井岡一翔(いおか・かずと)は、ミニマム級からスーパーフライ級まで世界4階級を制覇した、日本男子ボクシング界を代表する元世界王者だ。2026年10月現在、プロ通算成績は38戦32勝(17KO)5敗1分。2026年5月には井上拓真とのWBC世界バンタム級タイトルマッチに敗れたものの、10月22日に現役続行を正式表明し、12月31日の再起戦に臨む予定となっている。日本男子初の世界5階級制覇を目指す37歳の挑戦は、キャリアの新たな転換点を迎えている。共同通信や日刊スポーツなどの報道、ボクシングの試合記録を基に、現在の戦績と王座獲得の歴史を整理する。
井岡一翔のキャリアを理解するには、単純な勝敗だけでなく、WBA・WBC・WBOの各王座を獲得した時期、階級を上げた理由、2017年のフライ級王座返上と一度の引退、そして2018年の復帰を押さえる必要がある。歴代王座と主要な対戦相手を時系列で振り返ると、4階級制覇を実現した実力と、現在も世界の頂点を目指す理由が見えてくる。
【2026年最新】井岡一翔の通算成績とプロフィール

井岡一翔は1989年3月24日生まれ、大阪府堺市出身。興國高校を卒業後、東京農業大学に進学したが中退し、2009年4月12日にプロデビューした。現在の所属は志成ボクシングジムで、右構えのボクサーファイターとして知られる。SANKYOの選手紹介やボクシング専門の戦績データでも、2026年5月の試合までの成績は38戦32勝(17KO)5敗1分と記録されている。
- 名前:井岡一翔(いおか・かずと)
- 生年月日:1989年3月24日
- 出身地:大阪府堺市
- 年齢:37歳(2026年10月28日時点)
- 所属ジム:志成ボクシングジム
- プロ通算成績:38戦32勝(17KO)5敗1分
- 主な実績:日本男子初の世界4階級制覇
- 現在の目標:世界5階級制覇
勝率は引き分けを除く37試合を分母にすると約86.5%、全38戦に占めるKO勝利の割合は約44.7%となる。ただし、こうした数字だけでは井岡の評価は決まらない。世界王座を懸けた試合で強豪と長いラウンドを戦い、階級を上げながら実績を積み重ねてきた点も重要だ。
2026年5月2日の井上拓真戦では、WBC世界バンタム級王座に挑戦したが、12回判定0対3で敗れた。判定は118対108、119対107、120対106。試合では2度のダウンを喫し、右眼窩底骨折の手術を受けたことも報じられている。10月の会見では、スパーリングを再開できるまで回復したと説明した。
【歴代王座一覧】ミニマム級からスーパーフライ級まで4階級を制覇
井岡一翔の大きな特徴は、4つの階級で世界王座を獲得したことにある。最初の世界タイトルは2011年のWBC世界ミニマム級王座。翌2012年には八重樫東との統一戦を制してWBA・WBC世界ミニマム級統一王者となり、その後ライトフライ級、フライ級へと階級を上げた。2019年にはスーパーフライ級でWBO王座を獲得し、日本男子初の世界4階級制覇を達成した。
| 階級・タイトル | 獲得時期 | 獲得の主な経緯 |
|---|---|---|
| 日本ライトフライ級 | 2010年10月 | 瀬川正義に10回TKO勝ち。プロ初タイトルを獲得。 |
| WBC世界ミニマム級 | 2011年2月 | オーレドン・シッサマーチャイに5回TKO勝ち。プロ7戦目で世界王者となった。 |
| WBA・WBC世界ミニマム級統一 | 2012年6月 | WBA王者の八重樫東に判定勝ち。日本人初の同階級2団体統一を実現。 |
| WBA世界ライトフライ級 | 2012年12月 | ホセ・アルフレド・ロドリゲスに6回TKO勝ち。2階級制覇。 |
| WBA世界フライ級 | 2015年4月 | フアン・カルロス・レベコに判定勝ち。3階級制覇を達成。 |
