが、歴史的ケーブルカーそのものではありません。こちらも2026年10月時点で運休案内が掲載されているため、ケーブルカーとは別に確認が必要です。
【料金・乗り方】2026年の運賃とリスボン交通チケット比較
リスボンの交通費を抑えるには、1回ごとの乗車券を買うのか、チャージ式カードや24時間券を使うのかを、当日の移動回数から判断するのが基本です。CARRISの2026年運賃表では、2026年1月1日から適用される主な料金が公表されています。
グラサ線の車内購入運賃は、銀行カードで4.30ユーロ(2回分の乗車)。有効なNaveganteの定期券・パスも利用できます。CARRISの案内では、対象のプリペイド式Naveganteカードを持つ利用者は、単発乗車券の利用者より優先的に乗車できるとされています。
一方、テレキャビネ・リスボアは観光用施設で、公共交通の通常運賃とは別に料金が設定されています。市内のケーブルカー用乗車券や24時間券と同じものとして扱わないようにしましょう。
主な運賃の目安(2026年)
- 路線バスの車内購入:2.30ユーロ
- 路面電車の車内購入:3.30ユーロ
- ケーブルカーの車内運賃:4.30ユーロ(最大2回の乗車)
- サンタ・ジュスタのエレベーター:6.20ユーロ(最大2回の乗車。現在は運休案内あり)
- CARRIS・地下鉄の1回券:1.90ユーロ
- CARRIS・地下鉄の24時間券:7.25ユーロ
- CARRIS・地下鉄・Transtejoの24時間券:10.35ユーロ
- CARRIS・地下鉄・CPの24時間券:11.40ユーロ
- チャージ式カードのZapping運賃:1.72ユーロ
これらはCARRISの2026年公式運賃表に基づく料金です。Zappingは対象カードに金額をチャージして利用する方式で、車内で現金購入する場合とは運賃が異なります。適用条件やカードの種類も確認してください。
グラサ線の乗り方
最初に、下側の乗り場であるルア・ドス・ラガレス、または上側のグラサ展望台方面の乗り場へ向かいます。Naveganteの対象パスを持っている場合は、利用条件を確認して乗車してください。単発利用なら、CARRISの案内に従って銀行カードによる車内運賃の支払いを選べます。
乗車前には、当日の運行状況と乗り場の案内を確認しましょう。混雑時は、パス利用者が優先される場合があります。観光の予定が詰まっている日は、乗車待ちの時間も考慮しておくと安心です。
どのチケットが得か
地下鉄やバスをほとんど使わず、グラサ線だけに乗るなら、車内運賃を基準に考えられます。反対に、1日に複数回バスや地下鉄を利用するなら、24時間券やZappingを含めて比較する価値があります。交通チケットの対象範囲は商品ごとに異なるため、観光用ゴンドラの料金まで含まれると考えないことが大切です。
【混同に注意】ケーブルカーとロープウェイの違いは?
「リスボンケーブルカー」で検索すると、坂道を走る歴史的な車両と、空中を進むゴンドラの両方が候補に出てくることがあります。しかし、この2つは仕組みも景色も、乗車する目的も異なります。
ケーブルカー(フニクラー)は、基本的に線路上を走る車両をケーブルで動かす方式です。急斜面の移動に向いており、リスボンの歴史的な路線は、坂の上下を結ぶ公共交通として発達しました。車両や線路が街並みに溶け込んでいる点も特徴です。
一方、ロープウェイは、支柱の間に張られたケーブルにゴンドラをつるし、空中を移動する方式です。テレキャビネ・リスボアはこのタイプで、パルケ・ダス・ナソンイス地区の水辺を上空から眺められます。
つまり、古い街並みと急坂の風景を楽しみたいならグラサ線、テージョ川沿いの眺望を優先するならテレキャビネ・リスボアが候補になります。どちらも「ケーブルで動く乗り物」ですが、同じ交通機関として料金や運行情報を調べると混乱しやすいため、名称を分けて検索するのがおすすめです。
テレキャビネ・リスボアの料金と営業時間
公式料金ページに掲載されている大人料金は、片道7.50ユーロ、往復9.50ユーロです。3〜12歳は片道5.50ユーロ、往復6.50ユーロ、2歳以下は無料と案内されています。
2026年10月24日から2027年3月12日までの季節営業時間は、11時〜18時です。ただし、公式ページには営業時間が予告なく変更される場合がある旨も記載されています。また、同ページには11月17日〜12月5日の保守休業に関する告知も掲載されているため、秋冬の旅行では該当年と最新の営業案内を必ず確認してください。
チケットは乗車前に購入する必要があり、公式案内では払い戻し不可とされています。一方で、チケット自体は期限切れにならないとの説明もあります。購入前に利用条件を確認しておきましょう。
【運休時の対策】リスボンケーブルカーの代替バスと観光ルート
