ベーブ・ルース賞は、MLBのポストシーズンで最も優れた活躍を見せた選手を称える賞です。2025年はロサンゼルス・ドジャースの山本由伸が受賞し、ワールドシリーズMVPにも選ばれました。短期決戦での圧倒的な投球が、アメリカの野球界でも高く評価されたシーズンでした。
2026年10月28日時点で、ニューヨーク支部の公式受賞者一覧に掲載されている最新の受賞者は2025年の山本由伸です。ベーブ・ルース賞とは何か、ワールドシリーズMVPとの違い、選考基準や歴史、マディソン・バンガーナーやムーキー・ベッツら歴代受賞者まで、MLBの公式情報と受賞記録をもとに整理します。
【まず結論】ベーブ・ルース賞とは?2025年は山本由伸が受賞

ベーブ・ルース賞(Babe Ruth Award)は、MLBのポストシーズンで最も活躍した選手に贈られる賞です。選出を行うのは、全米野球記者協会(BBWAA)のニューヨーク支部。MLB全体の公式個人タイトルとは異なり、同支部が独自に表彰する賞という点が特徴です。
賞の名称は、ニューヨーク・ヤンキースなどで活躍した伝説的選手ベーブ・ルースに由来します。初めて授与されたのは1949年で、ルースが1948年に亡くなった翌年に始まりました。当初はワールドシリーズでの活躍を評価する賞でしたが、2007年から対象範囲がポストシーズン全体へと拡大されています。
ニューヨーク支部の公式受賞者一覧では、2024年にムーキー・ベッツ、2025年に山本由伸が名を連ねています。2025年の山本は、投手として複数のシリーズで勝利に貢献したことが大きな特徴です。
ここで押さえておきたいのは、ベーブ・ルース賞が単に「ワールドシリーズを制したチームの中心選手」に与えられる賞ではないことです。対象はポストシーズン全体であり、地区シリーズやリーグ優勝決定シリーズでの活躍も評価の対象になります。
【2025年の受賞理由】山本由伸は何を成し遂げたのか
2025年のベーブ・ルース賞を理解するうえで欠かせないのが、山本由伸のポストシーズンでの投球です。MLB公式選手データやBaseball-Referenceの成績記録によると、山本は2025年のポストシーズンで5勝1敗、防御率1.45、37回1/3、33奪三振を記録しました。
注目すべきなのは、勝利数だけではありません。短期決戦では、先発投手が一度の失敗でシリーズの流れを変えてしまうことがあります。そのなかで山本は、長いイニングを投げながら失点を抑え、チームが勝ち進むための重要な役割を果たしました。
ワールドシリーズでも、その存在感は際立ちました。第2戦では1失点完投、第6戦では1失点で6イニングを投げ、さらに第7戦では中継ぎとして登板し、延長11回までもつれた試合の終盤を無失点で抑えています。MLB公式の振り返り記事でも、こうした連投を含む一連の働きが紹介されています。
特に第7戦の登板は、先発投手としての役割を超えた貢献でした。休養日を挟まずに救援登板し、優勝が決まる局面で相手打線を封じたことは、短期決戦における投手の価値を象徴する場面です。
2025年の山本は、ベーブ・ルース賞だけでなく、ワールドシリーズMVPにも選ばれました。つまり、ポストシーズン全体の活躍と、最終シリーズでの活躍の両方が高く評価されたことになります。
この受賞理由を数字から読み解くなら、要点は三つあります。
- 勝利への直接的な貢献:ポストシーズンで5勝を挙げ、チームの勝ち上がりを支えた。
- 失点を抑える安定感:37回1/3を投げ、防御率1.45という優れた数字を残した。
- 重要局面での対応力:先発登板だけでなく、第7戦では救援投手として試合を締めくくる役割も担った。
もちろん、ベーブ・ルース賞の公式な評価基準は、勝利数や防御率だけで構成された計算式として公表されているわけではありません。山本の成績は、ポストシーズン全体でどれほど試合の結果に影響したかを考えるための具体的な材料です。
【徹底比較】ベーブ・ルース賞とワールドシリーズMVPの違い
ベーブ・ルース賞とワールドシリーズMVPは、どちらも大舞台で活躍した選手を称える賞ですが、対象となる試合と表彰の位置づけが異なります。この違いを理解すると、山本由伸が2025年に二つの賞を受賞した意味も明確になります。
| 比較項目 | ベーブ・ルース賞 | ワールドシリーズMVP |
|---|---|---|