| WBO世界スーパーフライ級 | 2019年6月 | アストン・パリクテに10回TKO勝ち。日本男子初の4階級制覇。 |
| WBA世界スーパーフライ級 | 2023年6月 | ジョシュア・フランコに判定勝ち。WBA王座を獲得。 |
上記は主な王座獲得の記録であり、同じ階級で複数団体のベルトを獲得した場合も含む。世界タイトルの獲得回数と、制覇した階級の数は別の指標だ。井岡はミニマム級でWBA・WBCを統一し、スーパーフライ級ではWBO王座とWBA王座をそれぞれ獲得したことで、4階級制覇を達成した。
WBA・WBC・WBOの戦績をどう見るべきかWBCでは2011年に世界ミニマム級王座を獲得し、八重樫東との統一戦を経て防衛を重ねた。一方、WBAではミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級の各王座を獲得している。WBOでは2019年にスーパーフライ級王座を手にし、田中恒成やフランシスコ・ロドリゲスJr.らを相手に防衛を重ねた。各団体の王座は獲得時期も防衛回数も異なるため、単純にベルトの数だけでキャリアを比較するのは適切ではない。
なお、2026年5月の井上拓真戦はWBC世界バンタム級王座への挑戦だった。敗れたため、バンタム級での世界王座獲得はまだ実現していない。世界5階級制覇は、今後の再起戦以降に懸かる目標だ。
【対戦相手一覧】八重樫東、田中恒成、フランコらとの主な戦い
井岡一翔の対戦相手を振り返ると、キャリアの節目ごとに実力者との試合が組まれてきたことがわかる。初期には世界王座への道を切り開き、フライ級では防衛戦を重ね、スーパーフライ級では国内外の強豪とのタイトルマッチを経験した。以下は、全38戦の記録から主要な試合を時系列で抜き出した一覧だ。
- 2011年2月11日:オーレドン・シッサマーチャイに5回TKO勝ち。WBC世界ミニマム級王座を獲得。
- 2012年6月20日:八重樫東に判定勝ち。WBA・WBC世界ミニマム級統一王者となる。
- 2012年12月31日:ホセ・アルフレド・ロドリゲスに6回TKO勝ち。ライトフライ級王座を獲得。
- 2014年5月7日:アムナット・ルエンロエンに判定負け。IBF世界フライ級王座への挑戦に失敗。
- 2015年4月22日:フアン・カルロス・レベコに判定勝ち。WBA世界フライ級王座を獲得。
- 2017年4月23日:ノックノイ・シットプラサートに判定勝ち。WBA世界フライ級王座の5度目の防衛に成功。
- 2018年9月:マックウィリアムズ・アローヨに判定勝ち。現役復帰後の試合を白星で飾る。
- 2018年12月31日:ドニー・ニエテスに判定負け。4階級制覇への最初の挑戦は実らなかった。
- 2019年6月19日:アストン・パリクテに10回TKO勝ち。WBO世界スーパーフライ級王座を獲得。
- 2020年12月31日:田中恒成に8回TKO勝ち。WBO王座の防衛に成功。
- 2021年9月1日:フランシスコ・ロドリゲスJr.に判定勝ち。WBO王座を防衛。
- 2022年7月13日:ドニー・ニエテスに判定勝ち。WBO王座の防衛に成功。
- 2022年12月31日:ジョシュア・フランコとのWBA・WBO王座統一戦は引き分け。
- 2023年6月24日:ジョシュア・フランコに判定勝ち。WBA世界スーパーフライ級王座を獲得。
- 2023年12月31日:ホスベル・ペレスに7回KO勝ち。WBA王座の初防衛に成功。
- 2024年7月7日:フェルナンド・マルティネスに判定負け。WBA王座を失い、IBF王座獲得にも届かなかった。
- 2025年5月11日:マルティネスとの再戦にも判定負け。王座奪還はならなかった。
- 2025年12月31日:マイケル・オルドスゴイティに4回KO勝ち。WBA世界バンタム級挑戦者決定戦を制した。
- 2026年5月2日:井上拓真に判定負け。WBC世界バンタム級王座獲得と5階級制覇は持ち越しとなった。