2026年は、運休中の歴史的路線を旅程の中心に据えるより、代替バスと徒歩を組み合わせて観光するほうが現実的です。CARRISはグロリア線、ビカ線、ラヴラ線について、それぞれ代替バスの案内を掲載しています。
- グロリア線の代替:51E。レスタウラドーレス周辺、ロシオ、ルア・ド・オウロ、ラルゴ・ド・カルモなどを結ぶ循環ルートです。バイロ・アルトやカルモ周辺へ移動する際に検討できます。
- ビカ線の代替:22B。カイス・ド・ソドレとプリンシペ・レアル方面を結ぶ循環ルートで、カラリスやルア・デ・サン・パウロ周辺への移動に役立ちます。
- ラヴラ線の代替:19B。カンポ・マルティレス・ダ・パトリア、レスタウラドーレス、ラヴラ周辺などを結ぶルートです。運休中の坂道区間を移動する際の候補になります。
各バスの運行時間や停留所は変更されることがあります。特に51Eは、CARRISが2026年10月27日に11月2日からの新しい時刻表を告知しています。旅行日が11月以降なら、以前のガイドに記載された時刻ではなく、最新の時刻表を確認してください。
目的別に考える観光ルート
歴史的な坂道と展望台を楽しみたい場合は、グラサ線の運行を確認し、モウラリア地区からグラサ地区へ移動するプランが候補です。展望台を訪れたあとは、周辺を徒歩で散策する時間も確保すると、移動だけで終わらない観光になります。
ビカ地区の写真を撮りたい場合は、ケーブルカーが運休していても、地区の街並みそのものを徒歩で楽しめます。ただし、石畳と急坂が続くため、歩きやすい靴を用意し、雨天時や荷物が多い場合は無理のないルートを選んでください。
空中からの眺めを重視するなら、テレキャビネ・リスボアをパルケ・ダス・ナソンイス地区の観光と組み合わせる方法があります。こちらは旧市街の坂道とは離れたエリアにあるため、移動時間を含めて別の観光枠として計画するのが効率的です。
旅程の失敗を防ぐ要点は、乗りたい設備を決めたら、出発当日にCARRIS公式の運行変更情報を確認することです。運休中の路線は、地図や旅行ブログに車両の写真が掲載されていても、実際に乗車できるとは限りません。
【リスボンケーブルカー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年にリスボンの歴史的なケーブルカーに乗ることはできますか?
A1:2026年10月28日時点では、グラサ線が営業を再開しており、毎日7時〜21時に運行しています。一方、グロリア線・ビカ線・ラヴラ線は運休中です。乗車当日にCARRIS公式の運行情報を確認してください。
Q2:リスボンケーブルカーの料金はいくらですか?
A2:CARRISの2026年運賃表では、ケーブルカーの車内運賃は最大2回の乗車で4.30ユーロです。グラサ線では対象のNaveganteパスも利用できます。観光用ゴンドラのテレキャビネ・リスボアは、大人片道7.50ユーロ、往復9.50ユーロです。
Q3:グロリア線が運休している場合、どうやって移動すればよいですか?
A3:CARRISが案内する代替バス51Eを利用できます。レスタウラドーレス、ロシオ、カルモ周辺などを結ぶルートです。時刻表は更新されることがあるため、旅行日の最新情報を確認しましょう。
Q4:ケーブルカーとテレキャビネ・リスボアは同じ乗り物ですか?
A4:異なります。歴史的なケーブルカーは線路上を走り、急坂の上下を結びます。テレキャビネ・リスボアはゴンドラをケーブルにつるして空中を移動するロープウェイで、テージョ川沿いの景色を楽しむ観光施設です。
Q5:24時間券を買えば、すべてのケーブルカーやゴンドラに乗れますか?
A5:すべての設備に共通するチケットではありません。CARRISの交通チケットは対象となる公共交通の利用に向けたもので、テレキャビネ・リスボアは独自の料金体系です。購入前にチケットの対象範囲を確認してください。
2026年のリスボンでは、歴史的なケーブルカーがすべて通常運行しているわけではありません。グロリア線・ビカ線・ラヴラ線は運休が続く一方、グラサ線は2026年4月30日に営業を再開しています。以前の観光情報だけを頼りにすると、乗車を予定していた路線が利用できない可能性があります。
料金面では、公共交通としてのケーブルカーと、観光用ゴンドラのテレキャビネ・リスボアを区別が必要です。バスや地下鉄を何度も使う日なら24時間券やZappingを比較し、景色を楽しむこと自体が目的なら、ゴンドラの専用料金と季節営業時間を確認しましょう。
また、運休路線には51E・22B・19Bという代替バスがあります。CARRIS公式の運行情報と運賃表、テレキャビネ・リスボアの公式料金・営業時間ページを出発前に確認すれば、現地での予定変更を減らせます。
歴史ある坂道の風景を楽しむのか、グラサ地区の移動を体験するのか、テージョ川沿いを空中から眺めるのか。目的を明確にして路線とチケットを選ぶことが、2026年のリスボン観光を効率よく楽しむための近道です。