独特の間合いと予測できないボケで漫才界に強烈な印象を残したお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」。2014年の「THE MANZAI」で決勝に進出し、2015年には「M-1グランプリ」決勝で8位に入った実力派です。ボケ担当の平井“ファラオ”光と、ネタ作りを主に担う新道竜巳という、個性の異なる2人が生み出すシュールな漫才で知られています。
2026年10月現在、注目したいのは2人のプロフィールや芸風だけではありません。2025年9月にはサンミュージックプロダクションからの退所とフリー転身を発表し、今後の活動形態にも変化が生まれました。松本人志の著書『遺書』が芸人を志すきっかけになった背景、結成までの経緯、所属事務所の変遷、現在の活動について、公式大会記録や本人の発信、報道をもとに整理します。
【プロフィール】馬鹿よ貴方はのメンバーと結成の経緯

馬鹿よ貴方はは、平井“ファラオ”光と新道竜巳によるお笑いコンビです。M-1グランプリ公式サイトのコンビ情報では、結成年は2008年3月1日とされています。
2人は、どちらも従来の王道漫才とは少し異なる個性を持っています。淡々と奇妙な発想を展開するファラオと、その言動を受け止めながらツッコミを入れる新道。役割の違いが、コンビ独自の空気感につながっています。
平井“ファラオ”光のプロフィール平井“ファラオ”光は、1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。コンビではボケを担当し、長身と独特の風貌、感情を大きく表に出さない話し方が印象的です。
ファラオという芸名からも連想されるように、一般的な芸人のイメージとは異なる存在感が持ち味です。歌や音楽にも関心があり、バンドのボーカル経験も紹介されています。こうした音楽的なバックグラウンドは、後述する芸人を志した経緯とも関係しています。
本名については、芸歴情報サイトなどで「宇井光」と紹介されています。一方、M-1グランプリ公式サイトをはじめとする大会プロフィールでは「平井“ファラオ”光」名義が使用されています。芸名と本名を区別して調べる際には、この表記の違いを押さえておくとよいでしょう。
新道竜巳のプロフィール新道竜巳は1977年4月15日生まれのお笑い芸人です。コンビではツッコミを担当し、ネタ作りを主に担っています。女性芸人の分析やお笑い全般の研究でも知られ、単に相方のボケに反応するだけではなく、笑いが成立する構造を考えるタイプの芸人です。
お笑い専門の音声・動画コンテンツ「新道竜巳のごみラジオ」など、漫才以外の発信にも取り組んできました。コンビとしての舞台活動と、個人でのお笑い研究・情報発信を並行している点も特徴です。
2人はどのようにしてコンビを結成したのか2015年の下北沢経済新聞のインタビューによると、2人はそれぞれピンで活動していた時期にライブで知り合いました。新道がファラオに声をかけたことが、コンビ結成につながったとされています。
コンビ名が決まった経緯にも、2人らしい独特のエピソードがあります。カラオケ店で芸名やコンビ名を考えていた際、画面に流れる曲名をきっかけに「馬鹿よ貴方は」という名前が候補に浮上しました。ただし、2015年のインタビューでは、どちらが最初に決めようと言い出したかについて2人の記憶が食い違っています。
結成当初から、2人が常に一緒に行動するタイプだったわけではありません。新道がネタを考え、ファラオの個性を生かす形で舞台を作るという、それぞれの役割を尊重する関係性が特徴でした。
【芸人を志した理由】松本人志の『遺書』がファラオに与えた影響
平井“ファラオ”光が芸人を志すきっかけとして知られるのが、ダウンタウンの松本人志による著書『遺書』です。1994年に刊行された同書を読んだ経験について、ファラオ本人は2017年のGQ JAPANのインタビューで語っています。
ファラオは子どもの頃からダウンタウンが好きだったものの、当初から芸人になることを決めていたわけではありません。中学時代は吹奏楽部で活動し、高校卒業後は音楽の道に進むことも考えていました。高校時代からボーカルのレッスンも受けていたとされています。
