韓国は日本にとって敵なのか、それとも味方なのか。歴史問題や竹島問題をめぐる対立、韓国国内の反日感情を見れば、両国の関係を楽観視できないのは確かだ。一方、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応、日米韓の安全保障協力、半導体などの供給網、エネルギーの安定確保では、日本と韓国が協力する必要性が高まっている。
2026年には、高市早苗首相と李在明(イ・ジェミョン)大統領が1月13日に日本で、5月19日には韓国の安東(アンドン)で首脳会談を行った。加えて、重要鉱物の供給網強化や原油・液化天然ガス(LNG)の相互融通に向けた協議も進んでいる。その一方で、旧朝鮮半島出身労働者問題では同年8月に韓国大法院の判決が確定し、10月にも日本企業への賠償を命じる韓国の裁判所の判断が出た。協力の進展と対立の継続が同時に起きているのが、2026年の日韓関係の実態だ。
【2026年最新】韓国は敵か味方か?日韓首脳会談が示した現実

2026年の日韓関係を判断するうえで、最も重要なのは首脳会談の内容だ。外務省の公式発表によると、1月13日、高市首相と李大統領は約90分間の会談を行い、日韓関係の戦略的重要性や日韓・日米韓の安全保障協力、経済安全保障、北朝鮮への対応について意見を交わした。
続く5月19日には、高市首相が韓国の安東を訪問し、李大統領と約100分間の会談を実施した。両首脳は日韓関係の良好な基調を維持・強化する方針を確認し、初めて次官級で開催された日韓安全保障対話を歓迎。日米同盟と米韓同盟の戦略的連携を通じて、地域の抑止力と対処力を維持・強化する必要性でも一致した。
注目すべきは、両国が単に関係改善を掲げただけではないことだ。5月の会談では、重要鉱物の供給網、原油・石油製品、LNGの相互融通、エネルギー供給の強靱化について具体的な協力を進めることで合意した。経済や安全保障に関する課題を、首脳間の対話から担当省庁の実務へとつなげている。
ただし、首脳会談の開催は、歴史問題や領土問題が解決したことを意味しない。外交関係の改善と個別問題の解決は別の課題だ。日本にとって現実的なのは、韓国を無条件に信頼することでも、対立だけを理由に協力を拒むことでもない。分野ごとに利害とリスクを見極める姿勢である。
【安全保障】日米韓の協力はどこまで進んでいるのか?GSOMIAと北朝鮮問題
日本が韓国との協力を必要とする最大の理由の一つが、北朝鮮の核・ミサイル開発だ。日本と韓国は地理的に近く、北朝鮮の軍事活動に関する情報を迅速に把握する必要がある。米国を含めた三か国の連携は、情報収集や政策調整、抑止力の強化に直結する。
2026年6月12日には、東京で日米韓の北朝鮮担当当局者による協議が開催された。外務省の発表によると、三か国は北朝鮮の核・ミサイル開発への深刻な懸念を共有し、完全な非核化に向けた連携を確認した。また、北朝鮮とロシアの軍事協力や、核・ミサイル開発の資金源となる暗号資産窃取などのサイバー活動についても協力して対処する方針を示した。
この連携を支える制度の一つが、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)だ。2016年11月に締結された同協定は、両国が秘密軍事情報を安全に交換・保護するための枠組みであり、日韓が相互防衛条約を結んだことを意味するものではない。
GSOMIAは2019年、韓国政府が日本の輸出管理の運用見直しと関連づけて終了を通告したことで、政治的対立の影響を受けた。その後、同年11月に終了通告の効力が停止され、2023年3月には韓国政府が終了通告を撤回した。安全保障上必要な情報共有であっても、二国間の政治関係が悪化すれば制度の安定運用が揺らぎ得ることを示した経緯だ。
ここで押さえたいのは、日米韓の協力と日韓の二国間関係を混同しないことだ。日本と韓国は、それぞれ米国と同盟関係にある。三か国の安全保障協力は進んでいるが、日本と韓国の間に米国とのような相互防衛条約があるわけではない。協力が進む分野と、制度上の限界を区別する必要がある。
