2026年4月29日、東京・有明アリーナで開催された「ONE SAMURAI 1」のメインイベントで、武尊がロッタン・ジットムアンノンとの再戦に臨み、5ラウンド2分22秒、TKO勝利を収めた。2025年3月の初戦でわずか80秒のKO負けを喫した武尊は、1年余りの時を経て雪辱を果たし、悲願だったONEフライ級キックボクシング暫定世界王座を獲得した。
しかし、この勝利は単なるリベンジ成功ではなかった。武尊にとって現役最後の試合であり、試合後には引退の背景に首のヘルニアがあったことも明らかになった。2026年10月現在、武尊は引退後の活動を続ける一方、ロッタンとの2試合はキックボクシング史に残る対決として注目されている。ONE Championshipの公式試合結果や武尊の公式発信、引退会見を報じた国内メディアの情報を基に、再戦の全貌と現在の活動を整理する。
【再戦結果】ロッタン対武尊は5R TKOで決着!暫定世界王座を獲得

2026年4月29日の「ONE SAMURAI 1」は、ONE Championshipが日本で展開する大会シリーズの第1回大会として開催された。会場は東京・有明アリーナ。メインイベントでは、武尊とタイの強豪ロッタン・ジットムアンノンが、フライ級キックボクシングの暫定世界王座を懸けて激突した。
試合は5ラウンド2分22秒、武尊のTKO勝利。レフェリーストップによって決着し、武尊はONEの暫定世界王者となった。ONE公式の試合結果でも、武尊がロッタンをTKOで下したことが記録されている。
注目すべきなのは、武尊が勝ったという結果だけではない。初戦ではロッタンの左フックを受け、わずか80秒でKO負けを喫した。今回は同じ相手の強打を警戒しながら対応し、2ラウンドにダウンを奪うと、最終ラウンドには連打で試合を終わらせた。敗戦の原因を振り返り、相手の戦い方を研究して臨んだことが、再戦での大きな変化となった。
なお、獲得したのは「フライ級キックボクシング暫定世界王座」である。ムエタイの王座とは競技ルールが異なり、ONEのフライ級ムエタイ世界王座を獲得したわけではない。この区別は、ロッタンの過去の王座実績と今回の結果を比較する際にも重要だ。
加えて、この試合は武尊の引退試合でもあった。世界王座の獲得と現役生活の終幕が同じ夜に訪れたことで、再戦は単なる勝敗を超えた意味を持つことになった。
【試合の流れ】2Rの2度のダウンから最終ラウンドのTKOまで
ONE Championshipの公式試合レポートによると、再戦は序盤から激しい打ち合いとなった。初戦で武尊を倒した左フックを武器とするロッタンに対し、武尊はブロックや蹴りによる反撃を織り交ぜ、相手の攻撃を受け止めながら距離をつかんでいった。
1ラウンド:初戦の再現を許さなかった武尊ロッタンは開始直後から前進し、初戦で決定打となった左フックを狙った。武尊はその攻撃を警戒し、ガードやカウンターで応戦。初戦のように早い段階で試合を終わらせられることなく、最初のラウンドを戦い抜いた。
2ラウンド:左フックでロッタンから2度のダウンを奪う試合が大きく動いたのは2ラウンドだった。武尊は左フックを2度決め、ロッタンからそれぞれダウンを奪った。ロッタンはいずれもカウントに応じて立ち上がり、試合を続行したが、武尊が主導権を握る展開となった。
初戦では自分が左フックで倒された武尊が、今度は同じパンチを有効打として使った点は、再戦を象徴する場面だった。
3ラウンド:ロッタンが圧力を強めて反撃ロッタンは3ラウンドに立て直し、前蹴りをボディーに当てながらパンチを繰り出した。武尊も攻撃を受けながら応戦し、簡単には後退しない。序盤にダウンを奪われたロッタンが、持ち味である前進圧力を取り戻したラウンドだった。
4ラウンド:両者が譲らない打ち合い4ラウンドは互いに強打を交わす激しい展開となった。ロッタンが攻勢を強め、武尊が苦しい場面を迎える一方、ラウンド終盤には武尊も鋭い攻撃を返した。どちらか一方が安全に逃げ切れるような試合ではなく、最後まで勝負の行方が分からない緊張感が続いた。
5ラウンド:連打でロッタンを追い込み、レフェリーストップ最終ラウンド、武尊は右のパンチでロッタンの体勢を崩し、左フックや再度の右パンチにつなげた。ロッタンはダウン後に立ち上がったものの、最後の右パンチで大きくダメージを受け、ロープにもたれかかる状態となった。