転機になったのは、『遺書』に触れ、自分のように内向的な人間にも独自の面白さがあり得ると感じたことでした。本人のインタビューによると、クラスでほとんど話さないような自分自身に対し、松本の考え方が肯定してくれるように感じられたといいます。
ここで重要なのは、単に有名芸人に憧れたという話ではないことです。ファラオは、周囲の中心にいる社交的な人物だけが面白いのではなく、内向的な人間にも独自の視点や世界観があるという考え方に可能性を見いだしました。
その発想は、現在知られるファラオの芸風にも通じます。大きな声や派手なリアクションで笑いを取るのではなく、淡々とした口調で常識からずれた発想を提示する。本人の持ち味を無理に一般的な芸人像へ近づけず、個性そのものを笑いに変えるスタイルです。
一方、新道は異なる方向からコンビを支えています。相方の個性を理解し、その発言がどのように笑いにつながるのかを考えながらネタを組み立てる役割です。ファラオの独特な感性と、新道のお笑いを分析する姿勢が組み合わさることで、馬鹿よ貴方はならではの漫才が形作られています。
【芸風とネタ】なぜ馬鹿よ貴方はの漫才は好みが分かれるのか
馬鹿よ貴方はの芸風を端的に表すなら、シュールさと独特の間合いです。ファラオが淡々とした口調で突飛な発想を展開し、新道がツッコミを入れることで、通常の漫才では予想しにくい方向へ会話が進んでいきます。
2015年のデイリースポーツの記事では、コンビの特徴として、脱力感のある間合い、ぼそぼそとした口調、無表情でシュールなネタを展開するスタイルが取り上げられました。テンポの速さや連続するボケで押し切る漫才とは異なり、観客が発想のずれを理解するまでの時間も笑いの一部になっています。
ネタ作りを担う新道と、独特の世界観を持つファラオ日刊ゲンダイの2016年の人物紹介では、新道はお笑いの定番や既存の笑いの構造を踏まえながら、新しい切り口を考える研究熱心な芸人として紹介されました。相方のクセの強いキャラクターをどう生かすかにこだわっている点も指摘されています。
ネタ作りを主に新道が担当する一方、ファラオがすべてを受け身で演じるわけではありません。ネタの選択にはファラオの意見も反映され、本人の感覚に合わないものが採用されない場合もあると紹介されています。個性的なボケを生かすためには、台本だけでなく演じ手の感覚も欠かせないということです。
代表的なネタと独特の笑いの仕組みよく知られるネタの一つが、俳優の要潤を題材にしたものです。ファラオが要潤に関する言葉を脈絡なく繰り返し、話題を独特の方向へ転がしていきます。デイリースポーツの記事でも、2015年当時の代表的なネタとして紹介されました。
このタイプの漫才では、一般的な意味での合理的な会話や、誰もが共感できる日常の失敗談が中心になるわけではありません。話の筋が少しずつ常識から離れていくこと、そしてファラオがそれをあたかも普通のことのように話すことが、笑いを生みます。
そのため、評判は一様ではありません。テンポの速い漫才や分かりやすいオチを好む人にとっては、間が長く感じられたり、笑いどころをつかみにくかったりする可能性があります。一方で、既存の漫才とは異なる発想や、言葉の選び方そのものを楽しみたい人には、強く印象に残るスタイルです。
馬鹿よ貴方はの評価を考える際には、単純に「面白いか、面白くないか」で判断するよりも、どのような笑いを狙っているのかを理解が必要です。シュールな発想、間の取り方、ボケの独自性を評価軸にすると、コンビの個性が見えやすくなります。
【大会実績】THE MANZAI 2014とM-1グランプリ2015の決勝進出
馬鹿よ貴方はが広く知られるようになった大きな節目は、2014年と2015年の大型漫才大会です。2014年には「日清食品 THE MANZAI 2014」の決勝に進出。翌2015年には「M-1グランプリ」の決勝へ進み、全国の視聴者に独自の芸風を披露しました。
吉本興業のニュースセンターが2014年11月に公表したTHE MANZAIの決勝進出者情報では、馬鹿よ貴方はがファイナリストとして掲載されています。当時はオフィス北野所属で、同大会の認定漫才師による本戦サーキットでも上位の成績を残していました。
加えて、M-1グランプリ2015の公式記録によると、決勝での総合得点は791点、最終順位は8位でした。優勝には届かなかったものの、決勝の舞台で独自の漫才を披露した実績は、コンビのキャリアを語るうえで欠かせません。
