2022年11月30日、アメリカのハードロックバンドKISS(キッス)は、東京ドームで一夜限りの来日公演を開催した。公演名は「END OF THE ROAD WORLD TOUR」。2019年12月の来日ツアーで日本のファンに別れを告げたはずのKISSが、なぜ再び日本のステージに立ったのか。その背景には、新型コロナウイルスの世界的流行によるツアー計画の変更と、世界各地のファンから寄せられた再訪への期待があった。
ウドー音楽事務所とユニバーサル ミュージックの公演情報、当日の公式ライブレポート、2019年の来日公演記録を整理すると、2022年公演の位置づけが見えてくる。チケット料金は15,000円から25,000円が基本で、セットリストには「Detroit Rock City」「I Was Made for Lovin’ You」「Rock and Roll All Nite」などの代表曲が並んだ。2026年現在の活動状況も踏まえ、最後の来日公演の意味を振り返る。
【開催日と会場】KISS日本公演2022は11月30日の東京ドームで開催

KISSの2022年日本公演は、2022年11月30日(水)に東京ドームで開催された。開場は17時30分、開演予定は19時。公演は「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の一環として企画され、日本ではこの日限りの特別公演となった。
来日公演の特設情報を掲載したウドー音楽事務所と、2022年8月2日に公演決定を発表したユニバーサル ミュージックは、いずれも一夜限りのアンコール来日公演として告知している。2019年の来日ツアーから約3年後、KISSが再び東京ドームに戻ってきた形だ。
当日の公式ライブレポートによると、開演は予定時刻の19時を約8分過ぎたころ。レッド・ツェッペリンの「Rock and Roll」が流れた後、おなじみのアナウンスに続いてオープニング曲「Detroit Rock City」が始まった。幕が落ち、炎と火花を伴ってメンバーが登場する演出は、KISSらしい大規模なロックショーの幕開けとなった。
公演時間は約2時間。最後は大量の紙吹雪が舞う「Rock and Roll All Nite」で締めくくられた。長年の代表曲と派手なステージ演出を組み合わせた構成は、単なる懐古的なコンサートではなく、ツアーの終幕を飾るライブとして企画されたことを印象づけた。
【開催の経緯】2019年に最後とされた来日公演が、なぜ2022年に実現したのか
2022年の再来日を理解するには、2019年から続いたフェアウェルツアーの経緯を押さえる必要がある。
KISSは2019年1月31日、カナダのバンクーバーで「END OF THE ROAD WORLD TOUR」を開始した。長年のツアー活動に区切りをつける計画で、日本では同年12月に仙台、東京、盛岡、大阪、名古屋の5都市を巡演。東京ドーム公演は12月11日に行われた。
当時の来日公演は、日本での最後のKISS体験になると受け止められていた。実際、ポール・スタンレーは2019年の日本公演で、ファンに別れを告げる趣旨の言葉をステージ上で伝えていた。
しかし、2020年に新型コロナウイルスの世界的流行が発生し、予定されていたライブ活動は大幅な延期や変更を余儀なくされた。ツアーの終了時期も当初の計画どおりには進最初に、2021年に予定されていた終幕の構想も見直されることになった。
その後、ライブ活動が再開されると、KISSには各地のファンから再訪を求める声が寄せられた。ユニバーサル ミュージックが2022年12月1日に公開した公演レポートでは、ポール・スタンレーが同年のインタビューで、パンデミックによってツアーが延長され、再び訪れるべき都市の一つに東京が含まれていたと説明したことが紹介されている。
つまり、2022年公演はフェアウェルツアーを撤回して通常の活動に戻ったという話ではない。パンデミックで変更されたツアー計画を背景に、日本のファンに改めて別れを告げる機会として組まれた公演だった。
「最後の来日公演」という言葉だけを見ると、2019年と2022年の情報は矛盾しているように映る。しかし、2019年の時点では最後になる予定だったものが、ツアーの延長によって2022年に再び実現した、と整理すれば経緯は明確になる。
【2019年との違い】公演日程・セットリスト・チケット料金を比較
2019年と2022年の日本公演は、どちらも「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の一部だ。ツアーの基本コンセプトや代表曲を中心とする構成は共通していた一方、開催規模や一部の選曲、演出には違いがあった。
ウドー音楽事務所の公演情報とBARKSの公式ライブレポートをもとに比較すると、最も大きな違いは、2019年が5都市を巡るツアーだったのに対し、2022年は東京ドームのみの一夜限りの公演だった点にある。
