敢闘賞とは、試合や大会で最後まで力を尽くし、勇敢な戦いぶりや優れた活躍を見せた選手などに贈られる賞です。優勝者や最も価値のある選手だけでなく、厳しい状況で粘り強く戦った選手、強豪を相手に存在感を示した選手が評価される点に特徴があります。
ただし、敢闘賞には全競技共通の選考基準があるわけではありません。大相撲では「三賞」の一つとして定着し、プロ野球では日本シリーズやオールスターゲームなどで「敢闘選手賞」が設けられています。賞金も大会によって異なり、大相撲では2027年初場所から三賞の賞金が1賞あたり300万円に増額される予定です。2026年の最新事例も交えながら、意味、受賞条件、MVP・殊勲賞・優秀選手賞との違いまで詳しく解説します。
【基本解説】敢闘賞とは?意味・由来・選ばれる理由

敢闘賞の読み方は「かんとうしょう」です。小学館の「デジタル大辞泉」では、敢闘を「勇敢に戦うこと」と説明しています。敢闘賞は、その言葉の意味を競技や大会の表彰に反映させたものです。
一般的には、最後まであきらめずに戦った選手、格上の相手に善戦した選手、チームの勝利や試合の盛り上がりに大きく貢献した選手などが評価対象になります。ただし、単に努力したことだけで受賞できるとは限りません。公式大会では、競技成績や試合内容など、主催者が定める評価方法に沿って選考されます。
敢闘賞の由来は「勇敢に戦う姿勢」「敢闘」は、困難や強敵にひる最初に、積極的に戦うことを意味します。そのため、敢闘賞は優勝や最多得点といった結果だけでなく、そこに至るまでの戦いぶりを称える表彰として理解できます。
ただし、敢闘賞という名称の起源を、あらゆる競技に共通する一つの制度に結び付けることはできません。競技団体や大会ごとに制度が設けられており、歴史や選考方法も異なります。
代表例が大相撲です。日本相撲協会の公式解説によると、殊勲賞・敢闘賞・技能賞からなる「三賞」は、1947年(昭和22年)の秋場所から始まりました。当初の選考基準は現在と完全に同じではなく、翌1948年の夏場所から殊勲賞と敢闘賞の役割が現在につながる形で整理されていきました。
敢闘賞に選ばれる選手の特徴敢闘賞では、次のような活躍が評価につながる場合があります。ただし、以下は一般的な評価の例であり、すべての大会に共通する公式条件ではありません。
- 不利な状況でも最後まで粘り、試合の流れを変えた。
- 強豪や優勝候補を相手に、予想を上回る活躍を見せた。
- 得点や勝利だけでなく、守備、走力、献身的なプレーなどでチームに貢献した。
- 大会を通じて安定したパフォーマンスを発揮した。
- 優勝には届かなかったものの、競技内容や存在感が際立っていた。
重要なのは、敢闘賞が必ずしも「負けた選手を慰める賞」ではないことです。勝利した選手が受賞する場合もあり、優勝者以外の選手に限られるかどうかも大会によって異なります。
【選考基準】敢闘賞の受賞条件と仕組みを解説
敢闘賞の受賞条件を調べる際に、まず押さえたいのは、競技を問わず適用される統一ルールは存在しないという点です。勝利数や順位などの数値基準が設けられる大会もあれば、選考委員による試合内容の評価が重視される大会もあります。
一般的な選考で重視されるポイント大会の公式規定に個別の条件がない場合、敢闘賞という名称から想定される評価の軸は、戦いぶり、競技成績、チームへの貢献度などです。具体的な数字だけでなく、どのような相手に対して、どのような状況で活躍したかも評価を左右します。
例えば、同じ10勝を挙げた選手でも、優勝争いを最後まで盛り上げた選手と、序盤に好成績を残した後に失速した選手では、評価が異なる可能性があります。反対に、成績が突出していなくても、勝負どころでの活躍が高く評価される大会もあります。
大相撲では勝ち越しと選考委員会の判断が重要大相撲の三賞は、原則として関脇以下の幕内力士を対象とし、勝ち越しが受賞の前提となります。15日制の本場所なら、通常は8勝以上が勝ち越しです。
三賞の役割はそれぞれ異なります。横綱や大関を破るなど、優勝争いに影響する活躍は殊勲賞の評価につながり、技術面で際立った相撲を見せた力士には技能賞が検討されます。一方、敢闘賞は、旺盛な敢闘精神を発揮し、本場所を盛り上げる活躍をした力士が対象です。