【経済・エネルギー】日韓協力の実態と2026年の重要な動き
経済面でも、日本と韓国は競争相手であると同時に、互いの強みを必要とする関係にある。日本には素材・製造装置・化学分野などの技術基盤があり、韓国には半導体や電子機器などの分野で競争力を持つ企業がある。企業間の競争は続くが、国境を越えた供給網が寸断されれば、双方の産業が影響を受ける。
経済産業省の発表によると、2026年3月14日、日本と韓国は「サプライチェーン・パートナーシップ・アレンジメント(SCPA)」を締結した。重要鉱物などの資源を含む供給網の強靱化や、供給途絶時の対応、国際貿易上の課題に関する連携を進めるための枠組みだ。同年9月2日には、両国の担当省庁が東京で初の実施会合を開き、重要鉱物の調達先の多様化や安定供給について協議した。
エネルギー分野では、原油や石油製品の相互融通、調達・輸送面の協力、LNGの運用最適化などが議題になっている。経済産業省と韓国の担当省庁は、両国がともに原油輸入国であることや、LNG輸入量が世界上位であることを踏まえ、危機時の供給確保を目指している。2026年3月14日には、JERAと韓国ガス公社(KOGAS)がLNG運用の最適化に関する覚書を締結した。
5月19日の首脳会談では、こうした協力をさらに進め、インド太平洋地域の備蓄強化も含めたエネルギー供給の強靱化と、原油・石油製品・LNGの相互融通を柱とする協力を立ち上げることで一致した。中東情勢などによって資源の輸送や供給が不安定になった場合、両国が連携できる余地は大きい。
主要な経緯を整理すると、協力と対立が同時に存在する構造が見えてくる。
| 時期 | 出来事 | 日韓関係への意味 |
|---|---|---|
| 1965年 | 日韓国交正常化 | 国交と経済関係の基盤を形成 |
| 2016年11月 | GSOMIA締結 | 軍事機密情報を保護・共有する枠組みを整備 |
| 2018年 | 韓国大法院が日本企業に賠償を命じる判決を確定 | 歴史問題が外交・経済関係の大きな争点に |
| 2023年3月 | 韓国政府が第三者弁済方式を発表、GSOMIA終了通告を撤回 | 関係改善が進む一方、歴史問題は未解決のまま |
| 2026年1月13日 | 高市首相と李大統領が首脳会談 | 安全保障、経済安全保障、供給網で協力を確認 |
| 2026年3月14日 | SCPA締結、JERAとKOGASがLNG関連の覚書を締結 | 資源・重要鉱物の供給網協力を具体化 |
| 2026年5月19日 | 安東で首脳会談 | エネルギー安全保障と日米韓連携を強化 |
| 2026年9月2日 | SCPAの初の実施会合 | 重要鉱物などの安定供給に向けた実務協議が進展 |
| 2026年10月20日 | 韓国の控訴審が三菱マテリアルに賠償を命令 | 歴史問題をめぐる司法上の対立が継続 |
この経緯から分かるのは、経済協力が進んだからといって、政治的な対立が自動的に解消されるわけではないということだ。重要なのは、協力の合意が実際の供給契約、危機対応の手順、情報共有の仕組みへと落とし込まれるかどうかである。
【歴史問題】韓国の反日感情はなぜ続くのか?徴用工問題の経緯と現状
韓国の反日感情を理解するには、日本による朝鮮半島の植民地支配が1910年から1945年まで続いた歴史を外せない。植民地支配の記憶は、被害を受けた人々や家族の経験、教育、政治的な議論などを通じて、現在まで社会に影響を及ぼしている。
その一方で、日韓の国交正常化は1965年に実現した。日本政府は、国交正常化時の請求権協定などを通じて、両国間の財産・請求権問題は解決済みとの立場を取っている。これに対し、韓国の司法では、個人が日本企業に損害賠償を求める権利は消滅していないとの判断が示されてきた。この法的な見解の違いが、徴用工問題を長期化させている。