| 比較項目 | 2019年日本ツアー | 2022年日本公演 |
|---|---|---|
| 開催時期 | 2019年12月8日〜19日 | 2022年11月30日 |
| 開催都市・会場 | 仙台、東京、盛岡、大阪、名古屋の5都市 | 東京ドームのみ |
| 公演の位置づけ | フェアウェルツアーの日本ツアー | 一夜限りのアンコール来日公演 |
| SS席 | 25,000円 | 25,000円 |
| S席 | 20,000円 | 20,000円 |
| A席 | 15,000円 | 15,000円 |
| SSバルコニー席 | 2022年の公演案内にある専用区分はなし | 25,000円。1ドリンク・軽食付き、専用トイレ・専用入場ゲートあり |
| セットリストの主な違い | 「Let Me Go, Rock’n’Roll」を演奏 | 同曲が外れ、「Makin’ Love」が加わった |
特に注目したいのは、基本となる座席料金が2019年と2022年で同額だったことだ。2022年は3年ぶりの再来日だったが、SS席25,000円、S席20,000円、A席15,000円という価格設定は維持された。
一方、2022年にはSSバルコニー席が用意され、1ドリンク・軽食に加え、専用トイレと専用入場ゲートが付帯した。単純な座席料金だけでなく、付帯サービスも比較すべきポイントだ。
セットリストについては、BARKSの公式ライブレポートが、2019年の東京ドーム公演と比較して「Let Me Go, Rock’n’Roll」が外れ、「Makin’ Love」が加わった点を大きな変更として挙げている。「Makin’ Love」は当時のツアー全体でも久しぶりに選ばれた曲として紹介された。
この比較から見えてくるのは、2022年公演が2019年とは別物のツアーではなかったということだ。基本の演出と選曲の軸を維持しながら、一部の楽曲やパフォーマンスに変化を加え、最後の日本公演としての特別感を持たせたライブだった。
【セットリスト完全整理】KISS日本公演2022で演奏された代表曲
2022年11月30日の東京ドーム公演では、KISSの代表曲を軸に、アルバムの時代を横断する選曲が披露された。ユニバーサル ミュージックは公演翌日の12月1日、ライブレポートとともにセットリストのプレイリスト公開を告知している。
BARKSの公式ライブレポートに掲載された演奏曲を中心に整理すると、主な曲順は以下のとおりだ。ソロ演奏や曲間の展開を独立した項目として数えるセットリスト記録もあるため、データベースによって曲数の表示が異なる場合がある。
本編
- Detroit Rock City(デトロイト・ロック・シティ)
- Shout It Out Loud(狂気の叫び)
- Deuce(ジュース)
- War Machine(ウォー・マシーン)
- Heaven’s on Fire(ヘヴンズ・オン・ファイアー)
- I Love It Loud(アイ・ラヴ・イット・ラウド)
- Say Yeah(セイ・イェー)
- Cold Gin(コールド・ジン)
- Lick It Up(リック・イット・アップ)
- Calling Dr. Love(悪魔のドクター・ラヴ)
- Makin’ Love(メイキン・ラヴ)
- Psycho Circus(サイコ・サーカス)
- 100,000 Years(10万年の彼方)
- God of Thunder(雷神)
- Love Gun(ラヴ・ガン)
- I Was Made for Lovin’ You(ラヴィン・ユー・ベイビー)
- Black Diamond(ブラック・ダイヤモンド)
アンコール
- Beth(ベス)
- Do You Love Me(ドゥ・ユー・ラヴ・ミー)
- Rock and Roll All Nite(ロックン・ロール・オール・ナイト)
この構成の特徴は、初期の代表曲と後年のヒット曲を織り交ぜながら、KISSのライブを象徴する楽曲を終盤に集めていることだ。「Detroit Rock City」で勢いよく幕を開け、「I Was Made for Lovin’ You」で幅広いファン層に知られるヒット曲を披露し、最後は「Rock and Roll All Nite」で観客を送り出す。長年のファンにも、代表曲からKISSを知ったリスナーにも訴求する構成だった。
演出面でも曲順には意味があった。「I Love It Loud」ではジーン・シモンズの火吹きパフォーマンスが組み込まれ、「Love Gun」ではポール・スタンレーが空中を移動する演出が披露された。さらに「Psycho Circus」からドラムソロを経て「100,000 Years」へつながる流れも、2019年公演からの変化として報告されている。
セットリストを確認する際は、単に曲名の一致だけでなく、曲順、演奏時間、ソロの扱い、舞台演出まで含めて見ると、2019年から2022年にかけてのライブの変化を理解しやすい。