ただし、勝ち越せば自動的に受賞できるわけではありません。成績が優秀でも該当者なしとなる場合があり、千秋楽の勝利などを条件に受賞が決まるケースもあります。受賞条件が付く場合には、選考結果の発表時点で確定しているのか、最終日の取組結果を待つ必要があるのかを確認することが大切です。
選考基準を確認するときのチェック項目- 対象範囲:大会出場者全員なのか、特定のリーグや階級に限られるのか。
- 成績条件:勝ち越し、一定の順位、出場試合数などの条件があるか。
- 選考主体:主催団体、選考委員会、監督、記者など、誰が決めるのか。
- 評価対象:個人成績、チームへの貢献、試合内容、競技姿勢のどこを重視するのか。
- 受賞の確定時期:大会途中で発表されるのか、最終戦の結果を受けて決定するのか。
「敢闘賞」という名称だけで受賞条件を判断するのは早計です。正式な大会規定や主催団体の発表を確認することで、表彰の意味を正確に理解できます。
【徹底比較】敢闘賞とMVP・殊勲賞・優秀選手賞の違い
敢闘賞と混同されやすいのが、MVP、殊勲賞、優秀選手賞です。いずれも優れた選手を称える賞ですが、評価の中心や制度上の位置付けは異なります。
| 賞の名称 | 主な評価対象 | 敢闘賞との違い |
|---|---|---|
| 敢闘賞 | 粘り強い戦いぶり、奮闘、競技への貢献 | 勝敗や順位だけでなく、試合内容や戦う姿勢も評価される。 |
| MVP・最優秀選手賞 | 大会やシーズン全体への価値、勝利への影響 | 総合的な貢献度を評価する賞。必ずしも敢闘賞と同じ観点ではない。 |
| 殊勲賞 | 特に価値の高い勝利や優勝争いへの影響 | 大相撲では横綱・大関を破るなどの活躍が評価の中心となる。 |
| 技能賞 | 技術や戦術の優秀さ | 大相撲の三賞では、戦いぶり全般を評価する敢闘賞とは評価軸が異なる。 |
| 優秀選手賞 | 大会で優れた成績や貢献を示した選手 | 大会ごとに定義が異なる。日本シリーズではMVP以外の活躍選手も対象になる。 |
MVPは「Most Valuable Player」の略で、日本語では最優秀選手を意味します。試合や大会、シーズン全体を通じて、最も価値のある活躍をした選手を選ぶ表彰です。
敢闘賞は、競技や大会によって基準が異なるものの、特に粘り強さや勇敢な戦いぶりに焦点を当てます。MVPが総合的な貢献度を重視するのに対し、敢闘賞は奮闘そのものが評価の柱になりやすい点が違いです。
もっとも、両者の評価対象は完全に分離しているわけではありません。試合で圧倒的な活躍を見せた選手が、MVPと敢闘賞の両方の候補になることも考えられます。併設される賞かどうか、同一人物の複数受賞が可能かどうかは、大会の規定によります。
敢闘賞と殊勲賞の違い大相撲での違いは明確です。殊勲賞は、横綱や大関を破るなど、特に価値の高い勝利を挙げた力士が主な対象です。敢闘賞は、旺盛な闘志を示し、好成績を残して本場所を盛り上げた力士が評価されます。
例えば、横綱を倒して優勝争いを大きく動かした力士は殊勲賞の候補になりやすく、連日力強い相撲を取り、終盤まで優勝争いに加わった力士は敢闘賞の候補になり得ます。ただし、実際の受賞は成績や選考委員会の判断によって決まります。
敢闘賞と優秀選手賞の違い優秀選手賞は、競技や大会によって意味が変わる名称です。プロ野球の日本シリーズでは、最高殊勲選手賞のほかに優秀選手賞が設けられており、優れた活躍を見せた選手が複数選ばれます。
一方、敢闘選手賞は、戦いぶりや奮闘を評価する表彰です。日本シリーズでは、2026年の公式賞金一覧に敢闘選手賞と優秀選手賞がそれぞれ記載されています。両賞の賞金額は同じでも、名称が異なる以上、同じ賞として扱うことはできません。
【競技別】大相撲・プロ野球・ラグビーの敢闘賞を比較
敢闘賞の仕組みを理解するうえでは、実際の競技でどのように使われているかを見るのが効果的です。特に大相撲とプロ野球では公式な表彰制度があり、ラグビーでは大会ごとの表彰方法を確認する必要があります。
大相撲:三賞の一つとして本場所の活躍を評価大相撲の敢闘賞は、殊勲賞・技能賞と並ぶ三賞の一つです。優勝力士以外にも光を当て、本場所を盛り上げた力士の活躍を評価する役割があります。
2026年9月場所では、関脇の藤ノ川が11勝4敗で敢闘賞を受賞し、前頭三枚目の美ノ海も10勝5敗で受賞しました。日本相撲協会の公式記録では、同場所の殊勲賞と技能賞は該当者なしとなっています。