武尊は攻撃を続け、レフェリーが試合を止めた。結果は5ラウンド2分22秒のTKO。ONE公式レポートでは、武尊が2ラウンドに2度、最終ラウンドにもダウンを奪う展開が記されている。武尊は最終戦で世界王座を獲得し、現役生活に幕を下ろした。
【初戦の経緯】ONE 172の80秒KOから再戦実現までの時系列
武尊とロッタンの対戦は、長年ファンが実現を待ち望んできたカードだった。日本を代表するキックボクサーの武尊と、前進を恐れない攻撃的なスタイルで知られるロッタンは、互いに対戦への意欲を示してきた。
ONE Championshipの大会情報によると、このカードは2024年初頭に予定されていたものの、負傷の影響で延期された。その後、2025年3月23日の「ONE 172」で初対戦が実現したが、武尊は1ラウンド1分20秒、ロッタンの左フックによってKO負けを喫した。
敗戦後も武尊は競技を続け、2025年11月16日の「ONE 173」ではデニス・ピューリックに2ラウンド2分49秒TKO勝利を収めた。この試合後、武尊は次の試合を現役最後の一戦にすると表明。最後の相手としてロッタンとの再戦を望み、両者の対戦が再び動き出した。
2026年2月には、4月29日の「ONE SAMURAI 1」でロッタンとの再戦を行うことが正式に発表された。試合にはフライ級キックボクシング暫定世界王座が懸けられ、武尊は引退試合で初戦の雪辱とONEのベルト獲得を目指すことになった。
そして4月29日、武尊は5ラウンドTKO勝利。初戦の敗北から1年余りを経て、直接対決の戦績を1勝1敗とした。
【対戦成績比較】ロッタンと武尊の勝敗・試合内容・主な転機
ロッタンと武尊の直接対決は、2026年10月現在、2試合で1勝1敗となっている。どちらもキックボクシングルールで行われ、初戦はロッタンが短時間で勝利し、再戦では武尊が終盤のTKOで勝利した。
2試合の違いを整理すると、初戦ではロッタンが得意の左フックを早い段階で当てたのに対し、再戦では武尊が攻撃を警戒しながら試合を組み立て、2ラウンドにダウンを奪った。最終ラウンドまで試合が続いたこと自体、再戦で武尊が対応を変えたことを示している。
| 時期・大会 | 勝者・結果 | 試合のポイント |
|---|---|---|
| 2024年初頭に予定 | 延期 | 負傷の影響で対戦が先送りとなった。 |
| 2025年3月23日 ONE 172 |
ロッタンが1R1分20秒KO勝利 | 左フックで武尊を倒し、初戦を制した。 |
| 2025年11月16日 ONE 173 |
武尊がデニス・ピューリックに2R2分49秒TKO勝利 | 勝利後、次戦を現役最後の試合にすると表明。 |
| 2026年2月 | 再戦が正式決定 | 4月29日のONE SAMURAI 1で暫定世界王座を懸けて対戦することが発表された。 |
| 2026年4月29日 ONE SAMURAI 1 |
武尊が5R2分22秒TKO勝利 | ロッタンから複数回のダウンを奪い、暫定世界王座を獲得。 |
| 2026年5月1日 | 武尊が引退会見 | 初戦後に発症した首のヘルニアと、しびれや筋力低下について説明。 |
| 2026年10月17日 | ONE SAMURAI 4で引退セレモニー | ONEの殿堂入りと引退を記念するセレモニーが行われた。 |
なお、ロッタン・ジットムアンノンの通算戦績を調べる際には、ムエタイとキックボクシングの試合を混同しないことが大切だ。ONEでの戦績、ムエタイを含む全キャリアの戦績、特定のルールに限った成績は、それぞれ集計範囲が異なる。今回の2試合については、ONEの公式大会記録に基づき、キックボクシングでの直接対決が1勝1敗と整理できる。
【引退理由の真相】武尊が明かした首のヘルニアと身体の変化
武尊は2026年5月1日、都内で開いた引退記者会見で、引退を決断した背景に首のヘルニアがあったことを明かした。日刊スポーツやスポニチアネックスなどの報道によると、症状が出始めたのは2025年3月のロッタンとの初戦後だったという。