【東京ドーム公演レポート】ジーン・シモンズとポール・スタンレーが見せた最後の日本公演
2022年の東京ドーム公演を特徴づけたのは、楽曲の選択だけではない。KISSのライブは、音楽、メイク、衣装、火花、炎、巨大な舞台装置を組み合わせた総合的なショーとして成立している。今回も冒頭から終盤まで、その演出力が前面に押し出された。
ユニバーサル ミュージックとBARKSが掲載した公式レポートによると、オープニングではステージを覆っていた幕が落ち、メンバーが炎と火花の中に登場した。冒頭の爆発的な音圧から、終盤の紙吹雪まで、約2時間にわたって視覚的な演出と楽曲が一体となったショーが続いた。
ジーン・シモンズは、ベースとボーカルに加え、火吹きや空中舞などのパフォーマンスでステージを彩った。KISSのライブでは、演奏そのものと同じくらい、キャラクター性を前面に出した身体表現が重要な役割を果たす。2022年の公演も、その伝統を引き継いでいた。
ポール・スタンレーは、ボーカルとギターを担いながら、観客をショーに引き込むフロントマンとして存在感を発揮した。BARKSのレポートは、近年の来日公演で指摘されることがあった声量や高音域の伸びについて、今回は不足を感じなかったと評価している。同レポートでは、トミー・セイヤーとエリック・シンガーの存在感についても触れられた。
2022年の公演では、新型コロナウイルス感染症対策の影響も残っていた。公式レポートによると、当時はマスクの常時着用が求められ、大声を出すことも制限されていた。それでも終演時には、客席から「ありがとう」という声が聞こえたという。
このエピソードが示しているのは、最後の来日公演が単に大規模な演出を見せるイベントではなかったことだ。長年KISSを支えてきたファンにとって、ステージ上のメンバーと同じ空間で過ごす機会そのものに意味があった。最後の一曲が終わった後の反応まで含めて、2022年公演は日本のファンとの別れを象徴するライブとなった。
【歴代来日公演と2026年最新情報】KISSは日本で再びライブを行うのか
KISSと日本の関係は、2022年に突然始まったものではない。初来日は1977年。ウドー音楽事務所の公演情報や来日公演記録によると、その後も1978年、1988年、1995年、1997年、2001年、2003年、2004年、2006年、2013年、2015年、2019年と、長年にわたって日本公演を重ねてきた。
2019年のツアーは、ウドー音楽事務所の案内で史上12回目のジャパンツアーと位置づけられていた。2022年の公演は、それに続く一夜限りの特別公演であり、全国を巡る通常の日本ツアーとは区別して考える必要がある。
東京ドームもKISSにとって縁の深い会場だ。ウドー音楽事務所の2022年公演紹介では、同公演が東京ドームでの通算5回目の公演と説明されている。2015年の来日時には、ももいろクローバーZとの共演があり、2019年の東京ドーム公演ではYOSHIKIが登場するサプライズもあった。日本公演の歴史には、単に海外バンドが来日したという以上の記憶が積み重なっている。
では、2026年にKISSの日本公演は予定されているのだろうか。
2026年10月時点で、KISSの2026年日本公演について公式に発表された開催日程は確認できない。Live Nation Japanのアーティスト公演情報にも、現在販売中のイベントは掲載されていない。したがって、2022年11月30日の東京ドーム公演を、現時点で最後の来日公演として扱うのが適切だ。
ただし、KISSの活動が完全に終わったわけではない。実演ツアーは2023年12月2日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた最終公演をもって終了した。その最後のステージでは、肉体を持つメンバーによるツアー活動に区切りをつけ、デジタルアバターによる新たな展開が示された。
加えて、音楽業界メディアPollstarは2026年4月、ジーン・シモンズ、ポール・スタンレーらがアバター公演の構想について説明したと報じた。同報道では、ラスベガスで2028年にアバターショーを開始する計画が紹介されている。これは従来のメンバーが日本で演奏する来日ツアーとは異なる形態であり、実施時期や開催地などの正式発表を区別して追う必要がある。
2026年のKISSを追ううえで大切なのは、「ツアー活動の終了」と「バンドの歴史そのものの終了」を混同しないことだ。2022年の東京ドーム公演は日本のファンが実演するKISSを見送る機会だったが、アバター公演などを通じてKISSの音楽やキャラクターが新しい形で展開される可能性は残されている。
【KISS日本公演2022】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:KISSの日本公演2022はいつ、どこで開催されましたか?