| 時期・項目 | 出来事・プロフィール | 意味・実績 |
|---|---|---|
| 2008年3月1日 | 馬鹿よ貴方は結成 | 新道竜巳と平井“ファラオ”光によるコンビとして活動開始 |
| 2014年 | THE MANZAI 2014 | 決勝進出。独特のシュールな漫才が注目を集める |
| 2015年 | M-1グランプリ2015 | 決勝で791点を獲得し、8位 |
| 2018年6月 | サンミュージックへ移籍 | オフィス北野を離れ、新たな所属先で活動 |
| 2025年9月 | サンミュージックを退所 | 解散ではなく、フリーで活動を続ける方針を発表 |
2015年のM-1では、馬鹿よ貴方はのほか、メイプル超合金、和牛、ジャルジャル、銀シャリなどが決勝に進出しました。M-1公式サイトの記録では、馬鹿よ貴方はは決勝9組中8位に位置しています。
この大会実績を振り返る際に大切なのは、決勝進出と優勝を区別することです。馬鹿よ貴方ははTHE MANZAIとM-1の両方で決勝進出を果たしましたが、両大会で優勝したわけではありません。それでも、独特の芸風を持つコンビが全国規模の大会で結果を残したことは、実力と知名度を示す重要な記録です。
【所属事務所の変遷】オフィス北野からサンミュージック、そしてフリーへ
馬鹿よ貴方はのキャリアを整理するうえでは、所属事務所の変化も重要です。コンビはコレクション・エンターテインメントなどを経てオフィス北野に所属し、2018年6月にサンミュージックプロダクションへ移籍しました。その後、2025年9月に同事務所からの退所を発表しています。
2018年の移籍と、その後の活動オフィス北野からサンミュージックへの移籍は2018年6月です。日刊ゲンダイなどの当時の報道でも、オフィス北野から退所する芸人やタレントが相次ぐなかで、馬鹿よ貴方はの移籍が取り上げられました。
事務所の移籍は、芸人としての活動終了を意味するものではありません。テレビ番組への出演、ライブ、個人での仕事など、芸人の活動は複数の経路で成り立っています。所属先が変わることは、仕事の窓口やマネジメント体制が変化することでもあります。
2025年9月、サンミュージック退所を発表2025年9月1日、2人はそれぞれのSNSを通じてサンミュージックプロダクションからの退所を発表しました。スポニチや日刊スポーツの報道によると、両者は今後フリーとして活動する方針を示しています。
新道は退所を報告するなかで、コンビを解散するわけではないと説明しました。これまで支えてくれた事務所への感謝を示しながら、引き続き芸人として活動する意向を伝えています。平井“ファラオ”光も退所を報告し、関係者への感謝を表明しました。
したがって、「馬鹿よ貴方はは解散したのか」という疑問に対しては、退所発表時点で解散は否定されていた、というのが正確な説明です。事務所を離れることと、コンビを解散することは別の問題です。
フリー転身後の仕事の窓口平井は2025年9月の本人発信で、個人の事務所「幽秋庵(ゆうしゅうあん)」として自身に関する仕事を引き受ける形を案内しました。コンビとしての仕事と、個人としての仕事をどのように受けていくかについて、窓口を整理した形です。
新道についても、退所後はフリーとして活動を継続する意向が報じられています。2人が同じ芸能事務所に所属し、同じマネジメント体制で活動する形から、それぞれの仕事の窓口を持ちながらコンビ活動も続ける形へと変化した点が特徴です。
フリー転身後の活動を確認する際には、事務所の所属欄だけで判断せず、本人の発信や仕事の依頼窓口、ライブ・配信などの活動情報を合わせて見る必要があります。2026年10月時点で押さえておきたい大きな節目は、2025年9月の退所発表と、その際に示された活動継続の方針です。
【2026年現在の活動と評判】コンビとしての継続と個人活動をどう見るか
2026年現在の馬鹿よ貴方はを理解するには、テレビ出演の多さだけで芸人としての活動を判断しないことが大切です。コンビとしての漫才に加えて、個人の発信やライブ、音声・動画コンテンツなども、活動を続けるための手段になります。