この一覧で特に注目したいのは、田中恒成戦、フランコとの2度の対戦、マルティネスとの連戦だ。田中戦では強打を生かしたTKO勝ちを収めた一方、フランコ戦では引き分けの後に再戦で勝利し、WBA王座を獲得した。マルティネス戦では2度敗れており、同じ階級のトップ選手を相手に王座を取り戻す難しさも表れている。
なお、2017年に対戦が計画されたアルテム・ダラキアンは、実際の対戦相手として戦績に加わっていない。ダラキアンとの試合は、井岡がWBA世界フライ級王座を返上したため実現しなかった。
【2017年の王座返上】引退表明から現役復帰までの経緯
井岡一翔のキャリアで大きな転換点となったのが、2017年11月のWBA世界フライ級王座返上だ。当時、井岡は同王座を5度防衛しており、次の防衛戦では同級1位のアルテム・ダラキアンと対戦する計画があった。試合は同年12月31日に予定されていたが、11月9日、父で所属ジム会長の井岡一法氏が大阪市内で会見し、王座返上を発表した。
当時の報道によると、一法会長は、結婚後に井岡の練習が継続的にできておらず、指名試合に向けた準備が間に合わないことを説明した。対戦相手を待たせるわけにもいかないため、いったん王座を返上する判断に至ったという。会見には井岡本人は出席しておらず、今後の現役続行についても、本人のモチベーション次第だとする会長の発言が伝えられた。
ここで重要なのは、井岡がダラキアンに敗れて王座を失ったわけではない点だ。試合そのものが行われる前に、コンディション調整を理由としてタイトルを返上したのである。したがって、2017年の出来事を「世界戦で敗北したための失冠」と理解するのは誤りだ。
その後、井岡は2017年12月31日に現役引退を表明した。しかし、キャリアはそこで終わらなかった。2018年7月に現役復帰を決意し、スーパーフライ級で再出発する方針を示した。同年9月の復帰戦ではアローヨに判定勝ちを収め、同年末にはドニー・ニエテスとのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に臨んだ。最初の4階級制覇挑戦は敗北に終わったものの、2019年6月のパリクテ戦で再挑戦を成功させた。
この経緯は、井岡のキャリアが単純な連勝記録だけで語れないことを示している。王座返上と引退を経験した後、階級を変え、再び世界王座を目指したことが、最終的に4階級制覇へとつながった。
【井岡一翔の現在】2024年以降の苦戦と2026年の再起プラン
スーパーフライ級でWBA王座を獲得した井岡は、2023年12月にホスベル・ペレスをKOで下し、初防衛に成功した。しかし、2024年7月のフェルナンド・マルティネス戦では判定負けを喫し、WBA王座から陥落。2025年5月の再戦でも判定で敗れ、王座奪還はならなかった。
2025年12月31日にはバンタム級へ階級を上げ、マイケル・オルドスゴイティとのWBA世界バンタム級挑戦者決定戦で4回KO勝ちを収めた。この勝利によって再び世界王座を目指す足掛かりをつかみ、2026年5月にはWBC世界バンタム級王者の井上拓真に挑戦した。ただし、2度のダウンを奪われた末に判定で敗れ、日本男子初の5階級制覇は実現しなかった。
試合後には右眼窩底骨折が判明し、手術を受けた。2026年10月22日の会見で井岡は現役続行を正式表明し、12月31日の再起戦に臨む予定を明らかにした。報道によれば、8月にジムワークを再開し、会見時点ではスパーリングも再開できる状態まで回復していたという。次戦の対戦相手は、10月28日時点でまだ発表されていない。
井岡は再びバンタム級で戦い、世界5階級制覇を目指す意向を示している。37歳という年齢に加え、直近では世界王者との試合で敗北を経験しているため、今後は再起戦の結果だけでなく、試合内容、コンディション、世界王座挑戦につながる勝ち方が焦点となる。