| 正式な名称 | Babe Ruth Award | Willie Mays World Series Most Valuable Player Award |
| 評価対象 | MLBポストシーズン全体 | ワールドシリーズのみ |
| 表彰主体 | BBWAAニューヨーク支部 | MLB |
| 歴史 | 1949年に初授与。2007年からポストシーズン全体が対象 | 1955年に初授与。2017年からウィリー・メイズの名を冠する |
| 主な評価の視点 | 複数ラウンドを通じた活躍とチームへの貢献 | ワールドシリーズでの活躍と勝利への貢献 |
| 2025年の受賞者 | 山本由伸 | 山本由伸 |
| 2024年の受賞者 | ムーキー・ベッツ | フレディ・フリーマン |
ワールドシリーズMVPは、2017年からウィリー・メイズの名前を冠した賞になりました。MLBの公式発表によると、名称変更は同年9月に発表され、2017年のワールドシリーズから新名称が使用されています。
両賞の最大の違いは、評価する試合の範囲です。ベーブ・ルース賞では、ワイルドカードシリーズや地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズを通じた貢献が評価されます。一方、ワールドシリーズMVPは、最後のシリーズでの活躍に焦点を当てます。
2024年の受賞者は、この違いを示す好例です。ベーブ・ルース賞はムーキー・ベッツ、ワールドシリーズMVPはフレディ・フリーマンでした。両賞の受賞者が一致しない年もあり、選考対象の違いが結果に表れることがあります。
反対に、2025年の山本由伸は両方を受賞しました。ポストシーズン全体での貢献に加え、ワールドシリーズでも特に重要な役割を果たしたためです。ただし、二つの賞は別々の表彰であり、一方の受賞がもう一方の受賞を自動的に意味するわけではありません。
【歴史と選考の仕組み】1949年から続く賞はどう変わった?
ベーブ・ルース賞の歴史は、ワールドシリーズMVPよりも古い1949年にさかのぼります。ニューヨーク支部のBBWAAが創設した賞で、当初はワールドシリーズで最も優れた活躍を見せた選手を表彰していました。
初代受賞者は、ニューヨーク・ヤンキースの投手ジョー・ペイジです。その後、長年にわたりワールドシリーズでの活躍を評価する賞として続き、2006年のデビッド・エクスタインまで、対象はワールドシリーズに限定されていました。
大きな転換点となったのが2007年です。この年から選考対象がポストシーズン全体に広がり、ワールドシリーズに進出するまでの各ラウンドでの活躍も評価されるようになりました。2007年の受賞者はボストン・レッドソックスのジョナサン・パペルボンです。
この変更によって、ベーブ・ルース賞はワールドシリーズMVPとは異なる役割を持つ賞になりました。ワールドシリーズMVPが最終シリーズの最高の活躍を称えるのに対し、ベーブ・ルース賞は10月のポストシーズン全体を振り返る表彰として位置づけられています。
ベーブ・ルース賞の選考基準について、ニューヨーク支部の公式ページは「ポストシーズンで最も優れた選手」を選ぶ趣旨を示しています。ただし、打率や防御率、勝利数などに何点ずつ配分するかという公式の数値基準や、詳細な投票方式は同ページで明示されていません。
そのため、選考を理解する際は、単一の成績だけで受賞が決まると考えないことが大切です。打者なら長打や打点、出塁、守備での貢献、投手なら勝利数や防御率、重要な試合での投球など、役割に応じた活躍を総合的に見る必要があります。これは賞の趣旨を理解するための評価視点であり、公式に定められた点数表ではありません。
また、ワールドシリーズ優勝チームに所属していることが絶対条件でもありません。1975年には敗れたボストン・レッドソックスのルイス・ティアントが受賞しています。2020年も、ワールドシリーズで敗れたタンパベイ・レイズのランディ・アロザレーナが受賞しました。
こうした歴史を踏まえると、ベーブ・ルース賞は優勝チームへの副賞ではなく、ポストシーズンで際立った個人の働きを評価する賞だと理解できます。
【歴代受賞者一覧】マディソン・バンガーナーから山本由伸まで
ベーブ・ルース賞の歴代受賞者を年代順に整理します。1949年から2006年まではワールドシリーズが対象で、2007年以降はポストシーズン全体が対象です。以下はニューヨーク支部の公式受賞者一覧を中心にまとめた記録です。
