2026年10月現在、女子800mの日本記録は、久保凛(くぼ・りん)が2025年7月5日の第109回日本陸上競技選手権大会で樹立した1分59秒52です。従来の日本記録を持っていた杉森美保の2分00秒45を更新し、日本女子800mで初めて1分59秒台に突入した久保は、翌2026年の日本選手権でも優勝。大会3連覇を達成しました。
一方、2026年の女子800mでは、塩見綾乃や勝くるみらも好記録を残しています。日本記録の更新だけでなく、歴代上位選手のタイム、2025年の記録誕生の背景、世界記録との差を知ると、日本女子中距離界の現在地がより明確になります。
【2026年最新】女子800mの日本記録は久保凛の1分59秒52

日本陸上競技連盟(日本陸連)が公表する日本記録一覧では、女子800mの日本記録保持者は久保凛、記録は1分59秒52とされています。記録が生まれたのは、2025年7月5日に東京・国立競技場で行われた第109回日本陸上競技選手権大会です。
当時、東大阪大敬愛高校に在籍していた久保は、女子800m決勝で優勝。日本記録に加え、大会記録、U20日本記録、U18日本記録も更新し、連覇を飾りました。高校生による日本記録の更新という点でも、女子中距離界にとって大きな出来事でした。
久保凛の自己ベストは、この日本選手権で記録した1分59秒52です。2026年には所属が積水化学となり、6月13日の第110回日本選手権でも2分01秒54で優勝。3年連続の日本選手権制覇を果たしています。
ここで押さえておきたいのは、日本記録と、その年のシーズンベストは別の指標だという点です。月刊陸上競技の2026年日本最新ランキングでは、10月19日時点の女子800mの今季最高記録は塩見綾乃の2分01秒50。久保の2026年日本選手権での2分01秒54を上回っていますが、日本記録そのものは久保の1分59秒52のままです。
つまり、2026年に久保が日本記録を更新したわけではありません。歴代最高記録を保持しながら、シーズンごとの競争では塩見らが迫る構図になっています。
【女子800m日本記録更新の経緯】杉森美保の記録をどう破ったのか
女子800mの日本記録が更新された経緯をたどるうえで、欠かせないのが杉森美保の2分00秒45です。杉森は2005年6月5日にこの記録をマークし、長年にわたって日本女子800mの頂点に立ち続けました。
その記録が動いたのは、2024年7月15日です。久保凛は長距離強化記録会の女子800mで1分59秒93をマーク。従来記録を0.52秒短縮し、日本女子800mで初めて2分を切る快挙を達成しました。杉森の記録が約19年間保持されていたことを考えると、その更新の意味は小さくありません。
さらに2025年7月5日、久保は日本選手権で自らの日本記録を塗り替えます。1分59秒93から1分59秒52へ、短縮幅は0.41秒。杉森の従来記録から計算すると、最終的な短縮幅は0.93秒に達しました。
日本陸連の大会公式レポートによると、久保は2025年の決勝で序盤から先頭に立ち、2周目にペースを落とさないレースを目指しました。当時はシーズン中に2分を切れていなかったこともあり、連覇へのプレッシャーがかかる一戦でしたが、自己ベスト更新という結果につなげています。
この記録を評価するうえで重要なのは、単に最後のタイムが速かったことだけではありません。800mは前半のスピードと後半の持久力を両立させる必要がある種目です。久保の走りは、先行してレースを組み立てながら、後半も大きく失速せずにまとめた点に特徴があります。
日本陸連が紹介した200mごとの通過タイムは、28秒50、58秒60、1分28秒76、1分59秒52です。最初の400mを58秒60で通過し、後半の400mも60秒92で走り切っています。前後半の差は2秒32。速い入りを生かしつつ、後半の失速を抑えたレースだったことが数字から読み取れます。
【女子800m日本歴代10傑】歴代上位選手の記録を一覧比較
女子800mの日本歴代ランキングを見ると、久保凛が1分59秒52で首位に立ち、杉森美保、北村夢、塩見綾乃が続いています。以下は、月刊陸上競技が掲載する日本歴代ランキングを基にした上位10人の一覧です。記録は各選手の自己ベストに当たる歴代最高記録であり、各年のシーズンベストや日本選手権の優勝タイムとは異なります。