新道は「新道竜巳のごみラジオ」などを通じて、お笑い芸人や大会、ネタに関する情報発信を行ってきました。Radiotalk公式の2022年のインタビューでは、リスナーからのお便りに答える音声配信のスタイルが紹介されています。こうした活動は、テレビ番組への出演とは異なる形で、芸人としての視点や個性を届ける場になっています。
ファラオも、個人の仕事の窓口として「幽秋庵」を案内しています。コンビとしての活動だけに依存せず、それぞれの関心や持ち味を生かした仕事を受けられる体制を整えたことが、フリー転身後の特徴です。
馬鹿よ貴方はの評判はなぜ分かれるのか馬鹿よ貴方はの評価には、シュールな漫才に対する好みが大きく影響します。日刊ゲンダイの2016年の記事では、2人の個性を「つかもうとしてもつかみきれない」タイプのコンビとして評しています。また、デイリースポーツも2015年に、独自の存在感を発揮するニッチな立ち位置に注目していました。
これらは、すべての視聴者が同じ評価をしているという意味ではありません。むしろ、従来型の漫才とは異なる作り方をしているため、好みが分かれやすいことを示しています。
馬鹿よ貴方はの魅力を判断する際は、次の3点に注目すると理解しやすくなります。
- 発想の独自性:ファラオの言葉や行動が、どれだけ予想外の方向へ展開するか。
- 間合いと表現:淡々とした口調や長めの間が、ネタの面白さにどう結びついているか。
- ツッコミと構成:新道がボケをどう受け止め、観客に伝わる笑いへ組み立てているか。
この3点からネタを見ると、単に変わったことを言う漫才ではなく、演者の個性とネタの構造を組み合わせた芸風であることが分かります。大会の順位だけでは測りきれない部分も、馬鹿よ貴方はを評価するうえでは重要です。
【馬鹿よ貴方は】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:馬鹿よ貴方はは2026年現在、解散していますか?
2025年9月の退所発表時に、新道竜巳は「解散はしません」と説明しています。事務所を退所してフリーになることと、コンビを解散することは別です。退所発表時点では、コンビとしての活動を続ける方針が示されました。
Q2:馬鹿よ貴方はのファラオの本名は何ですか?
平井“ファラオ”光は、芸歴情報サイトなどで本名を宇井光と紹介されています。一方、M-1グランプリ公式サイトなどでは、芸名の「平井“ファラオ”光」が使用されています。
Q3:馬鹿よ貴方ははM-1グランプリ2015で何位でしたか?
M-1グランプリ公式記録では、2015年の決勝で791点を獲得し、8位でした。前年のTHE MANZAI 2014でも決勝に進出しており、2年連続で大型漫才大会の決勝に進んだことが代表的な実績です。
Q4:ファラオが芸人を目指したきっかけは何ですか?
ダウンタウンの松本人志が1994年に刊行した著書『遺書』を読んだことがきっかけの一つです。内向的な性格にも独自の面白さがあり得るという考え方に触れ、自分もお笑いに向いているかもしれないと感じたことを、本人がインタビューで語っています。
Q5:馬鹿よ貴方はは現在どこの芸能事務所に所属していますか?
2025年9月にサンミュージックプロダクションを退所し、フリーで活動する方針を発表しました。平井“ファラオ”光は個人の仕事の窓口として「幽秋庵」を案内しています。現在の仕事の依頼先や出演情報を調べる際は、本人の最新の発信を確認するのが確実です。
馬鹿よ貴方はは、平井“ファラオ”光のシュールなボケと、新道竜巳の分析的なネタ作り・ツッコミが組み合わさったお笑いコンビです。2008年の結成後、THE MANZAI 2014とM-1グランプリ2015の決勝に進出し、独特の芸風で漫才界に存在感を示しました。
ファラオが松本人志の『遺書』から影響を受けたという経緯は、コンビの芸風を理解するうえでも興味深いポイントです。社交性や派手なリアクションだけに頼らず、自分の内向的な性格や独自の感性を笑いに変える道を見いだしたことが、現在の表現につながっています。
そして、2025年9月のサンミュージック退所は、コンビの解散ではなく、活動の体制を変える節目でした。2026年の馬鹿よ貴方はを追うなら、過去の大会実績に加え、2人それぞれの発信や仕事の窓口、コンビとしての出演情報を確認が必要です。テレビ露出だけでは見えにくい個人活動も含めて見ることで、このコンビの現在地をより立体的に理解できます。