1949〜1959年
1949年:ジョー・ペイジ、1950年:ジェリー・コールマン、1951年:フィル・リズート、1952年:ジョニー・マイズ、1953年:ビリー・マーティン、1954年:ダスティ・ローズ、1955年:ジョニー・ポドレス、1956年:ドン・ラーセン、1957年:ルー・バーデット、1958年:エルストン・ハワード、1959年:ラリー・シェリー。
1960〜1969年
1960年:ビル・マゼロスキー、1961年:ホワイティ・フォード、1962年:ラルフ・テリー、1963年:サンディ・コーファックス、1964年:ボブ・ギブソン、1965年:サンディ・コーファックス、1966年:フランク・ロビンソン、1967年:ルー・ブロック、1968年:ミッキー・ロリッチ、1969年:アル・ワイス。
1970〜1979年
1970年:ブルックス・ロビンソン、1971年:ロベルト・クレメンテ、1972年:ジーン・テナス、1973年:バート・カンパネリス、1974年:ディック・グリーン、1975年:ルイス・ティアント、1976年:ジョニー・ベンチ、1977年:レジー・ジャクソン、1978年:バッキー・デント、1979年:ウィリー・スタージェル。
1980〜1989年
1980年:タグ・マグロウ、1981年:ロン・セイ、1982年:ブルース・スーター、1983年:リック・デンプシー、1984年:ジャック・モリス、1985年:ブレット・セイバーヘイゲン、1986年:レイ・ナイト、1987年:フランク・バイオーラ、1988年:オーレル・ハーシュハイザー、1989年:デーブ・スチュワート。
1990〜1999年
1990年:ビリー・ハッチャー、1991年:ジャック・モリス、1992年:デーブ・ウィンフィールド、1993年:ポール・モリター、1994年:該当者なし、1995年:トム・グラビン、1996年:セシル・フィルダー、1997年:モイゼス・アルー、1998年:スコット・ブロシアス、1999年:マリアノ・リベラ。
2000〜2009年
2000年:デレク・ジーター、2001年:ランディ・ジョンソン、2002年:トロイ・グロース、2003年:ジョシュ・ベケット、2004年:キース・フォーク、2005年:ジャーメイン・ダイ、2006年:デビッド・エクスタイン、2007年:ジョナサン・パペルボン、2008年:コール・ハメルズ、2009年:アレックス・ロドリゲス。
2010〜2019年
2010年:ティム・リンスカム、2011年:デビッド・フリース、2012年:パブロ・サンドバル、2013年:デビッド・オルティス、2014年:マディソン・バンガーナー、2015年:ウェイド・デービス、2016年:ジョン・レスター、2017年:ホセ・アルトゥーベとジャスティン・バーランダー、2018年:デビッド・プライス、2019年:フアン・ソトとスティーブン・ストラスバーグ。
2020〜2025年
2020年:ランディ・アロザレーナ、2021年:フレディ・フリーマン、2022年:ジェレミー・ペーニャ、2023年:アドリス・ガルシア、2024年:ムーキー・ベッツ、2025年:山本由伸。
歴代受賞者のなかでも、2014年のマディソン・バンガーナーは、ポストシーズンの投手が評価される代表例です。サンフランシスコ・ジャイアンツの一員としてワールドシリーズ制覇に貢献し、ベーブ・ルース賞を受賞しました。山本由伸の2025年の活躍を振り返る際にも、こうした短期決戦での投手の価値を示す先例として注目されます。
一方、2024年のムーキー・ベッツは、打者としてポストシーズンで活躍した受賞者です。投手だけが受賞する賞ではなく、打撃や守備を通じてチームに貢献した選手も対象になります。
また、2017年はホセ・アルトゥーベとジャスティン・バーランダー、2019年はフアン・ソトとスティーブン・ストラスバーグが共同受賞しました。受賞者が必ず一人とは限らないことも、歴代記録から分かります。
【2026年最新情報とプロの結論】次の受賞者を見極めるポイント
2026年10月28日時点で、ベーブ・ルース賞の最新の受賞者として確認できるのは2025年の山本由伸です。ニューヨーク支部の公式受賞者一覧では、2025年の受賞者として山本が掲載されています。2026年のポストシーズンを対象とする受賞者は、同日時点で発表されていません。