武尊は会見で、首のヘルニアを発症した後、しびれが出たり、片側の筋力が落ちたりする症状があったと説明した。ただし、初戦のKO負けが直接の原因だったと医学的に断定したわけではなく、本人は試合後の時期から症状が現れたと振り返っている。
長年、激しい打ち合いを持ち味としてきた武尊にとって、身体への不安は競技人生を左右する問題だった。これまでは多少のダメージを受けても構わないという気持ちで戦い、練習でも無理をすることがあったという。しかし、身体の限界を意識するようになり、以前と同じ感覚で戦えなくなったことを語っている。
一方、引退を決めた理由は、負傷だけに限られない。2025年11月の引退表明時、武尊は衰えを理由にしたのではなく、過去最強の自分を作れる最後の時期だと考え、最後の一戦に向けて準備したいという趣旨の説明をしていた。首のヘルニアについては、引退後の会見で具体的に公表された身体的な背景である。
つまり、武尊の引退は初戦の敗北だけで決まったものではない。長年の競技生活で蓄積した身体への負担、自分の限界に対する認識、最後に納得できる試合をしたいという意志が重なり、現役生活を終える決断につながった。
再戦前の武尊は何を変えたのかONE Championshipの試合後レポートによると、武尊は初戦の経験を踏まえ、ロッタンの戦い方を研究して再戦に臨んだと語っている。ロッタンの攻撃は一見すると勢い任せに見えても、実際には熟練した動きがあると認識し、強打を受けることも想定して準備したという。
武尊は試合後、34歳まで戦い続けられたことや、最後の試合をONEの舞台で迎えられたことへの感謝を表明した。また、試合前にはKO負けや意識を失うことへの恐怖があったと明かし、試合後には無事に戻ってこられたことへの安堵も語った。
こうしたコメントから見えるのは、恐怖がなくなったから勝てたのではなく、自分の弱さや身体の状態を認識したうえで戦い方を変えたということだ。再戦での勝利は、精神力だけに頼るのではなく、相手の研究と準備を重ねた結果として捉えられる。
【2026年最新】武尊の現在の活動とロッタンの今後
2026年10月現在、武尊は4月29日のロッタン戦を最後に現役を引退している。引退後も格闘技との関わりを続けており、武尊の公式サイトでは、メディア出演やイベント、次世代支援に関する活動が紹介されている。
具体的には、2026年9月に「DREAM UP! PROJECT」の第2回イベントを開催。公式発信では、同プロジェクトに関連してミャンマーで学校が完成し、武尊が現地を訪問したことも報告された。また、9月28日にはYouTube企画「ONE SAMURAI TALK #3」への出演情報が掲載されている。
10月17日には「ONE SAMURAI 4」で引退セレモニーが行われ、ONEの殿堂入りも実施された。ONE Championshipは5月の時点で、武尊の殿堂入りと10月の引退セレモニーを発表しており、現役時代の実績を称える節目となった。
今後については、競技者としての活動と、格闘技を支える立場での活動を分けて考える必要がある。武尊の引退は現役選手としての区切りであり、格闘技界から完全に離れることを意味するわけではない。イベント出演や情報発信、次世代の選手を支援する活動など、競技経験を生かす道は残されている。
ロッタンの戦績と再戦の可能性は?ロッタンはONEの元フライ級ムエタイ世界王者で、前進しながら強打を繰り出すスタイルで知られる。ONEの公式プロフィールでは、ムエタイの世界王座を長期間保持した実績が紹介されている。ただし、2026年4月の武尊戦はムエタイではなくキックボクシングの試合であり、競技別の実績を区別して見る必要がある。
武尊との直接対決では、初戦をKOで制したロッタンが再戦でTKO負けを喫し、1勝1敗となった。両者の試合はそれぞれ異なる形で決着しており、初戦の短時間KOだけで実力差を断定することも、再戦の結果だけで過去の勝敗を無意味とすることも適切ではない。
武尊は引退を表明しており、2026年10月28日時点で現役復帰やロッタンとの3度目の対戦が正式に発表された事実は確認できない。引退後に復帰の可能性を示唆する発言が紹介されたことはあるが、それだけで復帰が決まったとはいえない。今後の動向を判断するには、本人の公式発信とONE Championshipの大会発表を確認する必要がある。