| 順位 | 選手名 | 記録 | 記録年月日 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 久保凛 | 1分59秒52 | 2025年7月5日 |
| 2位 | 杉森美保 | 2分00秒45 | 2005年6月5日 |
| 3位 | 北村夢 | 2分00秒92 | 2017年9月10日 |
| 4位 | 塩見綾乃 | 2分01秒01 | 2025年8月13日 |
| 5位 | 久保瑠里子 | 2分01秒90 | 2011年8月6日 |
| 6位 | 西村美樹 | 2分02秒10 | 2003年6月8日 |
| 7位 | 田中希実 | 2分02秒36 | 2021年9月20日 |
| 8位 | 渡辺愛 | 2分02秒39 | 2024年10月15日 |
| 9位 | 丹野麻美 | 2分02秒64 | 2009年10月4日 |
| 10位 | 川田朱夏 | 2分02秒71 | 2018年5月3日 |
このランキングで目を引くのは、1位の久保が2位の杉森を0.93秒上回っていることです。800mで約1秒の差は小さくありません。加えて、歴代3位の北村夢と4位の塩見綾乃も2分01秒台前半の記録を持ち、上位争いの水準を引き上げています。
特に塩見は、2025年8月13日に2分01秒01を記録し、歴代4位に浮上しました。2026年の日本選手権でも久保に続く2位に入り、同年10月19日時点では今季ベストの2分01秒50をマークしています。久保の日本記録が突出している一方、追う側の選手も着実に力を伸ばしている状況です。
また、田中希実は1500mや5000mなどでも日本トップクラスの実績を持つ選手ですが、800mでも歴代7位の記録を残しています。種目を横断して活躍する選手の存在は、日本女子中距離界の層の厚さを示す材料の一つです。
【日本選手権女子800m】2025年の日本新と2026年の3連覇
日本選手権は、女子800mの国内トップ選手が直接対決する重要な大会です。久保凛は2024年に初優勝を果たし、2025年には日本記録を更新して連覇。2026年も優勝し、3連覇を達成しました。
月刊陸上競技がまとめる日本選手権女子800mの優勝者一覧によると、久保は2024年に2分03秒13、2025年に1分59秒52、2026年に2分01秒54を記録しています。2025年の日本記録と、2026年の大会優勝タイムを混同しないことが、近年の成績を理解するポイントです。
2026年6月13日の第110回日本選手権では、久保が2分01秒54で優勝し、塩見綾乃が2分01秒67で2位、勝くるみが2分03秒77で3位となりました。久保と塩見の差はわずか0.13秒。日本記録保持者が勝利を収めたものの、決勝は接戦でした。
日本陸連の大会後のコメントによると、久保は予選で前半に力みが出たことを踏まえ、決勝では前半と後半のリズムを意識してレースプランを変更したと説明しています。日本記録を持つ選手であっても、毎回同じペース配分で走るわけではありません。大会当日の調子や相手の動きに応じて戦略を調整することが、勝敗を左右します。
一方、2025年の日本選手権では、久保は1分59秒52を記録したものの、世界選手権の参加標準記録1分59秒00には届きませんでした。国内記録を更新することと、国際大会の参加標準記録を突破することは別の目標です。この違いを理解すると、国内での圧倒的な実績と国際舞台で求められる水準を正確に捉えられます。
【女子800m日本記録と世界記録の比較】世界との差は6秒24
女子800mの世界記録は、チェコスロバキアのヤルミラ・クラトフビロバが1983年7月26日に記録した1分53秒28です。World Athleticsの選手プロフィールでも世界記録として掲載されています。
久保凛の日本記録1分59秒52と比較すると、世界記録との差は6秒24です。800mでは数秒の差が順位を大きく左右するため、この差は依然として大きなものです。ただし、国ごとの記録を単純に比較するだけで、選手の実力や将来性のすべてが決まるわけではありません。
参考として、日本陸連の大会資料に記載された女子800mのアジア記録は、中国の劉東(リウ・ドン)が1993年に記録した1分55秒54です。久保の日本記録との差は3秒98となります。日本記録は国内では歴代最高ですが、アジア記録や世界記録と比較すると、国際水準までにはなお距離があることがわかります。