ベーブ・ルース賞はポストシーズン全体を対象にするため、ワールドシリーズだけでなく、その前のラウンドでの成績も判断材料になります。2026年の受賞者を予想する場合も、シリーズごとの勝敗だけでなく、選手がどれほど継続してチームの勝利に貢献したかに注目する必要があります。
投手なら、勝利数、防御率、投球回、奪三振に加え、シリーズの行方を左右する試合でどのような投球をしたかが見どころです。打者なら、打率や本塁打だけでなく、得点圏での打撃、出塁、長打、守備面の貢献も確認したいポイントです。ただし、これらは成績を読み解くための視点であり、公式の固定された採点基準ではありません。
【プロの結論】ベーブ・ルース賞を理解するうえで最も大切なのは、ワールドシリーズMVPとの違いを押さえたうえで、ポストシーズン全体の流れを見ることです。ワールドシリーズで一度だけ大活躍した選手と、複数のラウンドで安定して貢献した選手では、評価の対象となる実績が異なります。
山本由伸の2025年の受賞は、その違いを理解するための分かりやすい事例です。ポストシーズン全体で5勝を挙げ、防御率1.45を記録し、ワールドシリーズの重要な試合でも結果を残しました。二つの賞を同時に受賞したことは、シーズン終盤の一連の働きが幅広く評価されたことを示しています。
2026年の受賞者を追う際は、話題性や本塁打数だけで判断せず、各ラウンドの成績、試合展開への影響、チームへの貢献を合わせて確認するのが適切です。歴代受賞者の顔ぶれを見ても、投手と野手の双方が選ばれ、共同受賞の例もあるため、特定のポジションや一つの数字だけに注目するのは十分ではありません。
【ベーブ・ルース賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ベーブ・ルース賞は誰が選ぶのですか?
A1:全米野球記者協会(BBWAA)のニューヨーク支部が選出する賞です。MLBポストシーズンで最も優れた活躍を見せた選手を称えます。詳細な点数配分などの選考ルールは、公式受賞者ページでは明示されていません。
Q2:2025年のベーブ・ルース賞受賞者は誰ですか?
A2:ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸です。2025年のポストシーズンで5勝1敗、防御率1.45、37回1/3、33奪三振を記録し、ワールドシリーズMVPも受賞しました。
Q3:ベーブ・ルース賞とワールドシリーズMVPは同じ賞ですか?
A3:別の賞です。ベーブ・ルース賞は2007年以降、ポストシーズン全体を対象とする一方、ワールドシリーズMVPはワールドシリーズのみを対象にします。2025年は山本由伸が両方を受賞しましたが、2024年はベーブ・ルース賞がムーキー・ベッツ、ワールドシリーズMVPがフレディ・フリーマンでした。
Q4:ベーブ・ルース賞は優勝チームの選手しか受賞できませんか?
A4:いいえ。優勝チーム以外の選手が受賞した例もあります。1975年のルイス・ティアントや2020年のランディ・アロザレーナが代表例です。賞の趣旨は、優勝の有無だけでなくポストシーズンでの個人の活躍を評価することにあります。
Q5:2026年のベーブ・ルース賞受賞者は決まっていますか?
A5:2026年10月28日時点では、2026年の受賞者は発表されていません。ニューヨーク支部の公式受賞者一覧で確認できる最新の受賞者は、2025年の山本由伸です。
ベーブ・ルース賞は、1949年に始まった歴史ある表彰で、2007年からMLBポストシーズン全体の最優秀選手を称える賞へと変わりました。選出を行うのはBBWAAニューヨーク支部であり、MLBが表彰するワールドシリーズMVPとは対象範囲も位置づけも異なります。
2025年は山本由伸が受賞し、ワールドシリーズMVPとの同時受賞を果たしました。5勝1敗、防御率1.45という成績に加え、ワールドシリーズ第7戦での救援登板も含めた働きが、シーズン終盤の大きな見どころとなりました。
2026年の受賞者はまだ発表されていません。次の受賞者を見極める際は、最終シリーズの印象だけでなく、ポストシーズン全体での継続的な貢献に注目することが大切です。歴代受賞者を振り返ると、投手と野手の双方に受賞の道があり、優勝チーム以外の選手や共同受賞の例も存在します。こうした歴史を踏まえると、ベーブ・ルース賞はMLBの秋の戦いを個人の活躍から読み解くための重要な指標です。