2018年には韓国大法院が日本企業に損害賠償を命じる判決を確定させた。これを受け、韓国政府は2023年3月6日、韓国の財団が原告に判決金や遅延利息を支給する方式を発表した。日本政府は、関係改善に向けた措置として評価した。ただし、原告全員がこの方式を受け入れたわけではなく、日本企業への賠償責任をめぐる司法判断も続いた。
2026年に入っても問題は収束していない。外務省の外交青書2026によると、2025年11月時点で韓国の財団から支払いを受けた元労働者は26人だった。一方、2026年8月12日には韓国大法院が日本製鉄に対する訴訟で損害賠償の支払いなどを命じる判決を確定させ、日本政府は韓国側に申し入れを行った。
加えて、10月20日にはソウル中央地裁の控訴審が、三菱マテリアルに対して元労働者ら5人に総額9900万ウォンを支払うよう命じた。これは下級審の判断を維持したものだ。日本政府と韓国の司法が異なる法的立場を示し続けている以上、徴用工問題は首脳同士の友好的な会談だけでは解決しない。
歴史問題をめぐる対立が続く理由は、過去の出来事そのものだけではない。請求権協定をどう解釈するか、被害者の救済をどう実現するか、政府間の合意と司法判断をどう調整するかという、法制度と外交の問題が重なっているからだ。相手国の国民全体を一つの思想で説明するより、こうした争点を個別に理解する方が、日韓関係の現実に近づける。
【竹島問題と韓国世論】対立は深いのか?2026年のデータで検証
竹島問題も、日韓関係を左右する大きな争点だ。日本政府は竹島を日本固有の領土とし、韓国による占拠には国際法上の根拠がないとの立場を取る。一方、韓国政府は独島を歴史的・地理的・国際法的に韓国領土の一部とし、領有権問題は存在しないと主張している。両政府の主張は根本的に対立しており、共通の解決方法に合意できていない。
2026年8月には、日本の防衛白書への記載などをめぐって韓国政府が抗議し、日本政府も同月、韓国軍による竹島関連の軍事訓練に抗議した。外務省は8月7日の韓国海洋調査船による調査活動についても発表している。首脳間で協力を進める一方、領土問題では双方の立場が変わっていないことが分かる。
ただし、国家間の対立と国民同士の感情を同一視するのも適切ではない。2026年8月に公表された東アジア研究院(EAI)と国際文化会館による日韓共同世論調査では、韓国で日本に好印象を持つ人の割合は54.3%に達し、調査開始以来の最高値となった。前年から1.9ポイント上昇しており、日本に悪い印象を持つ人も38.5%いた。
同調査では、日本を好意的に見る韓国の回答者のうち66.9%が、日本人の親切さや秩序を重視する姿勢を理由に挙げた。また、韓国の回答者の71.6%が日本を訪れた経験を持っていた。日本側でも韓国に好印象を持つ人は35.3%となり、前年から10.5ポイント上昇した。調査は2026年7月に実施され、日本と韓国それぞれ約1500人が回答している。
この数字は、歴史問題や領土問題が解決したことを示すものではない。しかし、「韓国人は全員が反日」「日本人は全員が嫌韓」といった単純な見方が、実際の世論を正確に反映していないことは示している。旅行、文化、日常的な交流への好意と、歴史認識や領土問題への厳しい姿勢は、同じ社会の中で併存し得る。
【プロの結論】日本にとって韓国は敵か味方か?判断を誤らない3つの基準
2026年の日韓関係を総合すると、韓国を「敵」か「味方」かの二択で評価することには限界がある。安全保障では協力の必要性が高く、経済では相互依存があり、歴史問題と竹島問題では深刻な対立が残る。現実的な判断には、次の3つの基準が欠かせない。
第一に、共通の利益と対立する利益を分けて考えること。 北朝鮮の核・ミサイル問題やエネルギー供給網の強靱化では、日韓の利害が重なる。一方、領土や歴史認識をめぐっては、双方の主張が一致していない。ある分野で協力できることを、すべての問題で意見が一致する証拠として扱うべきではない。