A1:2022年11月30日(水)、東京ドームで開催されました。開場は17時30分、開演予定は19時で、日本では一夜限りの公演でした。
Q2:KISS日本公演2022のチケット料金はいくらでしたか?
A2:一般席はSS席25,000円、SSバルコニー席25,000円、S席20,000円、A席15,000円でした。別途、Ultimate KISS Army VIP Experienceが400,000円、KISS VIP Silver Packageが150,000円、KISS VIP SOUNDCHECK PACKAGEが20,000円で案内されました。SOUNDCHECK PACKAGEは公演チケット別の料金です。購入経路によっては各種手数料が別途必要になる場合があります。
Q3:2022年公演はKISSの世界最後のライブだったのですか?
A3:いいえ。2022年11月30日は最後の日本公演です。世界での実演ツアーはその後も続き、最終公演は2023年12月2日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催されました。
Q4:2019年の日本ツアーと2022年公演では何が違いましたか?
A4:2019年は仙台、東京、盛岡、大阪、名古屋の5都市を巡るツアーでしたが、2022年は東京ドームだけの一夜限りの公演でした。基本的な座席料金は同じで、セットリストでは「Let Me Go, Rock’n’Roll」に代わって「Makin’ Love」が組み込まれるなど、一部の変更がありました。
Q5:KISSの日本公演は2026年にも開催されますか?
A5:2026年10月時点で、2026年の日本公演に関する公式な開催発表は確認できません。アバター公演は新たな展開として計画されていますが、従来のメンバーによる日本ツアーとは別の企画です。開催情報はKISSの公式発表や日本の招聘元の案内で確認する必要があります。
KISSの日本公演2022は、2022年11月30日に東京ドームで開催された一夜限りの来日公演だった。2019年のフェアウェルツアーで最後とされた来日が、新型コロナウイルスの世界的流行によるツアー計画の変更と、ファンからの再訪への期待を背景に実現した。
2019年と2022年の公演は、同じ「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の流れにあり、座席料金も基本的には同水準だった。一方、2022年は全国ツアーではなく東京ドームだけの特別公演で、セットリストや一部の演出にも変更が加えられていた。
2026年現在、2022年11月30日はKISSが日本で実演した最後の公演として記録されている。ただし、世界最後のライブは2023年12月のニューヨーク公演であり、KISSの活動そのものが消滅したわけではない。アバター公演などの新たな展開が計画されている点も、今後の動向を追ううえで重要だ。
【プロの結論】 KISSのように長い歴史を持つバンドの「最後」という言葉は、何が終わったのかを切り分けて読む必要がある。来日公演、世界ツアー、実演活動、そしてブランドや音楽作品の継承は、それぞれ異なる時間軸で進む。2022年の東京ドーム公演を正確に理解するには、開催当日の事実と、その後の活動の変化を分けて捉えることが欠かせない。
これからKISSの情報を追う場合も、開催日程やチケット料金は招聘元の公式発表、当日の演奏内容は公式ライブレポートやセットリスト記録、今後のアバター公演はバンドや制作会社の発表を基準に確認したい。2022年の東京ドーム公演は、日本のファンにとって一つの時代の区切りであると同時に、KISSの歴史を振り返る重要な節目となっている。
主な参照資料:ウドー音楽事務所の公演情報、ユニバーサル ミュージックの公演発表・ライブレポート、BARKSの公式ライブレポート、Pollstarの2026年4月報道。