この事例から分かるのは、三賞が必ずしも一人ずつ選ばれる制度ではないということです。敢闘賞のように複数の力士が受賞する場合もあれば、特定の賞に該当者がいない場所もあります。
プロ野球:日本シリーズとオールスターで賞金が異なるプロ野球では、NPB(日本野球機構)が主催する大会の表彰として「敢闘選手賞」が設けられています。代表的なのが日本シリーズとマイナビオールスターゲームです。
日本シリーズでは、優勝チームの最高殊勲選手賞に加え、敢闘選手賞や優秀選手賞が設けられています。敢闘選手賞は、敗れたチームから選ばれるケースが多いことで知られていますが、賞の具体的な選考は大会全体の活躍を踏まえて行われます。
2026年の日本シリーズの公式賞金一覧では、敢闘選手賞と優秀選手賞の賞金はいずれも200万円です。10月28日時点では日本シリーズが開催中で、最終的な受賞者はまだ確定していません。
一方、2026年のマイナビオールスターゲームでは、敢闘選手賞の賞金は100万円と発表されました。第1戦では平良海馬、西川史礁、佐藤輝明、第2戦では岡本駿、大城卓三、柳田悠岐が受賞しています。
このように、同じNPBの表彰でも、大会が違えば賞金額や選考の文脈が変わります。敢闘賞の金額を調べる際には、「プロ野球の敢闘賞」という大きな括りだけでなく、日本シリーズなのか、オールスターなのかを確認することが欠かせません。
ラグビー:大会独自の表彰規定を確認するラグビーでも、粘り強いプレーやチームへの貢献は重要な評価対象ですが、すべての大会で共通する「敢闘賞」が設けられているわけではありません。
例えば、ジャパンラグビー リーグワンが公表した「リーグワン ライジング2025」の大会概要では、試合で最も活躍した選手を選ぶ「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」が表彰されます。同大会では、両クラブのゲームキャプテンが相手チームからそれぞれ1人を選出する方式が示されていました。
このように、ラグビーでは「敢闘賞」という名称が使われているかどうかだけでなく、実際の表彰規定を確認することが大切です。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、その試合で最も活躍した選手を評価する制度であり、名称だけを根拠に敢闘賞と同一視することはできません。
【2026年最新】敢闘賞の賞金はいくら?大相撲の制度変更にも注目
敢闘賞の賞金は、競技や大会によって異なります。賞状やトロフィーなどが中心の表彰もあれば、公式に賞金額が定められている大会もあります。そのため、「敢闘賞なら必ず何万円もらえる」と一律に説明することはできません。
2026年時点の賞金額と2027年の改定予定2026年10月28日時点で確認できる主な賞金額を整理すると、次のとおりです。
- 大相撲の三賞:2026年中は敢闘賞を含め各200万円。
- 日本シリーズの敢闘選手賞:2026年の公式賞金一覧では200万円。
- マイナビオールスターゲームの敢闘選手賞:2026年の公式開催要項では100万円。
- その他の競技・大会:主催団体の規定によって異なり、賞金が設定されていない場合もある。
大相撲では、2026年7月30日に日本相撲協会が賞金の改定を発表しました。2027年初場所から、殊勲賞・敢闘賞・技能賞の三賞は、従来の各200万円から各300万円に増額される予定です。
これは三賞の賞金が100万円増える改定です。幕内優勝賞金も1000万円から2000万円に引き上げられることになり、優勝賞金と三賞賞金の改定は1994年以来となります。
つまり、2026年中の受賞額と2027年初場所以降の受賞額を混同しないことが重要です。大相撲の敢闘賞について最新情報を調べる場合は、受賞した場所の開催年だけでなく、賞金改定の適用時期も確認する必要があります。
敢闘賞の賞金は誰が支払うのか賞金の支給元も、大会によって異なります。NPBの公式資料では、日本シリーズの賞金品は日本野球機構やNPBパートナーなどの提供内容に分けて掲載されています。オールスターゲームでも、NPBによる公式表彰と協賛企業による特別表彰が区別されています。
したがって、賞金額だけでなく、主催者からの賞金なのか、協賛企業による賞金なのかを確認すると、制度の仕組みをより正確に把握できます。賞金が設定されていることと、すべての大会で同額が支払われることは別の話です。