【プロの結論】井岡一翔の戦績を評価する3つの視点
井岡一翔の戦績を正しく理解するには、勝敗の合計だけでなく、次の3つの視点から記録を読む必要がある。
- 1. 階級を上げながら世界王座を獲得した実績:ミニマム級からスーパーフライ級まで、4階級で世界王座を獲得したことは、長期にわたって世界レベルの競争力を維持した証しだ。単にタイトル数を数えるより、どの階級で誰を破ったのかを見るとキャリアの価値がわかる。
- 2. 王者同士の対戦で何を残したか:八重樫東との統一戦、田中恒成との日本人対決、ジョシュア・フランコとの再戦など、相手の実力が高い試合は評価の重要な材料となる。防衛回数だけでなく、試合の内容や再戦での結果も見逃せない。
- 3. 返上・引退・復帰を区別する:2017年の王座返上は試合での敗北によるものではなく、調整不足を理由に指名試合を断念したことが発端だった。その後、引退表明を経て復帰し、2019年に4階級制覇を実現している。この経緯を含めて初めて、キャリア全体の流れを把握できる。
現在の井岡を評価するうえでは、過去の栄光だけを根拠に今後の勝利を予測するのも、直近の敗戦だけで実績を否定するのも適切ではない。過去のタイトル獲得はすでに確立された記録であり、これからの評価は再起戦の結果と、世界王座へ再び届く実力を示せるかによって決まる。
【井岡一翔戦績】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:井岡一翔の通算成績は何勝何敗ですか?
A1:2026年5月2日の井上拓真戦終了時点で、プロ通算38戦32勝(17KO)5敗1分です。2026年10月に現役続行を表明していますが、次の試合はまだ行われていないため、この通算成績が最新の試合記録となります。
Q2:井岡一翔は何階級制覇していますか?
A2:世界4階級制覇です。WBC世界ミニマム級、WBA世界ライトフライ級、WBA世界フライ級、WBO世界スーパーフライ級などで王座を獲得し、2023年にはWBA世界スーパーフライ級王座も手にしました。2026年に挑戦したバンタム級王座は獲得できておらず、5階級制覇は今後の目標です。
Q3:井岡一翔が2017年にフライ級王座を返上した理由は何ですか?
A3:父で所属ジム会長の井岡一法氏は、練習を継続的に行えておらず、アルテム・ダラキアンとの指名試合に向けた準備が間に合わないことを理由に挙げました。井岡はその後、同年末に引退を表明しましたが、2018年に現役復帰しています。
Q4:井岡一翔は2026年に引退しましたか?
A4:いいえ。2026年5月の井上拓真戦で敗れた後も現役続行の意向を持ち、同年10月22日に正式表明しました。12月31日に再起戦を予定しており、対戦相手は10月28日時点で未発表です。
Q5:井岡一翔とアルテム・ダラキアンは対戦しましたか?
A5:対戦していません。2017年末に6度目の防衛戦として計画されていましたが、井岡が調整不足を理由にWBA世界フライ級王座を返上したため、試合は実現しませんでした。
井岡一翔のプロ通算成績は38戦32勝(17KO)5敗1分。ミニマム級からスーパーフライ級まで世界4階級を制覇し、WBA・WBC・WBOの各王座を舞台に長年トップレベルで戦ってきた。2017年のフライ級王座返上と引退表明、2018年の復帰、2019年の4階級制覇達成は、キャリアを理解するうえで欠かせない節目だ。
2026年は井上拓真との世界戦に敗れたものの、10月22日に現役続行を表明し、12月31日の再起戦を予定している。今後の注目点は、バンタム級で再び世界王座への道を切り開けるか、そして日本男子初の5階級制覇を実現できるかという2点に集約される。これまでの実績と直近の結果を分けて捉え、次戦の内容を見極めることが、井岡一翔の現在地を評価する最も確かな基準となる。