世界記録との比較で注意したいのは、記録の年代と競技環境です。クラトフビロバの世界記録は1983年のもので、長期間更新されていません。日本記録も2005年の杉森美保の記録が2024年まで残っていたように、長距離にわたって維持される場合があります。記録の更新頻度だけでなく、実際のタイムと大会での順位を分けて見る必要があります。
久保が1分59秒52をマークしたことは、日本女子800mが初めて1分台に入ったという歴史的な節目です。今後の焦点は、久保自身がさらに記録を縮められるか、塩見らが2分の壁に迫る走りを見せられるか、そして国内トップ選手が国際大会でどこまで競争力を発揮できるかにあります。
【プロの結論】女子800mの記録を見るときに押さえたい3つの基準
女子800mの記録を正しく理解するには、単に数字の大小だけで選手を評価しないことが大切です。特に、次の3つの基準を押さえると、ニュースやランキングを読み違えにくくなります。
1.日本記録とシーズンベストを区別する
日本記録は、日本女子800mで公認された歴代最高記録です。一方、シーズンベストは、その年に記録した最も速いタイムを指します。2026年は久保が日本記録保持者である一方、10月19日時点の今季最高記録は塩見綾乃の2分01秒50です。シーズン中のランキングが変動しても、日本記録が自動的に更新されるわけではありません。
2.大会優勝と記録更新を分けて考える
決勝で優勝することと、日本記録を更新することは異なります。2026年の日本選手権では、久保が2分01秒54で勝利しましたが、自己ベストの1分59秒52には届いていません。競技会では対戦相手との駆け引きやレース展開が結果に影響するため、優勝タイムだけで選手の能力を判断するのは適切ではありません。
3.歴代ランキングでは記録日と公式資料を確認する
ランキング記事によっては、更新時期の違いから掲載されている記録や順位が異なる場合があります。日本記録の確認には日本陸連の日本記録一覧、選手の自己ベストや主要大会成績の確認には同連盟の選手プロフィール、大会当日の結果には公式リザルトを参照するのが基本です。記録の出典と日付を確認することで、古い順位表を最新情報と誤認するリスクを減らせます。
女子800mは、短距離的なスピードと中距離的な持久力の両方が求められる種目です。日本記録だけでなく、200mごとの通過タイム、前後半の差、自己ベストの推移を合わせて見ることで、選手の走りの特徴や成長をより具体的に把握できます。
【女子800m日本記録】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:女子800mの日本記録は何分何秒ですか?
A1:2026年10月現在、久保凛の1分59秒52です。2025年7月5日の第109回日本選手権で樹立され、日本記録、大会記録、U20日本記録、U18日本記録を更新しました。
Q2:女子800mの日本記録を以前持っていた選手は誰ですか?
A2:杉森美保です。2005年6月5日に2分00秒45を記録し、約19年間にわたって日本記録を保持しました。久保凛は2024年に1分59秒93でこの記録を更新し、2025年には1分59秒52まで短縮しました。
Q3:女子800mの世界記録と日本記録の差はどのくらいですか?
A3:世界記録はヤルミラ・クラトフビロバの1分53秒28、日本記録は久保凛の1分59秒52です。差は6秒24で、日本記録は世界記録より6秒24遅いタイムです。
女子800mの日本記録は、久保凛が2025年7月5日に樹立した1分59秒52です。杉森美保の2分00秒45を2024年に更新した久保は、2025年に自らの記録をさらに0.41秒縮め、日本女子800mの歴史を塗り替えました。
2026年は日本選手権3連覇を達成した一方、シーズンベストでは塩見綾乃も好記録を残しています。日本歴代10傑には杉森美保、北村夢、久保瑠里子、西村美樹、田中希実らが名を連ね、長年の記録の積み重ねが現在の競技水準を形づくっています。
今後の注目点は、久保が1分59秒52をさらに更新できるか、塩見らが2分の壁を突破できるか、そして日本のトップ選手が世界の強豪との差をどこまで縮められるかです。記録を追う際は、日本記録、歴代自己ベスト、シーズンベスト、大会優勝タイムを区別して確認することが、女子800mの現在地を正しく理解する近道になります。