【プロの結論】ロッタン対武尊の再戦が示した本当の意味
今回の再戦を評価するうえで、最も重要なのは勝敗の変化だけではない。初戦で80秒KO負けを喫した武尊は、敗戦を経験した後も競技を続け、相手のスタイルを研究し、最後の試合で5ラウンドTKO勝利を収めた。結果として、ONEの暫定世界王座を獲得し、現役生活を勝利で締めくくった。
一方、ロッタンも初戦で武尊を倒した実力者であり、再戦では2ラウンドに2度のダウンを奪われながら試合を続けた。両者の対戦は、1試合の結果だけで選手の実力やキャリア全体を評価することの難しさを示している。
引退理由についても、単純に「KO負けしたから引退した」と理解するのは正確ではない。武尊は初戦後に首のヘルニアの症状が出たことを明かす一方、引退表明時には最後の一戦で自分の力を出し切るという目標を語っていた。身体の変化と、自分の競技人生をどこで終えるかという判断が重なった結果だ。
また、今回の勝利は暫定世界王座の獲得であり、ムエタイの世界王座やキックボクシングの無差別な最強を証明したという意味ではない。試合の評価は、競技ルール、階級、タイトルの種類、決着方法を踏まえて行う必要がある。これはロッタンの戦績を調べる場合にも同じだ。
武尊の再戦は、敗北から学び、限界を受け止めながら最後の目標に挑む過程を示した。引退後も格闘技を支える活動が続くなかで、今後はリング上の勝敗だけでなく、次世代の選手や競技の発展にどのような影響を与えるかが注目される。
【ロッタン武尊】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ロッタンと武尊の再戦結果はどうなりましたか?
A1:2026年4月29日の「ONE SAMURAI 1」で武尊が5ラウンド2分22秒、TKO勝利を収めました。ONEフライ級キックボクシング暫定世界王座を獲得し、初戦の敗北から雪辱を果たしました。
Q2:ロッタンは武尊に初戦で何秒KO勝ちしましたか?
A2:2025年3月23日の「ONE 172」で、ロッタンは1ラウンド1分20秒に左フックで武尊をKOしました。再戦では武尊がTKO勝利を収めたため、直接対決は1勝1敗です。
Q3:武尊が引退した本当の理由は何ですか?
A3:武尊は2026年5月1日の引退会見で、初戦後に首のヘルニアを発症し、しびれや片側の筋力低下があったと説明しました。2025年11月の引退表明では、衰えというより、過去最強の自分を作れる最後の時期だと判断した趣旨を語っており、身体の問題と競技人生の区切りが背景にあります。
Q4:武尊は2026年現在、何をしていますか?
A4:現役を引退した後も、メディア出演やイベント、次世代支援などの活動を続けています。公式サイトでは「DREAM UP! PROJECT」やYouTube企画への出演などが紹介され、2026年10月にはONEの殿堂入りと引退セレモニーも実施されました。
Q5:武尊とロッタンの3度目の対戦は決まっていますか?
A5:2026年10月28日時点で、3度目の対戦や武尊の現役復帰が正式に発表された事実は確認できません。今後の試合については、本人やONE Championshipの公式発表を確認するのが確実です。
ロッタンと武尊の再戦は、2026年4月29日の「ONE SAMURAI 1」で武尊が5ラウンド2分22秒TKO勝利を収め、暫定世界王座を獲得する結末となった。2025年の初戦ではロッタンが80秒でKO勝利しており、2試合の直接対決は1勝1敗。両者の勝敗は、初戦と再戦で明確に入れ替わった。
武尊は引退会見で首のヘルニアや身体の変化を明かし、現役生活に区切りをつけた。2026年10月現在は引退後の活動を続け、ONEの殿堂入りと引退セレモニーも実現している。現役復帰や3度目の対戦については、正式な発表がない限り確定情報として扱うべきではない。
ロッタン対武尊の物語は、単純な勝ち負けだけでは語り切れない。初戦の衝撃的なKO、再戦に向けた準備、暫定世界王座の獲得、そして引退という決断までを時系列で追うことで、両者が残した試合の意味がより明確になる。今後は武尊の引退後の活動と、ロッタンが競技の第一線でどのような戦いを見せるかに注目したい。