【歴代受賞者】2026年の事例から見える敢闘賞の価値
敢闘賞の歴史を知るには、制度が始まった時期と、現在の選考例を併せて見ることが有効です。大相撲の三賞は1947年秋場所に始まりました。日本相撲協会の公式解説では、第1回の敢闘賞受賞者として小結の輝昇が紹介されています。強豪を相手に白星を重ねた力士を評価する仕組みが、長い歴史の中で受け継がれてきました。
2026年9月場所:藤ノ川と美ノ海が受賞2026年9月場所の敢闘賞受賞者は、藤ノ川と美ノ海です。藤ノ川は11勝4敗、美ノ海は10勝5敗という成績を残しました。
この結果は、敢闘賞が一人だけに与えられる賞ではないことを示しています。また、幕内優勝を果たした力士以外にも、場所全体を通じて活躍した力士を評価する制度として機能しています。
2026年オールスターゲーム:複数選手の活躍を評価プロ野球のマイナビオールスターゲーム2026では、第1戦と第2戦のそれぞれで敢闘選手賞が設けられました。第1戦では平良海馬、西川史礁、佐藤輝明、第2戦では岡本駿、大城卓三、柳田悠岐が受賞しています。
同大会では、最優秀選手賞も別に選出されています。第1戦のMVPは万波中正、第2戦のMVPは細川成也でした。これは、同じ試合でも、最も価値のある活躍をした選手と、敢闘選手賞として評価される選手が分けて表彰されることを示す事例です。
歴代受賞者を調べる際の注意点敢闘賞は競技ごとに別の制度として運用されているため、歴代受賞者を調べるときは競技名と大会名をセットで確認する必要があります。大相撲なら日本相撲協会の「過去の成績・番付・三賞力士」、プロ野球ならNPBの年度別表彰記録が主な確認先です。
また、同じ「敢闘賞」という名称でも、「敢闘選手賞」のように正式名称が異なる場合があります。受賞者の記録を比較するときは、賞の名称、対象大会、開催年、賞金額を分けて整理すると、異なる制度を混同せずに済みます。
【プロの結論】敢闘賞の価値は、優勝者に次ぐ順位を示すことではなく、競技や大会が定めた評価基準に照らして、際立った戦いぶりや貢献を認められた点にあります。受賞者を正しく評価するには、勝敗や数字だけで判断せず、どの大会の、どのような基準に基づく表彰なのかを確認することが大切です。
【敢闘賞とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:敢闘賞は優勝できなかった選手がもらう賞ですか?
A1:必ずしもそうではありません。優勝者以外の選手を評価する大会もありますが、受賞対象は競技や大会の規定によって異なります。大相撲では、優勝力士以外にも本場所で活躍した力士を評価する三賞の一つとして位置付けられています。
Q2:敢闘賞を受賞すると賞金はいくらもらえますか?
A2:一律ではありません。2026年の大相撲の三賞は各200万円、日本シリーズの敢闘選手賞は200万円、マイナビオールスターゲームの敢闘選手賞は100万円です。大相撲の三賞は2027年初場所から各300万円に増額される予定です。
Q3:敢闘賞とMVPはどちらが上の賞ですか?
A3:全競技に共通する上下関係はありません。MVPは大会やシーズン全体での価値や貢献度を総合的に評価する賞で、敢闘賞は奮闘や戦いぶりに重点を置く賞です。両方が設けられている大会では、それぞれの選考基準に沿って別々に受賞者が決まります。
敢闘賞とは、試合や大会で勇敢に戦い、粘り強い活躍や優れた貢献を示した選手などに贈られる賞です。ただし、すべての競技で同じ選考基準や賞金額が使われているわけではありません。
大相撲では、敢闘賞は殊勲賞・技能賞と並ぶ三賞の一つです。2026年9月場所では藤ノ川と美ノ海が受賞し、2027年初場所からは三賞の賞金が各300万円に増額される予定です。プロ野球では日本シリーズやオールスターゲームで敢闘選手賞が設けられ、賞金額も大会によって異なります。ラグビーなどの競技では、大会独自の表彰規定を確認することが欠かせません。
敢闘賞の受賞条件や歴代受賞者を調べるときは、まず競技名と大会名を特定し、公式発表で選考基準、受賞者、賞金額を確認しましょう。MVPや殊勲賞、優秀選手賞との違いを理解すれば、表彰結果が示す選手の価値や活躍を、より正確に読み取れるようになります。