第二に、首脳の発言より制度と実績を見ること。 会談で合意しても、政権交代や国内世論の変化によって政策が揺らぐ可能性はある。GSOMIAの経緯が示すように、政治的な対立が安全保障協力に波及することもある。合意内容が継続的な情報共有、供給契約、危機対応の仕組みに定着しているかが重要だ。
第三に、政府・司法・世論を混同しないこと。 韓国政府が協力を進めても、韓国の裁判所が日本企業に賠償を命じることはあり得る。韓国社会で日本への好感度が上昇しても、竹島問題への政府の立場が変わるとは限らない。国の政策、司法の判断、国民の感情は、それぞれ異なる動きをする。
日本が韓国との関係を判断する際に重視すべきなのは、相手国を感情的に分類することではなく、協力できる領域では具体的な成果を積み上げ、対立する領域では国際法や合意に基づいて交渉を続けることだ。協力と警戒は必ずしも矛盾しない。むしろ、信頼できる制度を整え、対立が協力分野に波及しないよう管理することが、隣国との安定した関係につながる。
【韓国は敵か味方か】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:韓国は日本の敵なのですか?
A1:韓国を日本の敵と一律に位置づけるのは適切ではない。両国は日米韓の安全保障協力や経済・エネルギー分野で連携している一方、徴用工問題や竹島問題では対立している。分野ごとの利害と行動を見て判断する必要がある。
Q2:2026年の日韓首脳会談では何が決まりましたか?
A2:1月13日と5月19日の会談では、日韓関係の維持・強化、日米韓の安全保障協力、北朝鮮への対応、供給網の強靱化などが確認された。5月の会談では、原油・石油製品・LNGの相互融通やエネルギー供給の強靱化についても協力を進めることで一致した。
Q3:GSOMIAは日韓が軍事同盟を結んでいる証拠ですか?
A3:違う。GSOMIAは軍事上の秘密情報を保護・共有するための協定であり、相互防衛を義務づける条約ではない。日韓は米国を含む三か国の安全保障協力を進めているが、日韓間に米国とのような相互防衛条約があるわけではない。
Q4:徴用工問題は2026年に解決しましたか?
A4:解決していない。韓国政府は2023年に財団を通じて判決金などを支給する方式を発表したが、2026年にも日本企業への賠償を命じる司法判断が続いている。日韓両政府の法的立場にも隔たりが残っている。
Q5:韓国人は日本に反感を持っている人が多いのですか?
A5:韓国国内の意見は一様ではない。2026年の共同世論調査では、日本に好印象を持つ韓国の回答者は54.3%だった一方、悪い印象を持つ人も38.5%いた。歴史問題への認識と、旅行や文化、日常生活を通じた日本への評価は分けて考える必要がある。
韓国は、日本にとって安全保障上の重要な協力相手であり、経済・エネルギー分野でも相互に利益を得られる隣国だ。しかし、徴用工問題や竹島問題は未解決であり、外交関係の改善だけで対立がなくなるわけではない。
2026年の高市早苗首相と李在明大統領の首脳会談、日米韓の安全保障協力、供給網やエネルギー分野での合意は、両国が現実的な利益を共有していることを示している。一方、韓国の司法判断や竹島をめぐる対立は、協力関係が政治・歴史問題の影響を受ける可能性を示している。
今後の注目点は、首脳会談の回数や友好的な発言だけではない。GSOMIAを含む安全保障協力が安定して運用されるか、重要鉱物やエネルギーの供給網協力が実際の成果につながるか、徴用工問題や竹島問題で対立を管理する仕組みが維持されるか。この3点が、日韓関係の実質を測る判断材料となる。
「韓国は敵か味方か」という問いへの現実的な答えは、単純な二択ではない。日本にとって韓国は、協力が必要な分野では協力し、対立する問題では冷静に主張を交わし、約束が守られるかを継続的に見極めるべき重要な隣国である。